北「田植え戦闘」総動員でやっつけ

2018年6月16日(土)7時28分 デイリーNKジャパン

北朝鮮の各地で行われている毎年恒例の「田植え戦闘」。農民のみならず、都市住民まで総動員して農場に送り込み、田植えを行わせるものだ。


作業後の宴会や出会いという楽しみがある一方で、とてもつらい作業から逃れようとワイロが飛び交うという「ダーティ」な側面もある春の風物詩だ。そんな田植えが終わりつつあるという。


デイリーNKの北朝鮮内部消息筋によると、春の訪れが他より遅い北部山間地にある両江道(リャンガンド)の一部地域でも、田植えがほぼ完了している。雨により遅れが出ているところもあるが、13日までには完了する見込みだと伝えた。


一方、両江道より温かい日本海に麺した咸鏡南道(ハムギョンナムド)でも、田植えは完了直前だ。


「道内で田植えが最も難しい広浦(クァンポ)アヒル農場の肥沃な田んぼでも、田植えがほぼ終わりつつある。機械が入れないため、咸興(ハムン)市内から労働者が総動員された」(情報筋)


この田んぼは、「農地面積を広げよ」という朝鮮労働党の方針に基づき、10年前に沼をつぶして作ったもので、収穫されたコメは、子どもたちへの贈り物のお菓子セットの材料をとして使われるとのことだ。


このお菓子セットだが、金正恩氏がいかに人民のことを気にかけているかを宣伝する目的で、特別な日に全国の子どもたちに配られるが、政治事件に発展するほどの不味さで有名だ。


この農場だが、咸興市内中心部から直線距離で17キロも離れている。公共交通機関が存在しないため、徒歩または自転車行くしかないが、市内の外れからだと峠をいくつも越えて4時間の遠い道のりだ。あまりに遠いため、着いた瞬間にへたりこんでしまうという。また、元々沼だったために腰まで泥にズボッと浸かってしまうところもあり、市民は毎年の広浦の田植えはつらいとぼやいている。


クタクタになった人々を動員してやっつけ仕事で田植えを済ませても、収穫にはつながらないだろう。そればかりか、時には悲惨な大事故の原因ともなる。「速度戦」と呼ばれる「スピード重視、品質無視」の旧来からのやり方は、なかなか変えられないようだ。


協同農場で働く農民の個人耕作地でも田植えが行われている。幹部が国の許可を得ず農民に密かに貸し与えた農地だ。多忙な田植え戦闘の期間中でも、週2回は自分の田んぼの田植えをすることが認められている。


本来なら昨年の収穫量に応じて分配を受け取るはずだが、この農場では全く受け取れなかった。そこで農場の幹部が自主的に決めた措置だと言う。当局は土地を無断で貸し出すことを禁止する指示を出したが、全く徹底していないようだ。

デイリーNKジャパン

「田植え」をもっと詳しく

「田植え」のニュース

「田植え」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