世界初、超臨界石炭火力ボイラー用高速起動停止・負荷変動対応装置を開発―中国
2024年11月5日(火)9時30分 Record China
中国の華北電力大学の杜小沢教授と龐力平教授が率いる研究開発チームはこのほど、世界初の超臨界発電ユニット石炭火力ボイラーの水蒸気分離器の温度場を能動的に制御する装置とシステムの開発に成功しました。この装置は、中国華電集団傘下の新疆五彩湾発電の2号発電ユニットで現場運用を開始しました。
中国では石炭火力発電が2023年も総発電量の約6割を占めている主要な発電方式であり、長期にわたり電力供給の基盤を支える重要な役割を果たしています。同時に、中国ではエネルギー供給のモデルチェンジの推進と新型電力システムの建設に伴い、石炭火力発電は電力生産の「礎」であると同時に、増え続ける再生可能エネルギーの電力網への接続のために、電源を臨機応変に調節する機能も果たさねばなりません。
石炭火力ボイラーと厚壁部品にはいずれも巨大な熱慣性が存在するため、発電ユニットの頻繁な負荷変動や温度条件の変化により設備内部に熱応力が発生して厚壁部品の寿命が損耗し、さらにはユニットの安全リスクが発生する可能性もあります。石炭火力ボイラーに柔軟性を持たせる技術改造を施すことで、発電過程における機器の寿命の損耗を有効に抑えることができます。この技術における温度調整装置は、ボイラーの厚壁部品に「電気湯たんぽ」を貼りつけたようなもので、能動的に加熱することで熱応力によるボイラーへの影響を軽減して、高温部品の耐用年数を延長すると同時に、安全性も向上させます。
この技術の注目点は、温度調整装置が予熱することで、エネルギー消費の低い状態で設備の待機状態を維持できる点です。運転が必要になれば、石炭火力ボイラーは迅速に応答し、蒸気発生までの時間を半分近くに短縮し、ユニットの迅速な起動と停止や負荷変動の要求に対応するだけでなく、設備の熱応力による損傷を有効に抑制し、ユニットの安全稼動を確保することができます。(提供/CRI)