伝統クジラの追い込み漁に反捕鯨団体「見世物にするな」「野蛮」(デンマーク)

8月10日(土)5時50分 Techinsight

クジラ漁で真っ赤に染まった海(画像は『Mirror 2019年8月5日付「Horror scenes as 23 whales are butchered turning the sea red in Faroe Islands」(Image: Sea Shepherd UK/Triangle News)』のスクリーンショット)

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ノルウェーとアイスランドの中ほどに位置し北大西洋に浮かぶデンマーク自治領のフェロー諸島では、毎年この時期になるとクジラの追い込み漁が盛んに行われる。そしてそれを待っていたかのように、反捕鯨団体が島に駆けつける。8月2日に行われたクジラの追い込み漁で捕獲されたクジラは23頭で、その様子は反捕鯨団体のシーシェパードU.K.によって監視、撮影された。『The Sun』『PEOPLE.com』などが伝えている。

人口5万人ほどのフェロー諸島は、冷涼な気候と厳しい自然条件のため牧畜と漁業、そして観光が産業の中心になっている。農業に適さないこの地域ではクジラ(主にゴンドウクジラ)の肉と脂肪は貴重な資源であり、クジラの追い込み漁の歴史は16世紀まで遡る。

漁では少なくとも10隻の漁船がクジラの群れを囲むようにして湾に追い込み、待ち構えていた住民がクジラの噴水孔にロープがついた銛を差し込んで浜に引き上げ、特殊なナイフで首の主動脈や脊髄を切断する。クジラはほぼ即死の状態だが、青い海は一瞬にして血の色に変わる。

住民は「追い込み漁は冬を乗り切るための貴重な食糧であり必要不可欠である。また自治政府が責任を持って管理しており、クジラを持続的に維持できる範囲で必要量しか捕獲しない。自給自足ができなくなれば輸入に頼るしかなくなり、今のように環境を保全することはできなくなる。そもそも価値観が違うのであって、我々の生活に口出しするのは止めるべきだ」と主張する。

しかしシーシェパードなどの反捕鯨団体は、「追い込み漁は非人道的でしかなく、今すぐ禁止すべきだ」と激しい抗議を続けている。今回漁が行われたのはクヮルヴィーク(Hvalvik)湾で、シーシェパードU.K.はこれがフェロー諸島で行われた今年10回目の漁であり、1月からこれまでに536頭のゴンドウクジラが捕獲されたと報告している。

シーシェパードU.K.のスポークスマンは「住民は伝統漁と反論するが、漁は年々見世物と化している。血で染まった海で苦しむクジラを背景に観光客がセルフィーを撮り、子供たちが殺されたクジラのフィンを触り、身体をキックしパンチする。現場では処理が甘く、即死ではなくもがき苦しむクジラも数頭いた。また妊娠しているクジラもいたが、数週間で産まれたであろう胎児を住民は切り取って海に捨てた。これを野蛮と言わずして何と言うのか。クジラへのリスペクトすら存在しない」と憤慨する。

シーシェパードは2018年9月、追い込み漁を10年連続でしないことを約束すれば約1億1,800万円(100万ユーロ)を支払うと申し出ているが、自治政府はこれを受け入れていない。近年ではゴンドウクジラ漁の妨害を試みたシーシェパードのメンバーが警察によって逮捕されるなど、両者の関係は悪化するばかりだ。

フェロー諸島での追い込み漁は8月に最盛期を迎える。

画像は『Mirror 2019年8月5日付「Horror scenes as 23 whales are butchered turning the sea red in Faroe Islands」(Image: Sea Shepherd UK/Triangle News)』のスクリーンショット

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