検挙件数が中国人抜き1位、在日ベトナム人「犯罪SNS」潜入

7月19日(木)7時0分 NEWSポストセブン

ベトナム語のFBグループには偽造業者による投稿も多い

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 在日ベトナム人の数は約26万人で、外国人全体の10%程度に過ぎない(2017年末)。しかし今、外国人犯罪の約3割をベトナム人が占めている。在日ベトナム人社会の闇を、長年、在日外国人問題を取材するジャーナリストの出井康博氏が報告する。


 * * *

 在日ベトナム人犯罪の増加が続いている。2017年に全国の警察が検挙したベトナム人の犯罪は5140件と、前年から約6割増え、国籍別で中国人を抜いてトップとなった。在日中国人が73万人、同ベトナム人が26万人という数字からすると、犯罪に手を染めるベトナム人の多さに驚く。12年からの5年間では3.5倍以上の急増である。


「ベトナム人の犯罪について知りたいなら、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を見てください。日本人の知らない世界がありますから」


 そう話す事情通の在日ベトナム人に、ベトナム語のSNSを案内してもらった。


 ベトナム人に人気の高いSNSの1つが「フェイスブック」だ。そのフェイスブックには、「TOKYO BAITO」という言葉の入ったベトナム語のグループが複数ある。もともとはベトナム人留学生に向けて日本でのアルバイト情報を掲載・共有するためにつくられたグループだが、最近では怪しい投稿が目立つという。盗品や偽造品の闇取引、犯罪への勧誘などが増えているのだ。たとえば、こんな投稿である。


〈・経営協力、補助業務。

 ・月収1000万〜1500万ベトナムドン(約5万〜7.5万円=筆者注)+手数料。

 ・簡単な仕事で、マーケティングは当方が担当。〉(※ベトナム語から翻訳。以下同)


 敢えて直接的な表現を避けながら、窃盗の実行役を募っているのだという。前出・事情通の在日ベトナム人が解説する。


「月収5万円は、本国の平均的なベトナム人の2倍以上です。しかも手数料まであるなんて、普通の仕事ではない。こうした投稿は、多くがベトナムからなされています。日本にいるベトナム人をスカウトし、指定した品物を盗ませるのが目的です」


 実行役が日本で盗んだ品物はベトナムへと運ばれる。人気の盗品は「化粧品」や「薬」、「サプリメント」、「粉ミルク」などである。盗品の「運び屋」を募集する投稿も多い。もちろん盗品とは告げず、ベトナムへの無料航空券と引き換えに「荷物を運ぶ仕事」だと宣伝されている。つまり、ベトナム人の犯罪、中でも窃盗や万引きが急増している背後には、SNSを介して盗品ビジネスのシンジケートが成り立っているわけだ。


「TOKYO BAITO」には、風俗関係と思しき仕事に勧誘する投稿もある。


〈・女性スタッフ募集。

 ・身分証明書不要。元留学生や元実習生の失踪者も歓迎。

 ・高給、住居提供。勤務は東京周辺。〉


 これまで風俗関係の犯罪で摘発されたベトナム人は多くない。とはいえ、こうした投稿を見ても、今後は増えていく可能性が高い。


 日本の銀行口座や携帯電話のSIMカードの買い取りを呼びかける投稿も目立つ。母国に帰国するベトナム人らを対象にしたもので、買い取られた銀行口座などは闇取引の決済に使われる。


 カードなどの偽造業者による投稿も数多くある。宣伝されている偽造品は、外国人の身分証明書である在留カードや日本語能力試験の合格証書、日本の運転免許証など実に幅広い。在留カードは不法滞在者、免許証は運転の必要なアルバイトを希望する留学生らが購入する。ベトナム語のSNS空間は、まさに犯罪や不正行為の温床と言える。


【PROFILE】出井康博(いでい・やすひろ) 1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙「ザ・ニッケイ・ウィークリー」記者、米シンクタンクの研究員等を経てフリーに。著書に、日本の外国人労働者の現実を取材した『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)などがある。


※SAPIO2018年7・8月号

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