マリフアナ解禁したのに密売人から買うウルグアイの失敗

6月14日(木)15時44分 ニューズウィーク日本版

<世界に先駆けて全面的に合法化したのに、供給が需要に追い付かない、薬局も売りたがらないなどの計算違いが>

南米の小国ウルグアイは2013年に世界で初めてマリファナの完全合法化に踏み切り、大きな注目を浴びた。だが生産から販売まで全面的に解禁し、当局の管理下に置いたにもかかわらず、麻薬密売組織がいまだに幅を利かせている。2017年からは薬局での販売も始まったが、合法マリファナは今も入手困難で、密売人から買うしかない。

「供給が需要に追いつかない」と、ウルグアイ国家薬物評議会のディエゴ・オリベラ会長は13日にAP通信に語った。「何とかしなければ」

オリベラの推定では、人口350万人のこの国のマリファナ消費量は年間約20〜25トンに及ぶ。

マリファナの購入は登録制で、認可された薬局で月40グラムまで買える。使用者は合法的なルートで買いたいのだが、現状ではそれが難しい。ウルグアイ全土にある薬局はおよそ1200店舗。そのうち認可を取得した薬局は14店舗にすぎない。

薬局が取得を渋るのは理由がある。マリファナは利鞘が少ない上、ストックを置けば強盗にあうリスクがある。さらに9・11同時多発テロ後に施行されたアメリカの愛国法が適用されるリスクもあると、米誌USニューズ&ワールド・レポートが報じている。

アメリカの反テロ法が怖い

米愛国法は国際テロ組織アルカイダなどテロや犯罪組織を取り締まる法律だが、国際金融を通じて麻薬の販売益を洗浄するマネーロンダリング(資金洗浄)も禁止している。ウルグアイの銀行の大半は米銀を介して国際的な取引を行っているため、ウルグアイの小さな薬局の銀行口座が凍結される可能性もゼロではない。

こうした事情が重なり、マリファナを販売する薬局は少なく、販売する場合も現金取引に限られる。

「マリファナを売るか、銀行口座を守るかの二者択一なら、大半の薬局は後者を選ぶ」と、人権団体ラテンアメリカ・ワシントン事務所の薬物政策専門家ジョン・ウォルシュは言う。

米連邦法では今も嗜好用・医療用ともにマリファナは全面的に禁止されている。ただし、全米の29州で医療用マリファナは解禁され、9州と首都ワシントンでは嗜好用も解禁されている。ジェフ・セッションズ米司法長官は、一部の州法がどうあれ、連邦レベルでは規制を緩和する考えはないと厳しい姿勢を示している。

こうしたなか、州法に基づいてマリフアナを使用しても、連邦法で裁かれることがないよう、米上院では超党派の議員立法の動きが進んでおり、コリー・ガードナー(コロラド州選出・共和党)、エリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出・民主党)議員らが改正法案をとりまとめている。



この法案には、「マリファナの売買は麻薬取引とみなさない」という規定も盛り込まれている。

セッションズ司法長官との不仲が報じられるドナルド・トランプ米大統領は、この問題でも対決姿勢をむきだしにし、超党派の議員団が改正法案を提出したら、「結局のところ支持することになるだろう」とG7サミット出発前に記者団に語った。

カナダでは医療用マリフアナは既に解禁され、嗜好用についても6月7日に上院が合法化法案を承認。9月には購入可能になる見通しだ。

北米で合法化の動きが進む一方、ウルグアイには合法マリファナが手に入らない状況があることも忘れてはならない。

ウルグアイのある登録ユーザーはAP通信にこうこぼした。「このままでは密売人から買うしかない。どうしろって言うんだ。この制度はゴミだ。合法化の意味がない」






ジェイソン・レモン

ニューズウィーク日本版

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