中朝国境の警備強化で浮上した「習近平主席が訪朝」説
2018年8月16日(木)7時30分 デイリーNKジャパン
中国遼寧省の丹東周辺では、北朝鮮との密輸に対する取り締まりが大幅に強化されている。町に漂う尋常ならざる雰囲気が、ある種の憶測を呼んでいる。
デイリーNKの中国の対北朝鮮情報筋筋によると、密輸の取り締まりが強化されたのはこの数週間のことだ。頻度が増え、街で身分証明証をチェックされることも多くなった。
中国当局の密輸取り締まりは、国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁決議が相次いで採択された昨年秋から強化されていたが、朝鮮半島での緊張緩和を受けて今年春から緩和されていた。それがこの数週間で逆戻りしたように、取り締まりが強化されたという。
「北朝鮮の密輸船がこっち(丹東)に着岸すると、どうやって知ったのかすぐさまパトカーがサイレンを鳴らしてやってくる。すると船はさっさと逃げてしまう。そのような雰囲気なので、密輸はあまり行われていない」(情報筋)
実際、中国の辺防隊(国境警備隊)に船が押収される事件も起きている。鴨緑江の河口にある東港の周辺海上で、中国の船が北朝鮮の船から密輸品を受け取り、中国に戻り荷降ろしをしていたところを、辺防隊に踏み込まれたという。
取り締まりの強化は、こんな憶測を呼んでいる。
「これほど厳しい取り締まりが行われるのは、たいてい中国か北朝鮮の高官の行き来があるときだ」と述べた情報筋は、「9.9節(北朝鮮の建国記念日)に中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問しようとしている」との噂が流れていることを伝えた。
さらに「丹東市政府の高官の間では『習近平氏の訪朝はすでに既成事実化されている。丹東経由で北朝鮮を訪問する可能性が出ている』との話が出ている」と付け加えた。
今年3月末、北朝鮮の金正恩党委員長が訪中した際には、その約1ヶ月前から丹東駅に巨大な間仕切り壁と、蛇腹状のバリケードが設置されるなど、警備強化の動きが察知されていた。この前例が、これが今回の「習近平訪朝説」に真実味を持たせてもいる。