小池新党の攻勢に、自民反攻の一手はあるか?

10月6日(金)17時50分 ニューズウィーク日本版

<仮に勢いに乗る「希望の党」が大連立を持ちかけてきた場合、自公が中道にシフトして連立を拒否すれば、国民にはようやくまともな二大政党の選択肢が示される>

発足したばかりの「希望の党」ですが、比例での投票先としては支持率が伸び悩んでいるものの、実際の投票となれば旋風を巻き起こす可能性は十分にありそうです。また、先日このコラムで議論したように、自民党内に「手を突っ込む」だけでなく「大連立」を持ちかけて参院も含めてのみ込むという戦略も当然考えているでしょう。

では、自民党というのは防戦に回る一方なのでしょうか? 仮に「希望の党」の勢いが止まらない場合には、逆転の方策はないのでしょうか? この点に関して言えば、「希望」には一点だけ弱点があるように見えます。

それは、自民党が総選挙で敗北した場合、岸田前外相などを中心に「中道自公路線+軽武装+国際協調主義(特に日韓関係重視)」を掲げて、「中道寄り」から小池路線を拒否するというケースです。その場合ですが、仮に選挙管理内閣が構成されてあらためて総選挙となれば、国民には初めてまともな選択肢が提示されることになります。

■「希望の党」グループは、都市型の小さな政府論、地方は道州制でさらにリストラ、ベーシックインカムを提示しつつ福祉もカット、軍事外交はタカ派。

■中道自公は、経済衰退を防止する積極投資路線、金融緩和継続、地方創生、軍事外交は現状の延長で国際協調路線。

というような形で、「右派」か「中道」かという選択肢を明確にするのです。そうすれば、二大政党制に基づく「政権担当可能な2つの選択肢」が有権者の前に提示されることになります。

具体的には、自民では宏池会が軸となり、岸田、河野(太郎)、林、甘利といった面々を軸に、21世紀版の保守本流再興をやって行くというシナリオです。岸田氏に関しては、従来から軽武装的な立場、そして改憲慎重派という中で、「ポスト安倍」を意識して自重しつつ、安倍路線には従順に来たのですが、その本領が発揮できるというわけです。

但し、この路線には問題が一つあります。50〜70年代と違って、「保守本流」が「財界」とタッグを組んで日本経済のベースとなる成長路線を描くことが難しくなっている点です。

つまり、財界の主要な企業は衰退するか、あるいは多国籍化してしまい、日本のGDP貢献よりも、グループの連結決算を重視する行動パターンになっているからです。この点に関しては、例えばですが甘利氏とか、河野氏、林氏あたりは、「健全なる経済ナショナリズム」的な感覚を持っているのではという期待はできます。その辺から、アベノミクスがやや行き詰まってしまった部分を軌道修正する処方箋を期待したいと思うのです。



その際に、様々な既得権益との「しがらみ」について自覚し、思いきって断ち切る姿勢も必要でしょう。この点でスキを見せれば、小池氏の思うツボですが、反対に厳しく自分たちを律することができれば勝機はあると思います。

一方で、枝野氏が「立憲民主党」を立ち上げました。ですが、立憲主義が滅びたら亡命するなどと一種の大衆蔑視を平気で口にしたこともあり、枝野氏は、イデオロギー面は得意ではないように思われます。小池氏に「排除」されそうになった流れの中で「リベラル軸の再結集」という方向に追い込まれましたが、本来の枝野氏はそうではなくて実務で汗をかくのが持ち味と思います。第三極などというと聞こえは良いですが、万年野党など作ってもまったく面白くありません。同じことは国交副大臣で実務に力を発揮した辻元氏などもそうです。

枝野氏も辻元氏も、イデオローグとしてのイメージが先行していますが、少なくとも政権与党の際には、理念と現実の隙間を埋める実務で汗をかいていた人たちです。そして苦境を通じて学び、とりあえず状況から逃げなかった人でもあります。そうした人材も加わるような流れになれば「自公中道路線」も賑やかになるのではないでしょうか。

それでは自民党が安倍政権の方針から大きく左にシフトする——のかと言えば、必ずしもそうではありません。安倍政権は、日米関係を緊密化しただけでなく、中国やロシアとの外交も丁寧に行ってきましたし、韓国との間では現状はともかく日韓合意を一度は実現しています。また国連の場で「戦時の女性の人権問題」などにも積極的に取り組んできました。

経済政策に至っては、オバマのブレーンが絶賛する「超リベラルな政策」をとってきています。他でもないオバマ大統領の広島訪問を実現した背景には、内閣が非核三原則でまったくブレなかったという点もありました。その中で外交を担ってきた岸田氏などが、その安倍路線をほとんどそのまま継承すれば良いのです。

自民党の次期リーダー候補としては、石破茂氏の存在も重要です。石破氏についても、改憲問題などで思い詰めて小池氏と組むよりも、自分のライフワークは地方創生だという踏ん切りをつけて、岸田氏などと組む方が時代への貢献になると思うのです。

「希望」が第一党を狙い、そこで大連立を工作してくるとしたら、自公は中道シフトを行って大連立を拒否し、それこそ立憲民主党の実務家を引っこ抜いてきて数を合わせていく、そんな中で、選択可能な二大政党制ができれば、日本の民主主義も活力を取り戻せるのではないでしょうか。


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル! ご登録(無料)はこちらから=>>

ニューズウィーク日本版

この記事が気に入ったらいいね!しよう

このトピックスにコメントする

希望の党をもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