コロナ終了? 中国自動車市場が大復活を遂げていた

10月26日(月)6時0分 JBpress

多くの来場者でにぎわう北京モーターショー2020(2020年10月2日、写真:アフロ)

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(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)

 中国汽車工業協会(以下「中汽協」)の発表によると、今年(2020年)1〜9月における中国自動車販売台数は前年同期比6.9%減の1711.6万台でした。累計販売台数は前年割れとなっていますが、直近の9月単月の販売台数をみると前年同月比12.8%増と5カ月連続で2桁増を記録し、コロナウイルスによる影響を克服したかのような好調ぶりを見せています。

 ただし、その理由ははっきりせず、自動車業界関係者らの間でも見方が分かれています。

 そのなかで日系各社の販売台数も依然急増し続けており、サプライヤーからは生産が追いつかないという声まで聞かれます。

 今回はこうした今年第1〜3四半期における中国自動車業界の現状について、各種データとともにご紹介します。


前年比の減少幅が3カ月で10ポイント縮小

 下のグラフは、2019年から2020年9月までの中国における月ごとの自動車販売台数推移です。

 通年で前年比割れした2019年に引き続き、2020年1月の販売台数は前年同月比で18.6%減と大きく落ち込みました。さらに翌2月に至っては、コロナウイルス流行に伴う経済活動の停滞により、同79.1%減という壊滅的な落ち込みを見せました。

 しかし次の3月こそ同43.3%減と大幅な落ち込みが続いたものの、4月は同4.5%増と早くもプラス成長に転換しました。そして5月以降は毎月2桁の成長率を記録するなど、好調な売れ行きを見せています。

 こうした5月以降の活況を受けてか、累計販売台数は、1〜6月は前年同期比16.9%減でしたが、1〜9月は同6.9%減にまで回復しました。

 新型コロナウイルスの流行を受け、中国自動車市場は当初、今年も通年での前年割れが予想されていました。しかし直近の活況を受け「今年はマイナスどころか前年比プラスを達成するのでは」という声が日増しに高まってきています。


日系メーカーは絶好調

 メーカー別販売台数では、独フォルクスワーゲン(VW)系列の一汽大衆と上汽大衆が1位と2位、米ゼネラルモーターズ(GM)系列の上汽通用が3位という、トップ3の順位は不動のままです。

 注目すべきなのは日系各社の好調が続き、シェアを拡大し続けていることです。今年前半の落ち込みから多くのメーカーの2020年の累計販売台数が前年比割れとなっている中、トヨタ系列の一汽豊田(前年同期比2.9%増)と広汽豊田(同11.6%増)は現時点で既に前年以上の販売台数を記録しています。どちらも主力車種である「カローラ」と「レビン」の販売が好調で、中国でのハイブリッド車の人気上昇、普及の流れに上手く乗っていることが指摘されています。

 また日産系列の東風日産も、主力車種「シルフィ」の絶好調が続いています。2020年1〜9月における「シルフィ」の販売台数は前年同期比12.5%増の35.7万台となり、セダン販売における首位の座を盤石なものとしています。

 なお同期の車種別販売台数では、「アウディA6」の販売台数が同56.5%増の12.9万台と際立った伸びを見せています。その要因として、ライバル車「BMW5シリーズ」への対抗として行った大胆な値下げ販売が功を奏した結果であると分析されています。


市場活況に困惑するサプライヤー

 上記の通り、中国自動車市場では新型コロナウイルスの影響を吹き飛ばすかのような活況が続いています。特に日系各社の好調ぶりはその中でも際立っており、国別販売台数シェアで見ても、2019年は21.9%であったのに対し、2020年1〜9月は2.4ポイント増えて24.3%となりました。

 こうした事態を受け、日系完成車メーカーはサプライヤー各社に対し、部品や原材料供給体制の強化を求めています。

 ただ、あまりのハイペースな増産ぶりから、一部の日系自動車部品メーカーでは生産が追い付かないところも出ています。一部サプライヤーは10月初めの国慶節連休中も工場の稼働を迫られ、増産対応に苦慮する企業もみられます。また、ある日系原材料サプライヤーによると、同社の売上げは現在過去最高ペースで推移しており、あまりの好調ぶりにむしろ困惑しているとのことです。


高価格帯の比率が拡大

 中国自動車市場がなぜこれほど好調なのかについては、業界関係者の間でもはっきりとした結論は出ていません。「自粛期間を経た反動消費」「初回購入ユーザーの増加」「買替需要の拡大」などが理由として挙げられていますが、ここまで販売台数が伸びている決定的な理由はわかりません。

 ただ、筆者が改めて各種データを見直したところ、1つ気になる動きがみられました。それは自動車購入価格帯別の販売台数シェアです。

 同データによると、自動車購入価格が30万元(約472万円)以上の販売台数比率は、2017年が4.7%、2018年が5.7%、2019年が7.0%であったのに対し、2020年1〜9月は10%と急拡大しています。これはどういうことかというと、高価格帯の車を購入するユーザーが短期間で増えていることを意味します。

 新型コロナウイルスの流行により社会全体で雇用が不安定となる中、どうして自動車の購入単価が上昇しているのでしょうか。

 中国では、自動車を購入できるような、大企業に勤める人の収入はそれほど悪化していないとされています。一方、新型コロナの感染拡大によって、海外旅行には事実上行けなくなってしまいました。つまり、海外旅行に毎年出かけていたような層が、浮いた旅行費用を自動車などの購入などに回している可能性は考えられます。

 少なくとも確実に言えることは、新型コロナウイルスの感染拡大で中国人の消費行動には大きな変化が生じています。そして、自動車に関しては高価格帯の購入比率が拡大しているということです。

 今年は残り2カ月あまりですが自動車市場の活況は続くのか。日系メーカーの動向も含めて見守りたいと思います。

筆者:花園 祐

JBpress

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