月探査での最新AI活用に向け、ispaceとEdgeCortixが共同開発で合意
2025年2月25日(火)19時0分 マイナビニュース
ispaceは、将来的な月面探査活動において、AIプロセッサを使ったシスルナ開発を促進するため、ファブレス半導体企業のEdgeCortixと戦略的協力に関する合意を2月25日に発表した。
両社は、既存および将来入手予定のミッションデータを用いた、月面探査に焦点を当てた協力で合意。EdgeCortixが特許取得した低レイテンシのDynamic Neutral Accelerator(DNA)とMERAコンパイラ&ソフトウェアフレームワークを搭載し、“業界最高効率”をうたう最先端AIアクセラレータ「SAKURA-II」を、ispaceのミッションで活用する。
EdgeCortixは、エネルギー効率を高めたAI(人工知能)処理に特化したファブレス半導体企業。1月には、SAKURA-I AIアクセラレーターが高レベルの耐放射線性を備え、地球軌道や月面を含む宇宙ミッションに適していることを技術的に証明している。
宇宙空間での完全自律性を実現する目標を推進するために立ち上げられた、NASAの電子部品およびパッケージングプログラム(NEPP)は、同社のAIアクセラレーターに対して2段階にわたるテストを実施し、プロトンおよび重イオン放射線に照射。その結果、宇宙のような環境においても放射線衝撃に耐える能力を高く評価したという。
ispaceは現在、民間月探査計画のミッション2「SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON」を進行中。2月15日には、月に向けて飛行中の「RESILIENCE」ランダーの「月フライバイ」を成功させ、低エネルギー遷移軌道に機体を投入している。
ispace CEO & Founder 袴田武史氏のコメント
AI技術のリーダーであるEdgeCortix社との協力により、シスルナ経済圏の構築のため、共に月面における課題の解決に取り組んでいけることを嬉しく思います。
EdgeCortix CEO兼創設者 ダスグプタ サキャシンガ博士のコメント
私たちは、SAKURA-IIのAI専用プロセッサを月周回システムに統合するための戦略的計画をispaceと共同で開発できることを嬉しく思います。宇宙はエッジコンピューティングの最後のフロンティアであり、私たちは、ミッション中のAIワークロードのインテリジェンス、効率性、有効性を向上させるというispaceのミッションを支援したいと考えています。