「衝撃的な事件が発生も」金与正氏、米軍偵察機の撃墜を示唆

2023年7月11日(火)12時4分 デイリーNKジャパン

北朝鮮の金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は10日と11日に相次いで談話を出し、米軍の偵察機が領空侵犯を行っていると非難しながら、警告に従わなければ「衝撃的な事件」が発生し得るとして、撃墜を示唆した。朝鮮中央通信が伝えた。


金与正氏は一連の談話で、米軍の戦略偵察機が10日、「5時15分から13時10分まで江原道通川の東435キロから慶尚北道蔚珍の東南276キロまでの海上の上空で朝鮮東海のわが方の経済水域の上空を8回にわたって無断侵犯し、空中偵察行為を強行した」と主張。また、「わが空軍のスクランブルによって退却した米空軍偵察機は、8時50分ごろ江原道高城の東400キロの海上上空でわが方の海上軍事境界線の上空をまたもや侵犯して空中偵察を働く重大な軍事的挑発をしかけた」とも述べた。


さらに、「米国の偵察機が我が軍の海上軍事境界線を越えて侵犯したりするわれわれの経済水域の上空、その問題の20〜40キロ区間では必ず、衝撃的な事件が発生することになるであろう」とし、撃墜もあり得ることを示唆した。加えて、「再び海上軍事境界線を越えてわが方の経済水域を侵犯するときには、明確で、かつ断固たる行動で対応するということを委任によって繰り返し警告する」と強調した。


同氏の言う「問題の20〜40キロ区間」とは、2018年の南北軍事合意で南北軍事境界線から西部地域は20キロ、東部地域は40キロ以内の上空で偵察機や戦闘機の飛行を禁じたことを念頭に置いたものとの見方が出ている。


一方、韓国軍合同参謀本部は、米軍機の領空侵犯は事実でないと否定している。


同通信の報道全文は次のとおり。


金與正党副部長が談話発表


【平壌7月11日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党中央委員会の金與正副部長は11日、次のような談話を発表した。


「大韓民国」の軍部は、またもや米軍の挑発的行動について差し出がましく先頭に立って「『韓』米の正常な飛行活動」という厚顔無恥な主張をして、わが主権に対する侵害事実を否認した。


当該の空域に関する問題は、わが軍と米軍の問題である。


「大韓民国」の軍部ごろは差し出がましく振る舞わず、直ちに口をふさがなければならない。


10日、米空軍戦略偵察機は5時15分から13時10分まで江原道通川の東435キロから慶尚北道蔚珍の東南276キロまでの海上の上空で朝鮮東海のわが方の経済水域の上空を8回にわたって無断侵犯し、空中偵察行為を強行した。


私は、委任によってわが軍の対応行動をすでに予告した。


繰り返される無断侵犯の際には、米軍が非常に危険な飛行を経験することになるであろう。−−−


金與正党副部長が談話発表


【平壌7月10日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党中央委員会の金與正副部長は10日、次のような談話を発表した。


今日午前、わが国防省のスポークスマンは、最近になってわが国家の主権と安全利益を重大に侵害している米軍の憂慮すべき空中偵察行為に厳重警告を送った。


実に見ものは、南朝鮮のかいらい軍部一味がいち早く米軍の重大な主権侵害事実を否認したことである。


今や、「大韓民国」の合同参謀本部が米国防総省や米インド太平洋司令部の代弁人にもなるかのように自任している。


ややもすれば、口出しし、口出しせずにはむずむずするその悪い癖は、政治をするという連中や軍部ごろも一様に持っている「大韓民国」一族の体質的特質のようである。


天下の厳然たる事実をいかにして白昼に眉一つ動かさず否認することができるのか。


240海里以上の探知半径を持った敵対国の偵察資産がわれわれの200海里の経済水域を侵犯するのは明白に、朝鮮民主主義人民共和国の主権と安全に対する重大な侵害となる。


わが方の軍事境界線水域はもちろん、経済水域の上空も米軍偵察資産が意のままに入って来れる米国の軍事演習場ではない。


かいらい軍部は、無理押し主張を慎み、口をふさがなければならない。


まさに、今日の未明5時ごろからも、米空軍戦略偵察機はまたもや蔚珍の東270余キロから通川の東430キロまでの海上上空でわが方の海上軍事境界線を越えて経済水域の上空を侵犯しながら、朝鮮民主主義人民共和国の東部地域に対する空中偵察を強行した。


わが空軍のスクランブルによって退却した米空軍偵察機は、8時50分ごろ江原道高城の東400キロの海上上空でわが方の海上軍事境界線の上空をまたもや侵犯して空中偵察を働く重大な軍事的挑発をしかけた。


わが軍隊はすでに、米軍側に強力な警告を送った状態にある。


米国の偵察機が我が軍の海上軍事境界線を越えて侵犯したりするわれわれの経済水域の上空、その問題の20〜40キロ区間では必ず、衝撃的な事件が発生することになるであろう。


われわれは、米軍がわが方の経済水域を侵犯せず、その外側で偵察行為を働くことに対しては直接的な対応はしないが、もし、再び海上軍事境界線を越えてわが方の経済水域を侵犯するときには、明確で、かつ断固たる行動で対応するということを委任によって繰り返し警告する。


米国がいまだにわれわれの警告を無視し、いかなる危険が自分らに迫ってきているのかを感得できなかったなら、それはわれわれの責任ではない。


さらに、残酷な変事まで生じれば、それは明らかに自業自得になるであろう。−−−

デイリーNKジャパン

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