絶滅したマンモスがクローンでよみがえる

11月15日(水)16時50分 ニューズウィーク日本版

<アメリカの大学と韓国の研究機関がクローン技術でマンモスを復活させる研究をめぐってしのぎを削っている>

氷河時代の地球上で王者として君臨したマンモスにロマンを感じる人にはうれしいニュースだ。マンモスのクローン作成をめぐり、ハーバード大学医学大学院と韓国のスアム生命工学研究院の研究チームがしのぎを削っているのだ。

「脱絶滅」と呼ばれるこの試みを支えるのは、クローン技術を使って既に絶滅した動物をよみがえらせる技術だ。まず必要なのは、絶滅した動物のDNAを含む細胞核。これを近縁の現生種の核のない卵子に移植し、代理母の子宮に戻す。もしうまくいけば、地上から一度は姿を消した絶滅種を復活させられることになる。

では、大昔に絶滅したマンモスのDNA塩基配列をどうやって再現するか。2つのチームの手法の違いはここにある。

韓国のスアムは、犬をはじめとする動物のクローン技術で知られる研究機関だ。16年には、マンモス復活プロジェクトのために中国国家遺伝子バンクおよびロシアの北東連邦大学と協力することで合意したと発表した。

ロシア、特にシベリアの研究者と組むのは重要だ。マンモスの凍った死体はツンドラの解けかけた凍土の中に埋まっているからだ。スアムは映画『ジュラシック・パーク』よろしく、ここから抽出したDNAを培養したいと考えている。

だがDNAは壊れやすく、死後長い時間が経てば劣化が進む。スアムも犬のクローンを作る際には生前あるいは死の直後にサンプルを取る必要があり、死体を冷凍保存してはならないと呼び掛けている。シベリアのマンモスの死体は1万年かそれ以上、永久凍土という天然の冷凍庫に眠っており、DNAを完全な形で抽出するのは難しそうだ。

一方、ハーバード大学医学大学院のジョージ・チャーチ教授のアプローチは異なる。チャーチは人間への臓器移植を目的にブタのゲノムを編集する研究で知られている。

チャーチが目指しているのはマンモスの完全なDNAの採取ではなく、採取したマンモスのDNAをゾウのゲノムに組み込むというものだ。マンモスのゲノム配列は既に解析されており、どの遺伝子を使えばマンモスらしい特徴(長い体毛や寒さへの耐性など)をもたらせるのかも分かっている。

多くの人の想像力をかき立ててきたマンモス。ハーバードとスアムのどちらが先にクローン作成に成功するかは分からないが、その姿が現代によみがえればまさに歴史的な出来事になるはずだ。


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[2017.11.14号掲載]
クリスティン・ヒューゴ

ニューズウィーク日本版

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