プライバシー重視、VPN対応、多機能など特徴さまざま - Firefoxをベースとした派生ブラウザ3選
2025年2月8日(土)6時0分 マイナビニュース
世の中には数多くの派生ブラウザが存在するが、近年注目を集めつつあるのが、Firefoxから派生したブラウザだ。
これまで派生ブラウザと言えばChrome(Chromium)をベースとしたブラウザが多くを占めていたが、Googleサービスをなるべく使いたくないなどの理由で、ChromeではなくオープンソースのFirefoxをベースにした派生ブラウザがじわじわ増え、ユーザからも密かな人気を集めつつある。
今回はそんなFirefoxベースの派生ブラウザの中から、独自の特徴を備え、また日本語環境でも問題なく利用可能な3つのブラウザを紹介する。
○プライバシー保護に特化した「LibreWolf」
「LibreWolf」は、プライバシー保護に特化したブラウザ。Cookieや履歴の自動削除機能はデフォルトで有効、トラッキング防止機能も「厳格」が標準だったりと、Firefoxが備えるプライバシー関連の選択項目がもっとも厳しく設定されているほか、Firefoxにある使用状況データやクラッシュレポートの送信機能そのものが省かれていたり、検索エンジンからGoogleが排除されていたりと、外部にユーザデータが流出しうる経路を無効化する方針が徹底されている。
このほか広告ブロック機能も標準で搭載しており、Torのような匿名化はせずにプライバシーやセキュリティを極限まで引き上げたい場合に最適で、それゆえ速度面への影響も少ない。ただしそうした方針ゆえ同期機能など外部との連携はやや弱い面も。ホームページは英語だが、ブラウザ本体は日本語で利用可能。
○匿名通信に注力した「Mullvad」
「Mullvad Browser」は、Tor ProjectとスウェーデンMullvad VPNが共同開発した匿名性重視のブラウザ。プライベートブラウジングモードが標準となっており、外部VPNサービスであるMullvad VPNを組み合わせることでアクセス元の識別を困難にすることが特徴。
またGoogleの検索エンジンやWebRTCなど、Googleに関連する要素を徹底的に排除していたり、Firefoxでは有効になっている使用状況データの送信機能そのものが無効化されていたり、DNSとブラウザ間の通信を暗号化するDNS over HTTPSがデフォルトで最大限に設定されていたりと、外部にデータを漏らさないことを重視した設計が見られる。
前出のLibreWolfと全体的には似ているが、VPNを使うか否かが最大の違いだ。こちらも同期機能など外部との連携や、拡張機能の追加には制限がある。
○タブやジェスチャーなどカスタマイズ性が売りの「Floorp」
「Floorp」は、日本の開発チームAblazeによって開発された、カスタマイズ性の高さが売りの国産ブラウザ。垂直タブやツリー型タブといった高度なタブ管理機能を標準搭載するほか、サイドバーやボタンの配置の変更、独自テーマの追加などUIカスタマイズ機能に注力している。
さらにジェスチャー機能の強化によって作業効率の向上をはかっているほか、独自の同期機能によって複数デバイス間で設定や履歴を共有できるのも特徴。一方で検索エンジンはGoogleがデフォルトだったり、HTTPS-Onlyモードは無効化されていたりと、トラッキング防止機能はデフォルトで「標準」であるなど、Google排除の方針は見られず、全体的にバランス優先の設計が目に付く。独自のデータ同期機能を搭載するのも特徴だ。
山口真弘 ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWebや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーがおもな守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。 この著者の記事一覧はこちら