香港返還21周年 若者の民主化離れでデモ参加者減少

7月8日(日)7時0分 NEWSポストセブン

香港も変わりつつある

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 香港では7月1日、英国から中国に返還されて21周年となったのにあわせ、民主化を求めるデモが行われ、主催者発表で5万人が参加した。これは6万人以上が参加した昨年よりも減少。警察発表では9800人と1万人を割り込んでおり、香港の民主化運動の退潮傾向が浮き彫りになった。現地からジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。


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「(中国共産党の)一党独裁を終わらせろ」「ケリー・ラム香港行政長官は即刻、辞任しろ」などとのシュプレヒコールが香港中心部の街頭にこだまする。


 そのなかには、ノーベル平和賞受賞者で、昨年、中国の刑務所に服役中に病死した劉暁波氏について「劉暁波の名誉回復を」というコールもあった。劉氏の夫人で、中国当局に軟禁されている劉霞さんに関して「劉霞さんをすぐに解放しろ」という声も聞かれた。


 しかし、デモ開始の1時間後には香港特有のゲリラ豪雨がデモ隊を襲い、参加者はずぶ濡れに。たまらずビルの中に入って雨宿りをするなど、まさに「水を差された」形となった。


 それを端的に現したのがデモ参加者数だ。これは雨のせいばかりでなく、中国当局の香港の民主派勢力への厳しい締め付けにも原因がある。


 香港返還の節目となる2017年7月1日の返還20周年記念式典には中国の最高指導者、習近平国家主席が出席。この日はちょうどケリー・ラム行政長官の就任記念式典も兼ねており、習氏がラム氏を抱擁するかのように祝福する姿も見られた。


 しかし、習氏は香港における重要演説で、「香港の独立は絶対に許さない」や「香港は中国の一部であり、1つの国という前提があるから、(資本主義を維持するという)香港の2制度が存在する」などと香港の民主派や独立派を強く牽制。場合によっては武力の行使も辞さないとの態度を明らかにした。


 この習氏の香港訪問以後、香港政府の民主派弾圧の姿勢は強まっていった。香港当局は2014年の「雨傘運動」といわれる大規模民主化デモを主導した学生団体の元幹部を裁判に訴え、裁判所も実刑判決を下すなど、民主派、独立派は運動を封じ込められつつある。


 香港では懲役3カ月以上の判決を受けると5年間の被選挙権が停止となるため、選挙に出ることもできず、若者を中心に無力感が漂い、若者の民主化離れを招いているのも事実だ。


 しかし、今回のデモで、香港最大の民主派政党「デモシスト」が寄付を募ったところ、約53万香港ドル(約740万円)もの募金が集まった。昨年は42万香港ドル(約600万円)だったため、昨年よりもデモ参加者が少なかったにもかかわらず、逆に募金額は増加している。


 この背景には、中国政府の意を受けて、香港当局が強権姿勢に転じていることに、一般市民は強い警戒感を覚えていることも影響しているだろう。本来の香港が持っている民主的で自由な気風を守ろうという気持ちが、民主派勢力への期待となって表れているとみられる。

NEWSポストセブン

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