日米貿易協議は茨の道、TAG交渉開始は日本の譲歩—中国メディア

10月11日(木)5時40分 Record China

ここしばらくの間、米国のトランプ大統領の対日貿易赤字削減の要求に応えるため、日米間の貿易協議メカニズムが次々に打ち出されているが、問題の解決という点では少しも進展がみられない。資料写真。

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ここしばらくの間、米国のトランプ大統領の対日貿易赤字削減の要求に応えるため、日米間の貿易協議メカニズムが次々に打ち出されているが、問題の解決という点では少しも進展がみられない。日本政府は米国の圧力を受け、国内では農家の抵抗に遭い、国会にも牽制されて、妥協の余地が少なく、話し合ううちに状況が変わるのを待つというのが日本の変わらぬ戦略だ。今後の日米貿易交渉も引き続き「茨の道」になることが予想される。経済日報が伝えた。

このほど国連総会に出席した安倍晋三首相とトランプ大統領は米ニューヨークで首脳会談を行い、話し合われた重点的議題は最大の争点である貿易不均衡問題だった。会談後に発表された共同声明によると、双方は日米物品貿易協定(TAG)の調印に向けて新たな交渉をスタートすることで合意したという。ここしばらく、日米間にはさまざまな交渉メカニズムが登場しているが、問題解決に向けた進展はみられない。

日本は米国にとって3番目の貿易赤字相手国であり、2017年の対日貿易赤字は688億ドル(約7兆7957億円)に上った。トランプ大統領の赤字削減の要求に応えるため、日米貿易協議メカニズムが次々打ち出されているが、問題は解決に向けて進展していない。昨年にはペンス副大統領と麻生太郎副総理が日米経済対話を開催し、今年上半期には米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と茂木敏充経済再生担当大臣が新たな貿易交渉をスタートしたが、どちらも成果は上がっていない。すぐにも成果がほしいトランプ大統領は物品貿易に絞って交渉を要求し、できるだけ早く新協定に調印することも要求した。だがこのたびの首脳会談で、日米はそれぞれ防衛ラインを設定しており、ここから今後の交渉の困難さが予想される。

共同声明を詳しく読み解くと、日米双方は具体的な手段により両国間の貿易、投資を拡大し、世界経済の「自由で公平で開放的な」発展を促進することで同意したが、米国はTAGの交渉・調印を要求しており、すぐにも結果を出したい様子がうかがえる。特に米国は共同声明に「米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」という一文を加えており、ここからトランプ政権が中間選挙を前にして対日交渉で功を急ぐ姿が浮き彫りになった。

日本は共同声明に「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること」という一文を加えた。これが意味するのは、環太平洋経済連携協定(TPP)で約束した内容が日本の対米交渉の譲歩ラインだということだ。だがトランプ政権はTPPの合意内容に不満だから離脱したのであり、大統領自身、「二国間交渉でなければ米国の利益は保障されない」と繰り返し述べている。対日交渉で日本からより大きな譲歩を勝ち取りたいという米国の思惑は明らかだ。

自動車と農林水産品が日米間で貿易摩擦が最も多く発生する分野だ。日本の関係者の多くが述べるように、日本政府は農林水産品で適度に譲歩して、自動車分野での米国の制裁関税を回避したい考えだ。昨年の日本の自動車の対米輸出量は174万台に上る。自動車と関連部品は日本の対米輸出の主力製品であり、米国の対日貿易赤字の70%は自動車輸入によるものだ。日本のシンクタンク大和総研の試算では、仮に米国が日本車に25%の関税を課したとすると、日本の自動車メーカーと部品メーカーにとっては総額2兆2000億円の負担増加になる。日米共同声明には、「日米両国は協議が行われている間、この共同声明の精神に反する行動を取らない」とあり、制裁措置をひとまず棚上げする方針が示されたが、トランプ大統領の性格や米国の韓国やメキシコに対するやり方を思い、日本政府関係者や日本の企業界は戦々恐々としている。

日本は長い間、同盟国であることを根拠に日米の利益が一致することを強調してきた。だがトランプ大統領は日米貿易に言及した際、「日本は米国をATM(現金自動預払機)にしている」と非難するとともに、「米国は巨額の資金を拠出して日本の安全保障を担ってきたが、日本は米国に大量の自動車を輸出して荒稼ぎをしており、道理が通らない」と繰り返し述べてきた。今年に入ってから、米政府は二国間貿易協定の改定を多くの国に迫っており、さまざまな事例から明らかなように、米国は同じやり方で日本に圧力をかけて譲歩を引きだそうとしている。

これから日本の対米交渉の困難がさまざまな面に現れるとみられる。まず、日本が一貫して市場経済と自由貿易体制を主張してきた姿勢が揺らぐことになる。茂木大臣は国際貿易とは企業の市場行為であり、政府が制限や干渉をしてはならないと繰り返し強調してきた。日本政府が米国の要求をのんで輸出を制限するなら、管理貿易体制への後戻りであり、日本の貿易の原則に背くことになる。

次に、関税率引き下げの問題がある。対米関税の税率を多国間経済協定の税率より低くすれば、世界貿易機関(WTO)協定の最恵国待遇原則に基づき、新税率はWTOの全加盟国に適用される。そうなると日本国内の農林水産品は深刻なダメージを受けることになり、農家への説明に窮するだけでなく、国会の審議で可決されることも難しい。おまけに日本は来年夏に参議院選挙があり、関税問題をうまく処理できなければ、安倍首相が率いる政権与党は危機に直面することになる。

さらに、日本政府はこれまでずっと多国間貿易の原則の堅持を主張し、新たな二国間貿易協定への調印を拒んできたが、拒み通すことが難しくなる。TAG交渉のスタートは、実際には米国に対する譲歩だ。首脳会談の後、日本政府は国内に向けて、TAGは特定の分野に関する協定に過ぎず、投資やサービス貿易などは含まれない。よって日本政府の原則に背くものではないと繰り返し説明してきた。だが注意深い日本メディアは、共同声明の中に「TAGの議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉する」とあることにすでに気づいている。ライトハイザー代表も、「交渉の目的はできるだけ早く二国間経済貿易協定を締結することにある」と明言している。

こうしてみると、日本政府は米国の圧力、国内の農家の抵抗、国会の牽制の下で、妥協の余地が少ない。とりあえず話し合いを始め、結論をできるだけ先延ばしにし、話し合ううちに状況が変わるのを待つというのが日本の相も変わらぬ戦略だ。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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