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新型肺炎直撃でハリウッドは壊滅状態

5月2日(土)8時0分 JBpress

現在のハリウッドは中国抜きでは経営が成り立たない

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米国一の濃密な関係、中国とハリウッド

 ハリウッドも新型コロナウイルス禍からは逃れることはできなかった。

 ここ10年、ハリウッドほど中国と蜜月関係にある業界はほかにはなかった。

 ところが、新型コロナウイルスの「発生地」が中国・武漢だったとされることから、この関係は一変しかねない状況にある。

 中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟したことにより、国際経済関係の共通したシステムのメンバーになった。

 中国経済が国際市場とリンクしたことにより中国の金融市場は開放され、中国企業は外国企業への対外投資が可能になった。

 その波に乗って、中国が急接近したのはハリウッドの映画産業だった。

 当初、中国は「米資本主義の申し子」と見るハリウッドに恐る恐る近づき、映画の国内上映権を取得、その後、米主要映画会社への直接投資、米中合作、制作立案への参画へと浸透度を深めていく。

 また販売面でも、米国国内の主要映画館チェーン買い占めに乗り出した。

 中国最大の不動産グループ「萬達集団」(別名、大連萬達)は2012年、AMCシアター・チェーン所有の映画館チェーン(8000館)を買収。全米映画館の五分の一を傘下に収めた。

 ハリウッドにとって中国は有難いパートナーであり、顧客になった。

(https://www.nationalreview.com/2016/12/china-united-states-filmmaking-industry-hollywood-self-censorship-soft-power/)

 財源(制作費)と収益(観客動員)をちらつかされたハリウッド大手のディズニー、パラマウンド、マーブルなどは対中接近にのめり込んだ。

 中国の思惑は、一にも二にも世界に広がる中国に対するネガティブ・イメージの払拭にハリウッド映画を利用することだった。

 当初は露骨な手法はとらなかった。ハリウッドが作る作品から中国に対する偏見や誤解をやんわりと消そうとした。

 これが成功すると、徐々に作品の筋書きやキャラクターの選定にも口を挟んできた。

 ハリウッドが知らず知らずのうちに中国のプロパガンダ・エンターテインメントになっていくことに米議会をはじめ、各分野から批判の目が強まってきたのはここ数年だ。

 例えば、2016年の大統領選予備選に立候補したマリオ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は中国とハリウッドの濃厚接触をこう批判した。

「ハリウッドは中国市場欲しさに、中国の事前検閲どころか制作する映画の中身を自主規制までして中国共産党におもねっている」

(https://thefederalist.com/2020/01/15/why-hollywoods-cozy-relationship-with-china-could-face-an-ugly-reckoning-in-the-2020s/)

 確かにハリウッドは、中国がちらつかせるカネとヒト(観客動員数)に目がくらんだ。

 中国の映画観客人口は17億人(2019年)。ハリウッドにとってはまさに「金(カネ)のなる木」だった。

「金のなる木」は米経済を潤した。

 ハリウッドが中国国内で上映した映画で得た収益は年間28億ドル。米国内での収益(108億ドル)の26%に匹敵する。

(https://www.theatlantic.com/china/archive/2013/11/hollywood-and-china-in-figures/281222/)

「スパイダーマン」第3弾撮影は中止
「ムーラン」公開も4か月延期

 米中蜜月を直撃したのは、何と皮肉なことに中国発の新型ウイルスだった。

 感染拡大を抑えるためにトランプ大統領は非常事態宣言を出した。全米の映画館は閉鎖された。

 最新作の劇場公開は延期や取りやめを余儀なくされた。

 公開前から世界中が注目していたディズニーの「ムーラン」(1998年制作の同名アニメーション映画の実写化)は今年3月の予定公開日を7月に延期。さらに延期される可能性大だ。

「ジャングル・クルーズ」も公開日を1年間延期。

 5月公開を予定していた「ブラック・ウィドウ」は11月、アンジェリーナ・ジョリーら豪華俳優陣が出演する「エターナルズ」も公開日が延期された。

 今年7月に撮影が開始される予定だった「スパイダーマン」第3弾(マーベル&ソニー共同制作)は急遽中止。

 そのため来年7月の公開予定は当面、11月5日に延期することを決めたが、さらに遅れるのは必至だ。

 米ソニーは2022年4月8日全米公開を予定していたアニメーション映画「スパイダーマン・スパイダ—バース」続編も公開を延期。2022年10月7日公開を設定している。

 来年11月に公開予定だったアニメ実写映画化作品「ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルティバース・オブ・マドネス」は2022年3月25日に公開を延期している。

(https://ktar.com/story/3096320/more-hollywood-movies-shift-release-dates-as-a-result-of-coronavirus/)

