夏でもおでん、中国のコンビニは日本とどう違うのか

9月2日(月)6時0分 JBpress

中国のファミリーマートで売られているおでん

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(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 今や私たちの生活に必須とも言えるほど普及したコンビニですが、ここ中国でも毎年2桁超の成長を続けています。ネットショッピングに押されてリアル店舗が低迷する中、実態小売業としては唯一成長を維持しています。市場規模は日本の約3分の1ながら、将来性の高い市場として日系コンビニ大手も積極的な店舗展開を続けています。

 そこで今回は、中国コンビニ市場の概要と、中国のコンビニ店舗におけるサービスや商品実態、日本のコンビニとの違いなどについて紹介したいと思います。


急成長続く中国市場、頭打ちの日本

 はじめに中国のコンビニ市場規模を見ていきましょう。

 中国のフランチャイズ業界団体である中国連鎖経営協会(FFCA)と監査法人のKPMGが共同で発表した「2019年中国便利店発展報告」(「便利店」は「コンビニ」の中国語)によると、2018年における中国のコンビニ市場規模は前年比19%増の2264億元(約3.4兆円)。2018年12月末時点の店舗数は前年同期比13%増の約12.2万軒で、ともに2桁のプラス成長を遂げました。また、店舗当たり1日平均売上高は前年比7%増の約5300元(約7.9万円)でした。

 なお、日本フランチャイズチェーン協会(FCA)のデータによると、2018年度における日本のコンビニ市場規模は前年比3.2%増の約11兆円でした。長らく高い成長率を維持してきた日本のコンビニ市場ですが、近年は5%増にも届かない低成長となっています。


店舗数は日本の倍、市場規模は3分の1

 日中のコンビニ市場マクロデータを比較すると、下の表の通りとなります。

 みてわかる通り、中国におけるコンビニ店舗数は既に日本の倍以上に達していますが、市場規模は3分の1程度しかありません。店舗当たり1日平均売上高に至っては日本の約7分の1です。

 この状況については、中国メディアなどからも「店舗というハード面は整いつつあるが、顧客単価の面で日本とは大きな開きがある」とよく指摘されています。

 ただ、中国の所得水準が今後さらに向上するにつれて大幅な成長拡大が見込まれるとも指摘されており、筆者もおそらくそうなると見ています。


最大の経費はやはり人件費

 続いて、経営の実態を見ていきましょう。

「2019年中国便利店発展報告」調査対象企業の年商比率を見てみると、「10〜100億元(150〜1500億円)」が27%で最も高い比率となっており、逆に「100億元(1500億円)超が6%と最も低くなっています(下のグラフ)。その他の年商区分もそれぞれ一定の比率を有しており、中国のコンビニチェーンは現在さまざまな規模の企業が併存している状態で、市場で整理統合があまり進んでいない状況が示されています。

 また同調査対象企業の経費比率を見ると、こちらは人件費が60%、家賃が34%で、実質的にこの2項目の経費がほぼすべてを占めています(下のグラフ)。中国では人件費、家賃ともに日本とは比較にならない速度で年々上昇しており、こうした要因がコンビニチェーンの新規進出や展開を妨げていることが指摘されています。


最大手チェーンはガソリンスタンド併設店

 続いてCCFA発表のブランド別店舗数ランキングを見てみましょう。

 店舗数では中国の国有石油会社である中石化グループの「易捷」(2万7259軒)が首位となっています。2位も、同じ国有石油会社の中石油グループの「崑崙好客」(1万9700軒)です。

 ただ、どちらもガソリンスタンド併設のコンビニであり、店舗当たり売上高は中国の業界平均水準を下回っています。そのため純粋な意味でのコンビニチェーンとは言えないという見方もあります。そうした点を考慮すると、実質的な首位と呼べるのは、広東省を拠点とする第3位の「美宜家」(1万5559軒)となってくるでしょう。

 日系コンビニでは、ファミリーマートが7位、ローソンが9位、セブン-イレブンが11位にランクインしています。順位は他の中国系コンビニチェーンが複数上位にいるものの、業界への影響力に関しては上記日系ビッグスリーの方がはるかに高いと中国では認識されています。業界分析記事でも、主役となるのは決まってこの日系3社の動向です。


年中販売されている「おでん」

 以上、様々なマクロデータを見てきましたが、続いて実際の中国のコンビニ店舗がどのようになっているのか、筆者の視点から紹介していきましょう。

 まず全体として言えることとは、運営形態や取扱商品、サービスなどは日本のコンビニと基本的に一緒です。そもそもコンビニという業態自体、日本が世界の最先端をひた走っており、日本で始められたサービスがその後、他の国・地域市場に波及していく傾向があります。中国のコンビニが日本に似通ってくるのは自然の成り行きと言えるでしょう。

 具体的には、中国でも24時間営業は当たり前です。公共料金の支払い受付、宅配の受付や受取代理、コーヒー販売なども中国系コンビニチェーンで一般的に行われています。

 また、日本のコンビニではお馴染みの「おでん」も販売されています。ただし具材は日本とは異なっています。また、夏場は販売されない日本と違い、中国では真夏を含めて一年中販売されています。

 ちなみにおでんの中国語は、日本の関西地方における呼称の「関東煮」という漢字が当てられています。「おでん」という呼称に対しては「御田」という漢字が当てられていますが、こちらはあまり一般的ではありません。


コピー機やATMはなし

 逆に日本のコンビニと異なっている点を挙げると、コピー機とATMは中国のコンビニにはまずありません。コピー機に関しては、日本に留学経験のある中国人から「あったら便利なのに」と惜しむ声が聞かれます。

 一方、ATMに関しては、中国では電子決済が既に普及しており、銀行店舗ですら近年は減少傾向にあるため、今後も中国のコンビニに設置されることはまずないでしょう。

 商品に関しては、酒類を含む飲料や軽食、雑貨など日本とほとんど構成は同じです。日系コンビニチェーンでは、小林製薬の「熱さまシート」など日系メーカー製の雑貨がよく置かれています。こうした日系雑貨について中国人の知人は「以前は値段が高くてあまり買わなかったけれど、所得が増えたので最近は買うようになった。品質がいいから、周りの中国人もよく買っている」と言います。

 このほか、日本ではお馴染みの「コンビニスイーツ」を中国のコンビニではあまり見かけません。まったくないわけではありませんが、菓子類は量・種類ともに圧倒的に日本のほうが充実しています。

 次回は、中国のコンビニにはスイーツがなぜ少ないのかという背景を含め、日系コンビニ・ビッグスリーの中国における動向を取り上げます。(つづく)

筆者:花園 祐

JBpress

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