アークエッジ・スペースなどが共同開発した衛星が高分解能での撮像に成功

2025年2月10日(月)18時36分 マイナビニュース


アークエッジ・スペースは2月7日、台湾国家宇宙センター(TASA)および東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 中須賀・船瀬・五十里研究室と共同で開発した後に宇宙へと打ち上げられた、6U級地球観測用衛星「ONGLAISAT(オンライサット)」が、設定された目標を達成し、キューブサットにおいて世界最高レベルの地上分解能(2.5m〜3.0m)での撮像に成功したと発表した。
○新規性が高く重要な4つの衛星技術項目を実証
ONGLAISATは、TASAが実施する6U超小型衛星短期実証事業「6U Fast Validation Cubesat」の一環として、同センターが開発した光学観測装置の軌道実証を行うため、アークエッジ・スペースと東大が共同開発した高精度姿勢制御技術を含む衛星バスを用いた6U衛星だ。
同衛星は、2024年11月5日にSpaceXのFalcon9ロケットに搭載されたドラゴン宇宙船により打ち上げられた後、国際宇宙ステーション(ISS)に到着。同年12月9日にISSより放出され、翌10日にはアークエッジ・スペースが保有する牧之原地上局との試験電波による通信を確立した。そして約2か月間にわたる軌道上実証を行い、ONGLAISATが搭載する地球観測用光学システムに関するすべてのミッション目標を達成したとする。
今回の実証において達成された目標のうち、重要かつ新規性の高い要素として、アークエッジ・スペースは以下の4項目を挙げた。
新規光学システムによる撮像実証
時間遅延積分技術(TDI)によるイメージセンサ実証
オンボード処理技術実証
高度な衛星バス技術の実証
○新規光学システムによる撮像実証
ONGLAISATの打ち上げでは、TASAとして初となるKorsch off-axisタイプの光学システムを衛星光学ペイロードの設計に採用。システム設計・製造・組み立てに高い技術が求められる同システムを用い、サイズを縮小しつつ光学性能を向上させることに成功したという。
○TDIによるイメージセンサ実証
今回のミッションでは、台湾半導体研究センターが開発した台湾産TDIセンサである「CMOS TDI」の軌道上実証に成功したとのこと。なおTDIとは、衛星が移動する速さに合わせてカメラのセンサ上で光の明るさを積み重ねる技術で、より明るくクリアな画像を取得できるとした。
○オンボード処理技術実証
従来の人工衛星では、画像を取得してから地上に送信するまでに、通信帯域の制約などにより長い時間を要していた。しかし今回の実証では、衛星内で画像を圧縮するオンボード処理技術を用いることで、迅速に地上へと画像を送信し解析・利用することが可能だったとする。
○高度な衛星バス技術の実証
前出のTDIを用いた撮像では、センサの画素レベルで像がぶれないほどの高精度な姿勢制御技術が求められるとのこと。さらに工学系システムの精度保証のために精密な温度管理も求められる中、今回はこれらの実証に成功したという。
○実証技術はさらに大型の人工衛星に適用できる可能性も
アークエッジ・スペースは、東京大学との連携によってこれらの新規性の高いシステムを適切に統合する技術を確立するとともに、TDI撮像のための高精度姿勢制御や精密な温度管理など、高度な人工衛星運用技術を確立したとする。また今回実証された4つの項目は、6U級キューブサットのみならず、今後さらに大型の人工衛星の展開可能だとしており、同社はこれらの技術を活用し、より市場競争力の高い人工衛星の開発・運用および付随サービスの開発を推進するとしている。

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