サッチャー元英首相 冷戦終結に導いた「人を見る目」

11月25日(土)7時0分 NEWSポストセブン

必要であれば不人気政策を断行した Shutterstock/AFLO

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 国際情勢が緊迫度を増すなか、リーダーに求められるのは「人を見抜く目」だ。落合信彦氏が、イギリスを救った稀代の政治家、マーガレット・サッチャー元首相のエピソードを紹介する。


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 一国のリーダーに求められるのは決断力とともに人を見る目だ。たとえ敵国の要人であっても高い見識と能力を持ち、信ずるに値する人物ならば、有力なカウンターパートたり得る。胸襟を開き、難局を乗り切るため知恵を出し合い、時に連携することも可能だ。それを実践して見せたのがサッチャーだった。彼女がいなければ、東西冷戦の終結はなかったと言える。


 ソ連のミハイル・ゴルバチョフを西側の政治家として誰よりも早く見いだし、当時、ソ連を悪の帝国と忌み嫌ったレーガンに会わせたのは他ならぬサッチャーだったからだ。


 チェルネンコ政権の末期、当時ソ連共産党政治局員だったゴルバチョフがロンドンを訪問した。チェルネンコが病の床にあり、すでにポスト・チェルネンコの座を巡って何人かの有力な政治局員の名前があがっていたが、ゴルバチョフはその一人だった。彼と面会したサッチャーは、会話の内容やその態度から人物を見抜いた。サッチャーは私のインタビューでその時の様子をこう振り返った。


「まず彼は、自分の言葉で自分の考えをストレートにぶつけてきました。ノートを見ながらそれを棒読みするそれまでの指導者とは大違いです。しかも言っていることに一貫性があり、真剣味と共に誠意もありました。相当な知性と勇気を持った人間だと感じさせられました。(中略)その結果私がたどり着いた結論は、ゴルバチョフ氏がそれまでのソ連の指導者と違って、一緒に仕事ができる人物ということでした」


 ゴルバチョフとの会談の直後、サッチャーはこう断言した。


「私はまだソ連という国は信用できないが、あなたなら信用する」


 当時、すでにサッチャーと完全な信頼関係を築いていたレーガンが、彼女のアドバイスに従い、ゴルバチョフと何度も会談し、真剣に話し合ったことは言うまでも無い。


 悲しいかな、わが国のリーダーはそのような人物を見抜く「目」を持ち合わせてはいない。安倍が日米同盟を過信し、首脳会談でトランプと見つめ合う気色悪いシーンは世界から失笑された。結局、“仲良し”を演出したこと以外、何も収穫はなかった。サッチャーのような決断力を持たないトランプにすがる姿は悲しくもある。


※SAPIO2017年11・12月号

NEWSポストセブン

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