TSMC熊本工場の開所で今後10年間にわたり日本の半導体産業は発展へ、TrendForce予測

2024年2月26日(月)16時1分 マイナビニュース

台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceによると、2023年の半導体ファウンドリ市場は1174億7000万ドルとなり、トップのTSMCのシェアは59%と圧倒的な存在感を示しているという。
また、2024年の市場規模は同12%増の約1316億5000万ドルとなるとともに、TSMCのシェアは62%にまで高まる見込みともしており、2024年はTSMCのみシェアを高めることになるとしている。
売上高トップを走るTSMCの戦略としては、最先端プロセス対応の半導体工場は台湾内部に設置し、非先端プロセスの半導体工場を顧客ニーズなどの観点から、米国、日本、ドイツで建設を進めている。中でも日本はもっとも早いスピードで建設が進められており、米独の計画が遅れがちなのに対して前倒しの形でプロジェクトが進められており、TSMC熊本工場(JASM)の第1棟(TSMC Fab 23 Phase1)の開所式が2024年2月24日に開催された。
齋藤大臣は、日本で初めて12から28ナノの先端ロジック半導体を生産することになる #JASM 熊本工場1号棟の開所式に、吉田政務官や政府、自治体、産業界など多くの来賓の方と出席し挨拶。JASM2号棟への政府支援について発表。#TSMC マーク・リュウ会長や蒲島熊本県知事と意見交換しました。#metidaijin pic.twitter.com/vE3Vbh56Yg— 経済産業省 (@metiNIPPON) February 24, 2024
この開所式を踏まえ、TrendForceでは、日本の半導体産業の未来にとって大きな一歩だとし、同工場の開所により、今後の10年に向けて日本の半導体産業が発展する準備が整ったとの見方を示している。
TSMC熊本工場第1棟の生産ラインでは22/28nmプロセスならびに12/16nmプロセス品が製造され、その月産能力は4〜5万枚(300mmウェハ)が当面維持されるものとTrendForceでは予測している。また、熊本工場では第2棟(俗に第2工場といわれるFab 23 Phase 2)の準備も進められており、2棟あわせて月産10万枚規模の生産能力となることが見込まれている。
なお、経済産業省(経産省)はTSMC熊本工場第1棟に4760億円の助成金を支給することを2022年6月に決定しているだけでなく、2024年2月24日付けで第2棟にも7320億円を助成することも明らかにしており、TSMC熊本工場への政府からの助成額は合計で1兆2000億円規模となる。
すでに国内ではTSMCの3棟目の工場建設を巡って誘致競争が進められており、熊本県のみならず福岡など九州の他の地域や、大阪府なども候補地として噂されている。この日本の第3工場については、当初は6/7nmプロセスが割り当てられる予定であったが、TSMCのプロセス微細化の進展を踏まえ、5/3nmプロセスが採用される可能性があるとTrendForceではみている。また、産業技術総合研究所のつくばセンター内に設定されている「TSMCジャパン3DIC研究開発センター」での研究開発に加え、経産省では経済安全保障の見地から日本への先進パッケージング対応工場の誘致も検討しているとも言われており、将来、TSMCが前工程のみならず後工程までをも日本で行うようになれば、世界の半導体産業における日本の地位は相対的に高いものになるとTrendForceは分析している。

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