消毒液不足の北朝鮮が新たに編み出した「驚きの代用品」

2020年12月25日(金)6時10分 デイリーNKジャパン

北朝鮮は、政治的なビッグイベントや国家的記念日の前に、事件や事故が起こることを忌み嫌う。


来年1月には朝鮮労働党第8回大会の開催が予定されているが、それに向けて、新型コロナウイルス感染拡大の防止に躍起になっている。国内移動の統制を厳格化し、国民に対して「超特級非常防疫措置」の厳守を連日呼び掛けている。


また、中国やロシアと国境を接する地域では、コロナ対策が決められたとおりに行われているか点検する作業が行われている。


咸鏡北道(ハムギョンブクト)と平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、現地に中央非常防疫委員会のメンバーが現地にやってきて、防疫規則がきちんと守られているか、検閲(監査)を大々的に行っていると伝えた。


地域住民に対しては、防疫規定と行動秩序を守り、路上でも歩行者どうしが2メートルの距離を保つソーシャル・ディスタンシングを保つことや、些細なことでもすぐに報告するように指示を下した。


地域の医師は、管轄区域の住民に対して1日2回の検温を行い、人民班(町内会)の班長は各世帯をまわり、1日に4回の手指消毒を行っているかのチェックを行う。しかし、消毒を行おうにも、消毒薬は不足し、あったとしても経済的な負担が大きい。そこで、班長が提案したのは、こんな代用品だ。


「スプーン半分の塩を入れて沸かしたお湯を消毒液として使え」


世界保健機関(WHO)はコロナ関連のデマ防止サイトで、食塩水での鼻うがいが一般的な風邪の早い回復を助けるという少数の限られた証拠があるが、コロナ感染が予防できたという科学的根拠はないとしている。


一方、北朝鮮の防疫所の係官の推奨する方法はこのようなものだ。


「毎日のおかずにニンニクの絞り汁を入れよ、ニンニクの臭いをかぐだけでもいい」


WHOの説明を見てみよう。


ニンニクはある程度の抗菌性が期待される健康に良い食品です。しかし、現在起きているアウトブレイクでは、ニンニクを食べた人が新型コロナウイルスを予防できたという科学的根拠はありません。


北朝鮮ではほかにも、味噌やキムチがコロナに効果があるとする俗説が後をたたない。当局がそんな宣伝を行っているからだろう。今回のニンニク汁はその派生版と言ったところか。コロナ感染拡大初期に、韓国でも同様の話が出回ったが、韓国政府は早々に根拠がないと否定している。



WHOが推奨しているのは石鹸、水、アルコールで手を洗う、咳やくしゃみをしている人とは1メートルの距離を置く、目、鼻、口を触らない、咳やくしゃみをするときはティッシュや肘で口と鼻を覆うと言った方法だ。


国営メディアは連日、世界でのコロナ感染拡大の状況を伝え恐怖心をあおり、地域では事細かい対策を指示される。そんな状況で、野菜や果物の病害の原因を除去する、硫黄燻蒸を行う人が出る始末だ。


ちなみに、コロナの「デマ治療法、予防法」は北朝鮮に限った話ではない。


ニンニクがコロナに効果があるというデマは北朝鮮だけではなく、他の国でも見られた。日本では一時、納豆、緑茶、お湯が効果的というデマが広がったことがあった。


大阪府の吉村知事は、ポビドンヨードのうがい薬でコロナの陽性率が下がったという️研究結果を発表。米国のトランプ大統領は、コロナ治療法として消毒液の注射に言及し、いずれも批判を受けた。

デイリーNKジャパン

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