札幌商工会議所が「業務改善EXPO」開催、人手不足で高まるITへの期待

2025年2月13日(木)12時0分 マイナビニュース


札幌商工会議所は1月28日、NTT東日本や三城の協力の下、札幌市内で中小企業の働き方改革の推進を目的に、業務の効率化、生産性の向上に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)・ITツールを紹介する展示会「業務改善EXPO ロボット・IoT・AI・ITソリューション展示体験会」を開催した。
会場は、ロボットがテーマのAホールとシステム系がテーマのBホールに分けられ、それぞれ18社、25社が出展。当日は多くの会員企業が来場した。
札幌商工会議所は、中小企業を中心に約2万社の会員企業が加盟する札幌市で最大の経済団体。会員数は東京・大阪に次いで全国3位だ。同会議所は、建設、住宅不動産、情報、観光、健康・文化など11の部会を抱えており、建設業や飲食店、IT関係、サービス業など、さまざまな業界の企業が加盟している。
札幌商工会議所 産業部 IT推進室 課長 平岡優一氏はこのイベントの狙いについて、次のように説明した。
「会員企業のみなさまは、どの業種も人手不足という課題を抱えています。ただ人手不足の中でも、やらなくてはいけないことは変わりません。デジタルがこの課題を解決する鍵になりそうだ思いながらも、具体的にやるべきことがわからない企業が多いと思います。今回のような展示会によって、いろいろなツールがあることをまずは知っていただいて、そのツールで何ができるのか、どう効率化されるのかを確認してもらいたいと考えています」
人手不足に直接的な効果をもたらす配膳ロボット
Aホールの入り口でSB C&Sが紹介していたのは、ファミリーレストランなどでも見かける、ソフトバンクロボティクスが提供する配膳・運搬ロボット「Keenbot(キーンボット)」だ。会場では「T5」と「Servi Plus」が展示されていた。
両ロボットは約0.8m/秒で移動し、最大40kgの運搬が可能だ。重量センサーの活用により料理を受け取ると、自動で次の目的地へ向かっていく。連続稼働時間は「T5」が11〜14時間、「Servi Plus」は8〜12時間となっている。月額10万円を切る価格でレンタルできるという。最近は配膳だけではなく、工場の部品や倉庫でピッキングなどでも利用されているとのことだ。
また、同社は掃除ロボットの「Whiz i」も展示。清掃能力は約500平方メートル/時間だという。家庭向けのロボット掃除機に比べ、清掃範囲が広く、ブレードが本体に付属し、ハードフロアの清掃での吸塵率をアップしているという。月額4万円程度でレンタルできるため、担当者は「従業員を雇うよりもロボットをレンタルしたほうが、コストメリットが大きい」と語っていた。
比較的、Aホールで広いブースを構えていたのはNTT東日本だ。同社は1月20日に発表し、イベント前日の1月27日から提供を開始した「おまかせサイバーみまもりセキュリティパッケージ」を展示。
同サービスはルータ配下に専用BOX(UTM:Unified Threat Management)を設置することで、出入口対策(UTM)、端末対策(ウイルス対策+EDR)、ウイルス侵入検知・防御といったセキュリティ機能を、運用サポートを含めて一元的に提供する。
価格は、Standardプランが2万350円から、1Gbps超ネットワークサービスを最大限に活用できるGigaプランが2万8,600円からとなっている(いずれも税込)。
また同社は、PBXを使うことなくスマートフォンを内線で利用できるモバイル内線アダプタ「MB510」を展示していた。「MB510」を使った内線システムでは、外出先で会社にかかってきた電話を受けられるほか、外出先から得意先に会社の外線番号を使って発信できるという。
そのほか、NTT-MEは災害対応へのドローン活用を紹介していた。台風や地震等の災害時に、ドローンを使って、道路寸断、橋倒壊、土砂崩れ等の状況把握やケーブルの復旧作業を行う。
インバウンド向けの通訳(翻訳)サービス
札幌は外国人の観光客が多いことから、ティーガイアはインバウンド向けにタブレットやスマートフォンを利用した映像通訳「みえる通訳」を紹介。
同ソリューションは遠隔でリアルなオペレータが通訳するもので、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語など訪日外国人旅行者の約96%をカバーする13カ国語と日本手話にも対応。
