ネイビーシールズは「人狩りマシン」

6月8日(月)16時47分 ニューズウィーク日本版

 SEALs(米海軍特殊部隊)は最も厚い秘密のヴェールに隠された部隊の1つ。なかでも、小規模ながらイラクやアフガニスタンでアメリカの国益増進に大きな役割を果たしたのがSEALチーム6だ。

 それが今や、グローバルな「人狩り(manhunt)マシン」に変貌してしまったと、ニューヨーク・タイムズは先週末、詳細な調査記事のなかで伝えた。同紙は、「オペレーター」と呼ばれるざっと300の攻撃部隊と1500人の支援部隊を「アメリカでもっとも秘密主義で最もチェックの及ばない軍事組織」と呼ぶ。

 2011年に国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビン・ラディンをパキスタンで殺した時から、アメリカの戦闘任務におけるこのチームの重要性は急速に増していった。

 戦争のあり方が変わったせいもある。技術の進歩やテロの増加、民間人保護などのため、攻撃はしばしば、武装勢力の幹部追跡のために高度な訓練を積んだ精鋭部隊が空から急襲する方法をとる。まさにSEALsが得意とする戦法であり、そのために彼らの責任は以前よりはるかに大きなものになった。

「かつて、極めて特殊な任務のためだけに待機していた部隊が、その後戦闘を重ねてグローバルな人狩りマシンになった」と、タイムズは書く。

誰の命令にも従わない秘密軍事組織の誕生

 この報道はSEALチーム6のような特殊部隊がアメリカの先頭で担う役割について2つの疑問を投げかけている。

 SEALsはもともと、米軍にとって最も重要かつ危険な任務を遂行するために創設された。だが最近は軍も何かとSEALsに頼りたがる。SEALsなら、どんな部隊よりも素早く確実に任務を果たしてくれるからだ。

 元SEALで元上院議員のボブ・ケリーは、SEALsの出動は以前より頻繁になっていると語っている。アメリカ特殊作戦群(USSOCOM)によれば、01年9月以降で数万単位の任務をこなしている。

 こうした運用にはいくつも問題がある。タイムズ紙の取材に答えた元特殊部隊員は、数週間にわたり毎晩のように奇襲を繰り返していると標的が誰かぼやけてくると言う。民間人が殺されたケースもある。極めて攻撃的な命令でありながら、いつ引き金を引いていいのかについてのルールが徹底されていないからだ。

 SEALチーム6は秘密作戦で大きな成功を収め、01年以降、多くのテロ組織の指導者を殺してきた。そのために今は軍幹部だけでなく政治家も、彼らを厳しい管理下に置くことをためらっている。

 SEALチーム6を管轄下に置くUSSCOMの監視も嘆かわしいほど不十分なものだ。一方米議会にとっては、政治家のために彼らがこなす汚れ仕事はいちばん触れたくない部分だ。

 この秘密主義と監督の欠如が意味するのは、国民的な議論もないままに、いつの間にか秘密の人狩り部隊がアメリカの戦闘組織に組み込まれてしまったということだ。

エイミー・ノードラム

ニューズウィーク日本版

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