TSMCの米国への1000億ドル追加投資、米国政府とTSMCそれぞれの狙いを読み解く
2025年3月13日(木)11時52分 マイナビニュース
TSMCが米国で1000億ドル(約15兆円)の追加投資を行い、先端半導体向け生産体制を強化する計画が3月3日に発表された。
この投資は、すでに進行中のアリゾナ州での650億ドル規模のプロジェクトに加え、新たに3つの製造工場、2つのパッケージング施設、そして研究開発センターを建設するものである。これにより、TSMCの米国への総投資額は1650億ドルに達する見込みであるが、この動きについては、米トランプ政権側とTSMC側のそれぞれ異なる狙いが背景にある。
まず、トランプ政権側の狙いである。トランプ大統領は、米国経済の強化と国家安全保障の確保を最優先課題として掲げており、半導体の国内生産拡大はその中核を成す戦略である。
半導体は人工知能(AI)、自動車、軍事技術など、先端産業を支える基盤であり、その供給を海外に依存している現状は米国にとって脆弱性とみなされている。特に、TSMCが世界の先端半導体市場で9割以上のシェアを握り、その生産拠点が台湾に集中していることは、台湾有事や地政学的緊張が高まった場合に供給網が寸断されるリスクを孕んでいる。
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