海自護衛艦が台湾海峡を初通過 、「岸田氏は次期首相への手本示した」と台湾専門家
2024年10月5日(土)6時0分 Record China
日本とオーストラリア、ニュージーランドの艦艇が9月末、台湾海峡を相次いで通過した。海上自衛隊の護衛艦の通過は初めて。台湾の専門家は「岸田文雄首相が退任前に意図的に行った動きであり、次期首相に手本を示す狙いがある」との見解を示した。
台湾・中央通信社によると、NZ海軍は26日、補給艦「アオテアロア」が25日に豪海軍の駆逐艦「シドニー」と共に台湾海峡を通過したと発表した。日本メディアも複数の政府関係者の話として、海自の護衛艦「さざなみ」が25日、台湾海峡を通過したと報じた。
台湾・中山大学の中国・アジア太平洋地域研究所の郭育仁教授兼所長は、海自の護衛艦が豪、NZの軍艦とそろって台湾海峡を通過したのかは現時点では不確かだと言及。同時に「日本がこのタイミングを狙って艦艇を派遣したのは「計画的な行動だ」とした。
郭氏は2021年4月に菅義偉首相(当時)が米国のバイデン大統領と日米首脳会談を行った際、共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」に触れたことを指摘。岸田氏が艦船を台湾海峡に派遣したのは「当時の共同声明を実践する意味合いがある」と分析した。
その上で、岸田氏の退任前かつ中国と日本の軍事関係が悪化している今のタイミングで艦艇を通過させたのは「次期首相に道筋を示し、手本とする狙いがある」と断言。中国は大きな反応を示すことはできないものの、石破茂首相に日本の艦艇の台湾海峡通過を常態化させないよう、外交ルートを通じて全力で働き掛けるだろうとみている。
日本は東アジア地域で初めて艦艇を台湾海峡に派遣し、通過させた国となったことから、郭氏は「韓国やフィリピンなどに模範を示す作用がある」と論評。先進7カ国(G7)のうち、台湾海峡に艦艇を派遣していない国は残すところイタリアのみとなり、この部分でも模範を示す効果があると付け加えた。
政府系シンクタンク、国防安全研究院国防戦略・資源研究所の蘇紫雲所長によれば、近年、これまでに米国、カナダ、英国、フランス、オランダ、ドイツ、トルコの7カ国の軍艦が台湾海峡を通過していた。
蘇氏は「今回の日豪NZを加えて軍艦を通過させた国が計10カ国になったのは前代未聞だ」と注目。「戦略的意味が象徴するのは、中国に台湾海峡の平和のメッセージを発信し、現状の変更に反対する姿勢だ」と語った。
今回の護衛艦通過について、中国国防部の張暁剛報道官は「航行の自由を大義名分に『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送り、中国の主権と安全を損なう挑発行為に断固反対する」と強く反発。「台湾は中国の内政問題であり、いかなる外部の干渉も受け入れない。台湾情勢をかき乱し、台湾海峡の平和と安定を破壊するのをやめるよう関係国に求める」と日本などをけん制した。(編集/日向)