Intel、MWCで発表予定だった5G向け製品を公開 - Xeon拡充や基地局向けSoCなど

2月24日(月)23時1分 マイナビニュース

ご存じの通り、今年のMobile Wireless Congress(MWC) 2020はCOVID-19の影響を防ぐため中止とされ、多くのメーカーがMWCで発表予定だったサービスや製品に関してはそれぞれ自社で発表する形になった。IntelもまたMWCで5Gに関連する製品群の発表予定をキャンセルすることになったが、この内容に関して電話会議の形で説明があった。

なお今回の電話会議ではプレゼンテーションの公開が禁止となったため、通常だとご紹介できるプレゼンテーション資料は無しとなっている。ご了承いただきたい。

さてそのIntelであるが、5Gに向けて製品ラインナップの拡充を行った事を明らかにした。具体的には

(1) 第2世代Xeon Scalableのラインナップを拡充
(2) 基地局向けSoCの投入
(3) eASICの技術に基づくASICの投入
(4) 5Gに最適化されたEthernetカードの投入

の4つである。以下もう少し詳細にご紹介したい。

まず第2世代Xeon Scalableについて。要するにCascade LakeベースのXeonで、日本でも昨年4月に説明会が開催されているが、Base Frequencyを3.9GHzまで、Turbo Frequencyを4.5GHzまで引き上げた事で、第1世代のXeon Scalableと比較して最大36%性能が向上し、最大42%価格/性能比が改善した、とされている。ただ既存の製品で言えば、Base FrequencyはXeon Platinum 8256の3.8GHzが、Max TurboはXeon Gold 6244の4.4GHzがそれぞれ最高速になっており、ここから考えると今回の新製品では1bin〜2bin程度動作周波数(Base/Turbo)を引き上げた製品が新たに追加、というあたりかもしれない。ただ既に第2世代Xeon Scalableは60製品もラインナップされており、今回の追加で何製品になるのかは不明である(現時点ではまだ製品投入時期や細かなSKU、価格などは未公開である)。

2つ目が基地局向けSoCである、Intel Atom P5900シリーズである。主要な特徴として、

・ロードバランシングをソフトウェアで実行した場合と比較して3.7倍のスループット
・整数演算性能はAton C3000と比較して最大1.8倍
・暗号化処理はソフトウェアで実行した場合と比較して5.6倍のスループット。

といった性能が示されている。製造は10nmプロセスということで、恐らくはTremontコアが搭載されているものと思われる。であれば、同一周波数なら整数演算性能が最大1.8倍という数字も不思議ではないし、TremontはCPUコア内に異様に強力な暗号化アクセラレータを搭載しているから、暗号化処理のスループットが最大5.6倍というのも不思議ではない。

このAtom P5900 SoCには、Intel Ethernet 800 Seriesのパケット処理エンジンがそのまま搭載されており、これとTremontコア(コア数とか動作周波数なども現時点では未公表)との組み合わせで、5G基地局が構築できる、としている。もっとも、ではこれでMacro Cellが実装できるのかといえば流石に無理で、Small CellあるいはFemto Cellあたりが主戦場になるのかもしれない。

3つ目がeASCIである。元々Intelは昨年4月にAgilexを発表した時に、FPGA(Stratix/Agilex)とeASIC、Full ASICの3種類を用途に応じて提供する意向を示していたが、元々eASICが提供していたNextremeという製品はTSMCを利用した製品であった。一番微細化されていたものはNextreme N3Xで、TSMCの28nmプロセスを利用していたものである。これが、"Diamond Mesa"というコード名に切り替わったあたり、恐らくはAgilex(こちらのコード名が"Falcon Mesa"である)と同じくIntelの10nmプロセスを利用した製品になったのかもしれない。Intelによれば、パフォーマンスは前世代製品と比較して2倍、消費電力は半分になったうえ、IntelのFPGA(StratixなのかAgilexなのかは不明)と"Footprint Compatible"があるとする。もともとeASICのNextremeは、プロトタイプをXilinxなりAlteraのFPGA上で構築し、これが動いたらそのままツールを使って移植、という形を想定しており、これを踏襲したものと思われる。シナリオ的には、まずAgilexを使ってプロトタイプを作り、これでテストが完了したら量産品はDiamond Mesaに移植して稼働、というあたりではないかと思う。

このDiamond Mesa(製品名や具体的なSKUなどはまだ明らかになっていない)、出荷時期などは不明だが、既にEarly Access Programが開始された事が発表された。

最後がEthernet 700シリーズである。こちらの特徴はPTP(Precision Time Protocol)にハードウェアレベルで対応している事だ。5Gの場合、特にURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を実装しようとすると、時間を正確に合わせて同期を取って通信を行う事が求められる。ほかにもMassive MIMOとかでもやはり時間調整は必須であり、このためEthenet上で正確な時間同期が可能なPTP(IEEE-1588)が利用される。PTPそのものは以前から業界で広く使われている技術ではあるが、ハードウェアで対応しないと精度がどうしても甘くなる。Intel Ethernet 700ではこれをハードウェアで実装したという話である。このIntel Ethernet 700シリーズは今年第2四半期から出荷開始とされる。
○2月25日追記

Intelより公式にプレスリリース(リリースその1及びリリースその2)が発表され、もう少しだけ詳細が明らかになった。

まず第2世代Xeon Scalableについて。Photo01が今回追加された19製品であり、既にark.intel.comでは79製品のラインナップが確認できる。

そこでこれを元に、Photo01と同じ様に79製品の一覧としたのが表1である。ブルーの地が、今回追加された製品である。こうしてみると、最大の違いは「価格引き下げ」にあると理解できる。例えば今回追加されたXeon Gold 6258Rは、スペック的にはXeon Platinum 8280と殆ど違いが無い(UPI LinkがXeon Gold 6258Rは2本、Xeon Platinum 8280は3本であり、なので前者は2Socketまで、後者は8Socketまで可能となる。またTcaseが84℃→74℃に引き下げになっている)。最大の違いは価格で、Xeon Platinum 8280が$10,009なのに対し、Xeon Gold 6258Rは$3,950でしかない。実に6割引きになっている訳だ。

理由は明確で、対抗馬であるAMDのEPYCはそもそも2Socketまでしか考えていない。このマーケットでEPYC 7002シリーズに対抗できる価格付けを行ったのが今回の追加の19製品ということである。ただそのまま値段を下げると、既存の(高値で従来のXeon Platinumを購入した)ユーザーが当然怒り出す訳で、そこで2SocketまでにしてグレードもXeon Goldに引き下げたという形である。

もっとも、例えば従来のXeon Gold 6248が20コア、定格/Turboが2.50/3.90GHzというスペックで$3,072〜$3,078なのが、今回追加されたXeon Gold 6242Rだと20コアながら3.10/4.10GHzと動作周波数を引き上げつつ、価格は$2,529に引き下げるなど、同じグレードの中であっても既になりふり構わず価格を引き下げているのが目立つ。要するに価格勝負になってきた訳だ。冒頭にも書いたがIntelは「第1世代のXeon Scalableと比較して最大36%性能が向上し、最大42%価格/性能比が改善した」としているが、実際には先に発表した第2世代Xeon Scalableと比較しても猛烈に価格/性能比を改善した(というか、価格を猛烈に下げた)事が判る。

なおプレスリリースではAtom P5900(Photo03)やDiamond Mesa(Photo04)、Intel Ethernet 700(Photo05)のイメージも公開されたので、併せてご紹介しておく。

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