習近平主席 小さな島の警備員を使って愛国主義キャンペーン

9月1日(土)7時0分 NEWSポストセブン

愛国主義キャンペーンは続く

写真を拡大

 中国では共産党政権による愛国主義キャンペーンが盛んに行われているが、8月には「習近平国家主席の重要指示」として、新たな「愛国主義者」がクローズアップされた。その人物は今年7月に病没した王継才氏(享年58)。


 国営新華社通信は習氏が「王氏の先進事績」について、「彼の愛国奉献精神を全力で称え、新時代の奮闘者のための価値追及に役立たせなければならない」と強調する重要指示を出したなどと報じたが、習氏が愛国主義者を指名するのは初めて。さらに、王氏が死亡して、1カ月も経っていない時期に、あまりにも唐突な動きであり、政治的な背景があるのではないかとの観測が出ている。


 王氏はもともとは民兵で、江蘇省連雲港市沿岸の開山島と呼ばれる、面積が甲子園球場のグランドほどしかない小島の“守り人”。正式な役職は島の警備を任務とする「開山島哨所所長」だった。


 王氏は1986年7月、27歳で開島に着任。死亡するまで32年間、所長として島を守ってきた。とはいえ、所長といっても、島に常駐しているのは王さん夫妻の2人だけだった。


 新華社電などによると、王氏は初上陸した記念すべき日のことを「島があまりにも荒れていて、1時間もしないうちに帰りたくなりました」と振り返っているが、夫婦が32年間、1日も欠かさずに行ってきたのは、毎朝の国旗掲揚だ。


 島に観光客が来るわけでもなく、基本的に時間は有り余るほどあった。島には電気が通っておらず、夫婦2人の唯一の娯楽はラジオで、赴任してからの25年間で使用したラジオは19台。しかし、3年前に、江蘇省軍区が風力発電機と衛星テレビ受信機を設置してくれたことから、テレビも見られるようになっている。



 このような過酷な環境で身体が弱っていたのか、今年7月下旬に王氏は病気がもとで急逝した。


 その10日後の8月7日付の中国共産党機関紙「人民日報」や人民解放軍機関紙「解放軍報」など中国各紙は習氏の異例の「重要指示」を受けて、王氏礼賛一色となった。その後も、解放軍報を筆頭に王氏の愛国心を宣揚する報道は途切れなく続けられている。


 これについて、「習近平の正体」(小学館刊)の著書もあり、中国問題に詳しいジャーナリストの相馬勝氏は次のように解説する。


「中国では愛国主義教育は珍しくないが、王氏のように亡くなったばかりの人物をキャンペーンの対象にするには稀といえる。王氏礼賛のキャンペーンには習氏の政治的思惑が働いているのは間違いない。例えば、8月初旬には長老指導者を交えての重要会議である北戴河会議の時期に当たっていた。


 折からの米中貿易戦争によって、習氏の外交姿勢について、中国共産党内部でも批判が高まっていると伝えられている。それだけに、今年秋に開かれる年に1回の党の最重要会議で党中央委員会総会を乗り切るために、愛国主義キャンペーンなどで党内の求心力を高めたい思惑があるのではないか」

NEWSポストセブン

「習近平」をもっと詳しく

「習近平」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