無花粉スギの5種目の遺伝子はこれまでと明らかに異なる - 新大などが解明

2024年2月27日(火)15時40分 マイナビニュース

新潟大学(新大)と新潟県森林研究所の両者は2月26日、新たなスギ雄性不稔遺伝子「MS5」に起因する「雄性不稔スギ」(無花粉スギ)について、花粉形成に異常が生じる過程(花粉崩壊過程)の詳細な研究を実施した結果、その花粉崩壊過程は、これまでに報告されていたスギ雄性不稔遺伝子MS1〜MS4に起因する無花粉スギとは明確に異なることを明らかにしたと共同で発表した。
同成果は、新大 農学部の森口喜成准教授、新大大学院 自然科学研究科の釣崎恵里子大学院生、新大 医学部の行田正晃技術専門職員、新大大学院 医歯学総合研究科の芝田晋介教授、同・大橋瑠子准教授、新大 農学部の大谷真広助教、同・松村奈々学部生、新潟県森林研の岩井淳治専門研究員、同・伊藤由紀子主任研究員、同・平山聡子主任林業普及指導員(現・新潟県新潟地域振興局)らの共同研究チームによるもの。詳細は、植物生物学に関する全般を扱う学術誌「Journal of Plant Biology」に掲載された。
無花粉スギは、雌花は正常に種子を作ることができる一方で、雄花が正常な花粉を作れないスギのことである。こうした無花粉のことを学術的に「雄性不稔」といい、スギは針葉樹における雄性不稔研究のモデル植物である。
無花粉スギにもさまざまなものがあり、それらを交配させた実験の結果、5つの雄性不稔遺伝子(無花粉スギの原因遺伝子)として、MS1からMS5までが存在する可能性が指摘されている(すべての具体的な遺伝子が同定されているわけではない)。これらの遺伝子座の少なくとも1つが潜性(劣性)の変異型対立遺伝子のホモ接合体である場合、無花粉スギとなることがわかっており、これまでMS1〜MS4に起因する無花粉スギについては、花粉崩壊過程の顕微鏡観察が行われていた。しかし、最近になって発見されたMS5に起因する無花粉スギについては、花粉崩壊過程の顕微鏡観察が実現されていなかったという。
MS1〜MS4に起因する無花粉スギの花粉崩壊過程を報告した論文のほとんどは和文誌で発表されていたため、今回研究チームは、それらについて再度詳細な顕微鏡観察を行った上でMS5に起因する無花粉スギと比較してまとめたとのこと。以下は、MS1〜MS5に起因する無花粉スギのそれぞれの特徴だ。
○MS1
四分子の維持、細胞内容物の漏出、無定形物質の出現、オービクル(花粉外壁を形成する上で重要な役割を果たす微粒子)の欠如、花粉壁の形成異常
○MS2
小胞子(花粉母細胞が減数分裂を経て四分子となり、小胞子へと分化して、最終的に花粉になる)の高密度化、カロース(花粉四分子を包んでいる部位で、カロースが花粉発達に伴って分解されると、四分子が分割された小胞子が花粉のう内に放出される)の欠如、核の消失、花粉のうごとに異なる表現型
○MS3
細胞内容物の漏出、無定形物質の出現、未発達な花粉壁、オービクルの欠如、核の消失、大きさが異なる小胞子
○MS4
細胞内容物の漏出、未発達な花粉壁、無定形物質の存在、オービクルの欠如、核の消失、大きさが異なる小胞子、二核小胞子期における核の中央配置
○MS5
異常な四分子や不揃いな小胞子の維持、異常な花粉壁の形成、核の消失と二核小胞子期における核の中央配置、無定形物質の出現など
この結果から研究チームは、MS5の特徴が、MS1〜MS4に起因する無花粉スギとは明らかに異なっていることが確認されたとした。
近年、MS1とMS4の具体的なスギ雄性不稔遺伝子が特定され、MS1についてはDNA解析による育種素材の探索も行われているが、MS2、MS3、MS5においてはまだ特定されていない。研究チームは今後、まだ特定されていない雄性不稔遺伝子の同定や無花粉スギの効率的な品種改良に貢献することを目指すとしている。

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