北「視聴禁止映画リスト」に庶民好奇心

2018年6月27日(水)12時17分 デイリーNKジャパン

北朝鮮当局は最近、見てはいけない外国映画のリストを発表した。対象の映画、韓流ドラマ、映画、ハリウッド映画を見ていて摘発されれば、3年間の懲役に処すという布告付きだ。(丹東=カン・ナレ記者)


北朝鮮の龍南山(リョンナムサン)テレビと万寿台(マンスデ)テレビは、中国や東欧の映画、ディズニーアニメなど海外のコンテンツを多く放送し、市民の間で高い人気を誇っている。


もちろんいずれのコンテンツも、当局のお墨付きを得たものだ。一方で、それ以外の外国映画、ドラマについては制作国を問わず、見たことが発覚して摘発されれば処罰の対象になる。


平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、政府は5月27日、勤労団体の講演会で「韓国、日本、米国映画を見たのと同罪になる映画が複数ある」として、見てはいけない外国映画のリストを発表した。


その映画とは、インドの「庭師」と「手配者」、ロシアの「クリシュナ」と「大統領の警護員」というもので、平壌を中心に人気を集めているという。新義州(シニジュ)ではロシア映画2本はよく知られているが、インド映画は見たことがないと情報筋が語った。


情報筋はストーリーについて言及していないこともあり、デイリーNKジャパンで調査したものの、原題・邦題ともに明らかにできなかった。だが「クリシュナ」というタイトルから、北朝鮮当局が忌み嫌う宗教関連の映画と思われる。


慈江道(チャガンド)の情報筋も、ロシア映画が韓国や米国映画のように取り締まりの対象となっており、台湾や香港映画も同様の扱いだが、中国映画は取り締まりが厳しくないと述べた。


北朝鮮で上映されたことのある人気映画のうち、ルーマニアの「きれいな手で」、「刑事は告発する」も、韓国映画と同じ扱いとなってしまった。理由は不明だ。


一方、上述のインドとロシア映画は慈江道にはまだ入ってきてないとのことだが、視聴禁止リストの発表で、むしろ「どんな映画なのだろう」という市民の好奇心を刺激する結果を生んでしまった。こういうことは北朝鮮でしばしば起きる。


2016年に韓国で制作された「仁川上陸作戦」はその名の通り、朝鮮戦争を描いたものだが、当局が内容を伝えずに視聴禁止命令を出したために、逆に市民の好奇心を煽ってしまう結果となった。当局の視聴禁止リストが「面白い映画リスト」になるということだ。


今回の視聴禁止リストには、違反時の処罰についても明記されている。


情報筋によると、韓国、米国、日本のものの場合は最も重い労働教化刑(懲役)3年に処されるが、その他の国のものの場合は10ヶ月から1年の労働鍛錬刑に処させる。劣悪な状況にある北朝鮮の刑務所だが、後者のほうが相対的に軽い刑罰と言える。


これら映画・ドラマのコピー、流通、販売に加担した場合は、より刑が重くなる。韓国、米国、日本のものの場合は10年から最高で無期、その他の国のものの場合は5年の懲役刑に処される。


実際は、韓流ドラマを見たとの理由だけで銃殺刑に処せられた事例がいくつも報告されている。


ある女子大生は、韓流ビデオのファイルを持っていたというだけで拷問され、悲惨な運命に追いやられた。

デイリーNKジャパン

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