商品説明はもちろん、ホテルや旅館のフロント対応、免税手続き、自治体の受付など、多くの小売り・商業施設、宿泊施設、自治体、医療機関などで利用されているという。
料金は初期費用が5万円、月額料金が1ID当たり2万5,000円(税別)。医療通訳は1ID当たり月額3万5,000円、自治体窓口は初期費用が10万円、ID無制限で月額料金が1万2,000円から(いずれも税別)。
NTTネクシアは、コールセンター向けの多言語コミュニケーションサービスを提供。通訳サービスは24時間365日、11カ国語に対応している。オフィスに外国の顧客から電話が来た際、NTTネクシア多言語コンタクトセンター(コールセンター)を呼び出し、三者間通話で通訳対応する。
エンゲージメント強化を支援するマーケティングツール
会場で目立っていたのは、エンゲージメント強化などを支援するマーケティングツールだ。地元企業のRenoが紹介していたのはXbot(クロスボット)という顧客管理とマーケティングを実現するLINEツール。同ツールでは、LINE公式アカウントに友達になったユーザーが、LINE上で利用登録をすることでLINEから来店予約できたり、商品を買ったり、また店舗側はそれらのデータを名簿、履歴としてオンライン管理したり、アンケートを取ったりできる。価格は月額2万5,000円から(税別)。
NTT東日本サービスはSNS・メルマガ、動画制作代行する「Webプロモーション」を紹介。同サービスは企業に代わり、SNSについて運用アカウント開設、投稿代行、成果把握・分析を行い、メルマガについて記事企画、ライティング、配信を行い、動画について企画・編集、公開などを行う。価格は月額3万3,000円(税込)から。
また、NTTネクシアはコネクター・ジャパンのオルト(alt)を紹介。オルトはLINE公式アカウントを活用した実店舗の会員管理システムで、再来店を促進するサービス。ポイントカードやデジタル会員証の発行、会員特典やクーポンの発行、来店回数や獲得ポイントに応じたランク設定、業界に合わせた機能のカスタマイズ、来店促進メッセージの配信、顧客情報の自動取得などが行える。
空気から水を作るウォーターサーバー
ITに直接関係はないが、NTT東日本はBCP対策として、空気から水を作る技術を応用したENELLの製水型ハイブリットサーバー「無限水」を紹介していた。月額1,000円ほどの電気代で、毎時平均1リットル、1日に約24リットルの水をつくり続けられるという。空気から水を作るためで、追加ボトル注文・受け取り・交換・保管・ゴミ捨て等の手間がないのがメリットだ。
来場者は昨年の3倍以上と盛況
「業務改善EXPO ロボット・IoT・AI・ITソリューション展示体験会」の開催は今回が初めてだが、ITツールを紹介する展示会は昨年も「ロボット・IoT・AIソリューション展示体験会」として行っており、100名ほどが訪れたという。今回のイベントは、事前登録の時点で350人を超えており、関心の高さを示している。
「今回のイベントは、業務改善を観点に、幅広い業種の人が来られるような立て付けにしています。イベントの開始時間の10時には多くの人が入場し、滞在時間も長かったと思います。会員の方に課題を聞くと、デジタル化を進めたいがどうしたらいいか分からないという声が上がってきます。人手不足や生産性向上といったワードも聞かれるので、イベントがそうした課題の解決の第一歩になればいいなと思っています」と、平岡氏はイベントの効果に期待を寄せた。
札幌商工会議所は、会員企業のデジタル化を支援する相談窓口として、デジタル化サポートデスクを設置している。ここでは、DXの推進やIT導入相談、各種補助金の情報提供、セミナーの開催等の支援を行っている。デジタル化サポートデスクの相談先の一つとしてサポートを行っているのは、NTT東日本だ。
NTT東日本-南関東 デジタルコンサルティング部 北海道エリア部門 第1グループ 地域共創担当 山内雄太氏は、その狙いについて次のように語った。
「われわれは、北海道や全国で扱える補助金、サイバーセキュリティ、電話や回線は得意分野であるので、会員のみなさまに多くの情報を案内できると思います。また、ITによる業務課題の解決については、解決策の提示や切り分けにおいて、札幌商工会議所様と連携して会員のみなさまを支えていきたいと考えています。当社は他の地域の商工会議所様も支援しているので、札幌商工会議所様でうまくいった施策を横展開していきたいです」と述べた。

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