織田裕二主演の「水滸伝」の製作が発表、中国では「大丈夫かあ~?」の声

2024年9月16日(月)8時30分 Record China

北方謙三氏の小説「水滸伝」が日本で映像作品化される英傑108人を率いる宋江を演じるのは織田裕二だ。中国では作品の出来栄えを懸念する声も上がった。写真は物語中の英傑の拠点があったとされる梁山泊。

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9月12日、北方謙三氏の小説「水滸伝」がWOWOWの製作によりドラマ化されることが発表された。梁山泊を拠点とする英傑108人を率いる宋江を演じるのは織田裕二だ。この知らせが中国に伝わると、作品の出来栄えを懸念する声も上がった。



中国では外国で自国文化を土台にする作品が作られることに誇りを表明する人が多いのと同時に、作品そのものについては中国文化をしっかりと理解していないとして批判の声も上げる。以下は、中国の検索/情報サイトの百度(バイドゥ)に掲載された記事の主要部分を再構成したものだ。なお、WOWOWの「水滸伝」は北方謙三氏による小説に基づくものだが、同記事はそのことには触れていない。



日本で中国の四大名作の一つである「水滸伝」がドラマ化されるニュースに接して、多くの中国人ネットユーザーの最初の反応は「これは本当に適切なのか?」だった。中国の作品が外国で映画化やテレビドラマ化されると、中国人はいつも複雑な心境になった。水滸伝については2020年にもNetflixが、秦の始皇帝を描いた「キングダム」で知られる佐藤信介を監督として映画化する計画を発表した。



さらにさかのぼれば、日本テレビが1973年に水滸伝をテレビドラマ化した。この作品は人気を呼び、中国で放送されたこともある。しかし、登場人物の描き方が原作から逸脱していることや、ストーリーが原作の精神と一致しないとして批判も受けた。



中国の作品が外国で映像作品化される場合には、自国の観客に合わせるためにあらたな要素が加えられることが一般的だが、その過程で原作の文化的本質が薄められたりゆがめられることが多い。これは外国での映像化で避けられない問題だ。



水滸伝の物語の大きな要素は中国の忠義文化や英雄的な義侠心だ。この文化的背景は、日本の武士道精神や米国の個人英雄主義とは本質的に異なっている。このような文化の衝突が発生する中で、原作の中核的精神をいかに残すかは、映像化チームが直面せねばならない難しい問題だ。



外国の監督や脚本家の中国の歴史文化に対する理解は、往々にして表面にとどまり、繊細な文化背景を深く認識することができていない。「ムーラン」はそのよい例だ。この教訓は大いに参考にすべき生きた例だ。ディズニーの「ムーラン」は精巧に作られているが、中国文化の魂に真に触れることはできていなかったと、世界的に批判された。



水滸伝についても、作品の背景には中国文化や当時の社会の状況があり、単純な「アクション時代劇」に仕立てたのでは、水滸伝の世界を正しく表現することはできない。



新たに発表された水滸伝の映像作品で、宋江を演じるのは織田裕二だ。織田は日本の芸能界で高い地位を築いており、織田が出演して「伝説のドラマ」と見なされるようになった作品も多い。しかし、中国の古典文学中の英雄を演じることは織田にとってしても、大きな「挑戦」だ。中国の観衆が納得する宋江が描かれるかどうかには、疑問を抱かざるを得ない。そして、作品全体に原作の価値観の中核を残し、かつ世界の視聴者に理解され受け入れてもらえるように映像化できるかどうかは、極めて大きな課題だ。



水滸伝の映像化では、革新的に現代化することは可能だろうが、原作の最も中核的な精神を失ってはならない。これは製作側にとって、原作となった古典への敬意を示すだけでなく、視聴する人への責任を果たすことでもある。(翻訳・編集/如月隼人)


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