将軍様の「面前」で女子高生に性犯罪…北朝鮮のトンデモ事件

2023年5月3日(水)18時45分 デイリーNKジャパン

※この記事には、性暴力の被害に関する具体的な記述が含まれています。


北朝鮮の主要都市の中心部の広場には、故金日成主席と故金正日総書記の銅像が建てられている。非常に神聖なものとして扱われ、周囲を含めて頻繁に掃除が行われ、常に清潔が保たれている。


子どもから大人まで、交代で銅像の清掃に当たっているが、その途中でとんでもない事件が起きた。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。


事件が起きたのは、両江道の恵山(ヘサン)市内の中心部、国境を流れる鴨緑江のそばにある広場に2015年に建てられた銅像付近だ。


銅像は、登校前の午前5時から7時までの間、小学校の児童、中学・高校の生徒、大学生が交代で清掃を行っている。サボりがちであれば、生活総和(総括)の時間に批判の対象となる一方で、熱心に清掃に取り組めば模範として表彰されるため、誰もが1カ月に半分は銅像の清掃に出かけるという。


金日成氏の生誕記念日である太陽節を迎える4月には、市内のすべての学校で「忠誠心を持って銅像清掃に参加せよ」との指示が下される。恵山高級中学校(高校)の女子生徒2人は、それを忠実に守って4月1日から毎日、銅像の清掃に出かけていた。


2人は毎日午前5時に同じ場所で待ち合わせて一緒に銅像に向かっていたが、今月中旬のある日のこと。2人の前にひとりの男が立ちはだかった。そして、ズボンを下ろして陰部を露出させた。


2人は、あまりの驚きに叫び声すら出せず、大慌てで家に戻った。激しいショックを受けた2人は、それ以降学校はもちろんのこと、外出することすら怖がるようになり、トラウマに苦しめられている。


犯人は、女子高生が毎日同じ道を同じ時間に通ることを知り、犯行に及んだと思われる。銅像の清掃という神聖な仕事が性犯罪によって汚された今回の事件。安全部(警察署)が捜査を行っているかについて、情報筋は言及していないが、証拠が一切ないために、摘発は難しいだろうとみている。


情報筋は、事件の原因を「子どもに忠誠心を強いて毎朝銅像の清掃をさせるから」だとし、「銅像の清掃をすれば忠誠心が湧いて、しなければ忠誠心が消えるのか」と吐き捨てた。


性犯罪や、女性や子どもが自分の身を守るための教育が行われていない北朝鮮では、何らかの条件と引き換えに、性行為をせまるなどのパワハラ型性犯罪がしばしば起きている。



被害女性は「すきがあったから狙われた」などと逆に非難されるため、被害を公にしたがらず、また性行為を伴わない場合は、自分が被害に遭ったことすら認識できないケースも多い。


北朝鮮で起きた性犯罪として有名なものを挙げると、崔龍海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長が、朝鮮社会主義労働青年同盟(現在の社会主義青年同盟の前身)委員長だった時代の1989年、自らの性欲を満たすために、女性に巨額のカネと引き換えに歯を抜かせた上で、「口腔行為」をさせた一件だろう。


崔氏は酒癖、女癖の悪さで悪評が立っており、何度も処罰を受けているが、そのたびに復権して、現在では金氏一家以外では最高の地位に登りつめている。


一方で、痴漢や性器の露出行為のような性犯罪は、さほど問題とされていないのか、国外にまで伝わることはあまりない。

デイリーNKジャパン

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