 新型ウイルス禍で外出禁止となり、車社会の南カリフォルニアはスモッグに悩まされることがなくなり、連日青空が広がっている。

 そうした中、ハリウッドの映画会社のお偉いさんやスターたちはプライベート・ジェット機でそそくさとハリウッドを離れ、州外や国外の別荘に逃げた。

 行きどころのない大部屋俳優やその他の従業員30万人の大半は解雇されたり、レイオフされた。手に職のあるライターやディザイナーは在宅勤務で息をつないでいる。


「ハリウッド:メイド・イン・チャイナ」

 中国とハリウッドとの濃密な関係については2017年に出版された「Hollywood Made in China」(ハリウッド:メイド・イン・チャイナ)に詳しく出ている。

 著者はバージニア大学のイン・コカス准教授だ。中国語も堪能なメディア学者だ。

(https://www.ucpress.edu/book/9780520294028/hollywood-made-in-china)

 中国とハリウッドとの関係を批判する人たちは、「中国にとってはハリウッドはプロパガンダ・エンターテインメントに成り下がっている」と言い切る人も少なくない。

 それでもその関係がこれまで黙認されてきた理由は何か。

 それはハリウッドがカリフォルニア州にとっては文字通り「ドル箱」であり、「稼ぎ頭」だからだ。

 カリフォルニア州の国民総生産(GDP)は3兆1370億ドル。米国のGDPの14.5%を占める。

「カリフォルニア州国家」はGDPではインドや英国を抜いて世界第5位。

 同州のGDPに大きく貢献しているのは、IT産業とともにハリウッドを筆頭にした創造的産業*1だ。米国の創造的産業は年間5040億ドルを稼いでいる。

 その額はカリフォルニア州のGDPの3.2%。

*1=創造的産業(Creative Industry)には映画のほか出版、演劇、美術、芸術、音楽などが含まれる。ハリウッドが制作する映画、動画、ビデオ産業だけに絞ったGDPは250億ドル。これはベトナムやチェコのGDPとほぼ同じだ。

(https://www.hollywoodreporter.com/news/hollywood-creative-industries-add-504-662691)

(https://en.wikipedia.org/wiki/Comparison_between_U.S._states_and_sovereign_states_by_GDP)


米国民の71%「習近平など信用しない」

 新型ウイルス禍で米国民の中国に対するネガティブ・イメージは急増している。これほど米国人の反中感情が高まっているのは史上初とまで言われている。

 最新のピュー・リサーチ・センターの世論調査によれば、米国民10人のうち7人は中国に対し嫌悪感を抱いている。

(https://www.pewresearch.org/global/2020/04/21/u-s-views-of-china-increasingly-negative-amid-coronavirus-outbreak/)

 その理由は新型ウイルスが武漢発だったということだけではない。

 発生から2週間以上も感染拡大防止で手を打たなかったことや、いまだに発生の経緯について情報提供を拒否している習近平国家主席に対する批判が強いのだ。

 習近平国家主席に対し、米国民の71%は信頼できないとしている。

 トランプ政権もこうした世論を無視できず、米政府として中国に対する何らかの制裁措置が検討されているようだ。

 ワシントン・ポストは4月30日、その一つとして中国に対する外国主権免責(Sovereign immunity)の剥奪が検討されていると報じている。

 具体的には国際民事訴訟における中国の裁判権を行使させないという厳しい措置だ。

(https://www.washingtonpost.com/business/2020/04/30/trump-china-coronavirus-retaliation/)


新作をストリーミングで配信・・・

 こうした状況下でハリウッドはどう再生しようとしているのか。

 米世論から見て今までのように中国との蜜月関係を続けるわけにはいかないだろう。

 ハリウッド専門紙の「ハリウッド・リポーター」のベテラン記者W氏はこうコメントしている。

「すでに完成して5月に公開するばかりだったディズニーの『スターウォーアーズ:ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカーズ』などは、ストリーミングに転換するなど急場しのぎ策をとっているが、収益は劇場公開とは比較ならない。

 海賊版を調査するムソ研究所の分析だと、米国ではすでに映画の41.4%が違法なストリーミングやダウンロードがされているという。映画会社もオチオチしていられない。

「ハリウッドの最高幹部はいまのところ、どうやって立て直すかは口を濁しているが、やはり中国コネクションをどう再開させるかが最大のポイントだ」

 W氏の紹介でインタビューに応じてくれたハリウッドの大手映画会社の最高幹部の一人、K氏は筆者にこう話してくれた。

「ハリウッドにとっての基本姿勢は大衆を喜ばせる娯楽を創造することで商売をすること。商売で儲けないことには娯楽は創造できない」

「娯楽以外にわれわれは商売はできない。映画が創造的産業であるゆえんだ」

「そうした中で(新型ウイルス禍以前まで)中国との関係はハリウッドにとっては必要不可欠になってきた。従って武漢発信の新型ウイルス禍はハリウッドにとって大きな痛手だ」

