NIMSなど、HDDの記録高率を35%向上させる新技術の原理実証に成功
2025年2月12日(水)16時12分 マイナビニュース
物質・材料研究機構(NIMS)と米・Seagate Technologyの両者は2月10日、HDDに利用されている「熱アシスト磁気記録」に「スピントルク」を組み合わせることで、記録効率を35%向上させる新たな記録原理を実証したことを共同で発表した。
同成果は、NIMS 磁性・スピントロニクス材料研究センター 磁気記録材料グループの磯上慎二主任研究員をはじめ、Seagate Technologyなどの共同研究チームによるもの。詳細は、ナノ構造を含む無機材料に関する全般を扱う学術誌「Acta Materialia」に掲載された。
熱アシスト磁気記録方式とは、磁気ヘッドからレーザーを照射し、記録媒体を「キュリー温度」(磁性体が磁気特性を失う温度)に近い約450℃まで局所的に加熱することで、磁化反転に必要なエネルギー障壁を下げ、情報の記録効率を高める技術だ。現行のHDDで広く使用されている「鉄白金(FePt)ナノグラニュラー媒体」は優れた熱安定性を持つものの、磁場による書き込みが困難なことが課題となっていたが、熱アシスト磁気記録方式の導入によりその課題が解決され、記録密度が向上。特にSeagate Technologyは2020年にこの方式を実用化し、2024年から大量生産を行っている。
.