ラグビーも影響か、インフルエンザが既に大流行

10月8日(火)6時0分 JBpress

企業にとって、ワクチンの集団接種を考えることも大切な福利厚生の一つ

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 まだ10月になったばかりだと言うのに、今年はすでにインフルエンザの流行が始まっている。

 通常は12月上旬から3月下旬が流行期で、ピークは1月から2月上旬だ。感染症研究所の報告書をみると、ここまで流行が早く始まるのは2009年以来のことである。

(https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/813-idsc/map/130-flu-10year.html)

 定点観測における1週間の患者数が1.0を超えると流行が始まったと認定されるが、今年は第37週(9月9〜15日)の時点で全国での定点あたりの患者数が1.17人となり、インフルエンザの流行シーズンに入った。

 地域別に見ると、沖縄では7月中から注意報(定点あたり10人以上)が出ており、9月初頭から既に警報レベルの定点あたり30人以上の患者が発生し、第38週には50人以上に増えている。

(沖縄県インフルエンザ関連情報:https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/influ.html)

 第38週(9月16〜22日)の時点で、東京でも定点あたりの患者報告数が1.0を超えたためインフルエンザの流行開始を発表した。

(東京都インフルエンザ情報第2号:http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/assets/flu/2019/Vol22No2.pdf)

 ほかには、石川県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県などで流行開始となった。

(厚生労働省:インフルエンザに関する報道資料発表・インフルエンザ=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html)

 なぜ、例年よりも早くインフルエンザが流行するのか。これはグローバル化が影響していると考えられる。

 インフルエンザは、北半球である日本では10〜3月に流行するが、南半球では4〜9月に流行する。

 インフルエンザは北と南を移動しながら流行しているので、東南アジアなどの熱帯地域では雨期を中心に年間を通じてインフルエンザが流行している。

 最近は、夏休みに海外旅行する日本人が増え、東南アジアなどを旅行した方々を中心に、インフルエンザに感染して国内に持ち込む。

 2日ほど前にシンガポールから帰国直後の20代の女性が39度の発熱で受診されたが、この話だけでインフルエンザを疑うに十分な状況である。

 実際、ぐったりとして体調が悪いのが明らかな状況であり、迅速検査もインフルエンザA型陽性だった。

 もちろん、例年も夏にインフルエンザの患者さんが受診することはある。ただ今年は8月、9月と、かなり頻繁に患者さんが受診していたし、一部の地域では学級閉鎖などもあった。

 沖縄や九州は、台湾をはじめとするアジア諸外国から直行便の乗り入れも多く、旅行者がインフルエンザを発症することもあるだろう。

 また今年はラグビーのワールドカップが日本で開催されている。

 ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチンなど、南半球の強豪国も多い。これらの国から、多くのファンも来日しているだろう。

 今の時期はすでに南半球での流行は収束しているとは言え、インフルエンザがグローバルに運ばれてくることは否定できない。

 今から流行が始まって、そのまま流行が冬場まで続くのか、いったん収束してから例年どおり冬場の流行に繋がるのか、それはまだ分からない。

 だが、いずれにしても、これだけ早くにインフルエンザの流行が始まってしまった。例年と同じようにのんびりとしているわけにはいかない。早急に対策が必要だ。

 うがい、手洗いなど、巷ではいろいろな予防法が言われているが、世界的に唯一効果が認められている予防法はワクチン接種のみである。

 毎年、インフルエンザワクチンは、南半球での流行を見ながら、A型とB型からの2種類ずつを選んで、4種類のウイルス株に対するワクチンとして製造されている。

 今年のワクチンは、A型が昨シーズンとは異なりブリスベン株、カンザス株であり、B型は昨シーズン同様プーケット株とメリーランド株である。

 今年の流行型は昨年と異なるため、昨年までワクチンを接種している方であっても今年はきちんと予防接種した方がいい。

 10月1日から、医療機関でのインフルエンザワクチンの予防接種が開始されている。

 例年だと、ワクチンの希望出種の希望者が増えてくるのは11月以降なので、クリニックによってはまだ入荷していないところもあるかもしれないが、大半のところは、既に入荷して予防接種を始めている。

 昨年、一昨年は、ワクチンの出荷数が少なく入手しにくくなっていたが、今年は十分数のワクチンが供給される見込みである。

 私のクリニックは、例年、10月の上旬の接種希望者はあまり多くないが、11月半ばから、幼稚園児や小学生を中心に予防接種が増えてくる。

 12月になると大人でも増えてくるが、流行が始まったというニュースを聞いて12月下旬以降にあるいは1月になってからかけこんでくる方も多い。

 インフルエンザワクチンの効果が出て抗体が上がってくるのは、予防接種をしてから約2週間ほど経ってからである。例年の様にのんびりしていては、あっという間に流行が広がってしまうだろう。

 なるべく早い時期に、近隣の医療事務機関を受診し、インフルエンザワクチンを接種することをお勧めする。

 今年はA型のワクチン株が昨年とは違うものに切り替わっており、予防のためにもぜひ接種をしていただきたい。

 過去に何回か予防接種をしている方であれば抗体の反応は非常に良いはずだ。

 また小児でもWHO(世界保健機構)は、9歳以上の小児には行った過去に接種歴があれば1回のみのワクチン接種で十分に抗体がつくと示している。

 ただし初めてワクチンを接種する方や、9歳未満の小児では、2回接種をした方が望ましい。

 ビジネスパーソンにとっては、社内でインフルエンザが蔓延し、業務に支障きたすことは避けたいものだと思う。

 しかし一方で、たいていの医療機関の診療時間は平日は夕方まで、日曜日は休診というところが多い。

 予防接種のために仕事を休んでまで受診するインセンティブが働きにくく、仕事をしている方にとっては利用しにくいかもしれない。

 私は、企業主体のワクチンの集団接種が良いと考えている。クリニック医療機関に赴いて接種を受けるのではなく、医療者が企業に出張し、企業内の1室でワクチン接種をするのだ。

 接種を受ける方は、業務の合間に来ることができる。私たちのクリニックでも企業の方から依頼を受け、例年10社ほどに出張し、予防接種に当たらせていただいている。

 一度にまとめて100〜300人規模の接種を行う。合計人数によっては時間制で順番を割り当ててもらい、極端にお待たせしないように工夫している。

 企業の方々の業務をなるべく滞らせないようにするためだ。社員へのワクチン接種は、企業の福利厚生として行うこともできる。

 集団接種は手続きとしては簡単だ。

 集団接種を担当する医師が、地域の保健所に対して社内に臨時の診療所を開設する申請をすればよい。

 時間を区切って集中的に接種を行えば、短時間でもかなりの人数に接種をすることができる。あまりに少人数だと医療機関側も渋るかもしれないが、80〜100人程が集まるようなら業務として成立するので、医療機関側としても出張しやすい。

 あとは医療機関側が大量のワクチンをまとめて確保できることが前提であるので、ワクチンの流通次第だろう。

 とにかく知っていただきたいことは、集団接種は法的に認められている接種方法だということである。

 以前には学校での集団接種が行われていたこともあるくらいだ。企業の担当者の方は、集団接種をご一考いただきたいと思う。

筆者:濱木 珠恵

JBpress

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