「新型ウイルス禍によって高まる反中気運の中でハリウッドが露骨な形で中国を擁護するような映画を作る環境にはないことは分かる」

「また中国も米国だけでなく世界中で今自分たちが不人気なこともよく知っているはずだ。カネを武器に今までのような高圧的な態度はとれないだろう」

「これまでのような『先制的検閲』(Preemptive censorship)*2はしてこないだろう」

*2=映画のシナリオ作成時からキャラクターやストーリをチェックして修正するよう注文をつけること。いい例が「ドクター・ストレンジ」に出てくる女性霊能者をチベット人からケルト人に変えたり、「ゼロ・グラビティ」では米宇宙飛行士が中国の宇宙船「神舟号」で無事地球に生還する筋書き。

中国が最も嫌う「3つのT」
(天安門、チベット、台湾)

 中国との太いパイプを堅持してきたDMGエンタテインメント社の役員だったクリス・フィントン氏はかってこう指摘したことがある。

「中国との取引をするうえでこちらが頭に入れておかねばならないファクターは5つある」

「政治問題、人権問題、安全保障問題、文化、そして商売(Commerce)だ」

「われわれも米国人である以上、最初の3つについては一切の妥協はできない。米国政府の基本方針を堅持しなければならない」

「例えば、われわれは中国政府のウイグル族に対する抑圧政策を是認することはできない。が、中国はこの問題は民族統一問題であり、国家安全保障上の問題だと言って譲らない」

「ハリウッドが中国とのコミュニケーション・ラインを保てるのは文化と商売しかない」

「米国内にはハリウッドは中国のプロパガンダ・エンターテインメントだと批判する人もいる。しかしこれまで作った映画をご覧いただけば分かる通り、作品の中で中国の人権抑圧政策や侵略主義を賛美したようなことは絶対にない」

「作品の中には登場人物を中国人に差し換えた中国版を作ったこともあるが、原作の登場人物がチベット人だったのをケルト人に変えたからと言って中国のチベット政策に賛同したことになるだろうか」

 試みに筆者はこの原稿を書く前に、中国で売れに売れたという「スパイダーマン」や「ドクター・ブレイブ」の前作を見てみた。

 これはまさに最初から最後までアクションドラマ。デジタル技術のオンパレードで映画の筋書きすらどうでもよくなってしまった。スカッとして気分爽快だった。

 見終えて、中国が最も嫌がるという「3つのT」に対する筆者の考え(中国の人権抑圧政策に反対するという考え方)がこの映画で影響を受けたということは全くなかった。

「3つのT」とは、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のマイク・ゴンザレス研究員が中国が最も嫌うテーマとして挙げたもの。

 Tiananmen(天安門事件)、 Tibet (チベット政策)、Taiwan(台湾問題)の「3つのT」だ。

(https://www.heritage.org/asia/heritage-explains/how-china-taking-control-hollywood)


「中国人とユダヤ系は必ず手を組む」

 トランプ大統領は国家非常事態宣言を当初の通り5月1日に原則解除することを再確認したが、具体的な経済活動の再開については各州知事の判断に任せると、下駄を預けている。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、4月30日には州内のビーチに人が集まることを懸念、ビーチの閉鎖を命じた。

 この分だと経済活動の一部再開はかなり遅れそうだ。

 カリフォルニア州で経済活動が再開された時、ハリウッドはどう出るのだろうか。

 ハリウッドを地元に発行されている西部の雄、ロサンゼルス・タイムズの映画担当記者のA氏は、大胆にこう予言する。

「ハリウッドを牛耳っているのはユダヤ系。ハリウッドを再生させるために、ありとあらゆることをするはずだ」

「ハリウッドは映画を作り、売らなければ商売にならない。米世論が反中傾向を強めようと強めまいと、条件に見合えばハリウッドは中国と手を組む」

「映画は映画、娯楽は娯楽、エンターテインメントはエンターテインメントと割り切ってかかる」

「しょせん、中国とハリウッドの関係はキツネとタヌキの騙し合いだ。トランプ政権が邪魔するかだって?」

「ジョー・バイデンが大統領になったらどうなるかだって?」

「ハリウッドの儲けで米国もカリフォルニア州も恩恵を受けている。そのハリウッドから政界に政治資金として流れるカネは過去20年で864億ドル。そのうち70%は民主党に、30%とは共和党に行っている」

「バイデン氏が大統領になってハリウッドに『中国からカネをもらうのはやめなさい』など言えるかね」

 現時点では習近平国家主席がハリウッドとの関係について何と言っているのか、の中国報道は一切ない。

筆者:高濱 賛

JBpress

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