京セラがパリコレデザイナーと共創、独自捺染技術でアパレル業界の課題解決へ

2024年3月14日(木)7時1分 マイナビニュース

未来の水をまもる、「TRUE BLUE TEXTILE」プロジェクト
京セラは、繊維・アパレル業界の水質汚染などの社会課題の解決に向けた取り組みとして、水の使用量を極限まで削減したインクジェット捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」を2023年に市場投入。国連が定めた3月22日の「世界水の日」が近づく3月13日、全世界の繊維・アパレル業界が直面する水質汚染に関する課題の意識啓発を目的とする「TRUE BLUE TEXTILE(トゥルー・ブルー・テキスタイル)」プロジェクトを開始することを発表した。
同日開催されたメディア向け発表会では、同プロジェクトの趣旨に賛同したデザイナーらがデザインし、FOREARTHで印刷された生地で製作された衣装が山田優氏をはじめとするモデルらによって披露された。
同プロジェクトが始動するきっかけは、ファッションを身に着けることで繊維・アパレル業界における社会課題を知り、考えるきっかけを促したいとの思い。そのコンセプトは「水をまもるために、まとう」としている。
発表会で披露された衣装は、日本で最も美しい水質と評されている高知県・仁淀川の水面を柄としてFOREARTHにてプリントする形で製作された生地「TRUE BLUE TEXTILE」を用いて仕立てられた。フォアレスは、生地を染める際に必要としていた大量の水の消費と、それに伴う水質汚染問題を解決するべく、使用する水を生地1kgあたり0.02Lまで削減しつつ、染料系と同等品質を顔料系インクで実現したデジタル捺染プリンター。京セラでは、こうした繊維・アパレル業界の環境問題に対して、水の使用量をほぼゼロにしつつ生地を印刷することを可能にすることで解決に挑むという。
発表会に登壇した京セラ 執行役員 経営推進本部長の濱野太洋氏は「これからの未来、その製品自体が環境保全に貢献できるコンセプトであることはもちろん、可能な限りリユースやリサイクルできる設計にするなど、ものづくりを行う立場として新たに作る製品自体が何らかの社会課題の解決につながるといった開発の考え方が求められると思います」としたうえで、FOREARTHを「京セラの会社としての思いが詰まった製品だ」と、今回のプロジェクトにかける思いを語った。
さまざまな水を表現するFOREARTHで制作された5着の衣装
同プロジェクトにて今回公開された衣装は5着。そのデザインを手掛けたのは、パリ・コレクション(パリコレ)への出展経験を有し、日本のファッションブレンド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」を手掛けるデザイナーの森永邦彦氏のほか、バンタンデザイン研究所のデザイナーたち。
森永氏が制作を担当したのは「WATER DROP COLLECTION」というコンセプトの球体型の衣装2着。
「プロジェクトのコンセプトから、“持続的に使える水の量”ということについて改めて考えました。そしてそれは、河川に今ある一定量の水ではなく、常に循環している水の量の一部だという考えに至り、水の循環の始まりである雲から雨になって地球に落ちてくる“1滴の水滴”をモチーフにして作りました」と着想について説明した。なぜ球体型であるかについては、服自体を水滴のような球体とすることで、それが地球につながってくという意味合いが込められているという。
残りの3着については「WATER METAMORPHOSE」というコンセプトの下、バンタンデザイン研究所 デザイナー3名がそれぞれ担当した。今回の発表会にも登壇した西谷純氏が荒波の水流を再現した「滝」のルックを担当。残りの2着は、所作にあわせて優雅に揺らめく「波」のドレスを堀田慧氏が、溶ける間際の美しさをまとう「氷」のドレスを三上穂乃果氏がそれぞれ手掛けたとのこと。
西谷氏は「コンセプトにもある水の美しさをそのままブックに落とし込めたらとの思いでデザインしました」と説明し、その中でも“滝”を制作する中で「波とは対照的に荒々しさであったり力強さを意識して制作しました」とこだわりも語っていた。また、西谷氏は今回の京セラのプロジェクトに参画することで、「学生である我々からも(環境問題に対して)発信していきたい」と、繊維・アパレル業界の社会問題についてファッションを学んできた学生目線から向き合う姿勢をみせた。
また、森永氏が手掛けたWATER DROP DRESSを着てランウェイを歩いた山田優氏は「生地がとても柔らかくて触り心地がよく、揺れる感じがとても好きです。実際に着ることが出来て嬉しいです」と、生地の風合いを生かした柔らかな手触りが実現されるFOREARTHの良さを高く評価していた。
なお今回披露された衣装などは、2024年3月16日(土)ならびに17日(日)にかけて東京の渋谷PARCOにて、その後2024年3月22日(金)から3月24日(日)にかけて京都市の京セラ美術館にてそれぞれ展示される予定のほか、同プロジェクトの趣旨に賛同する企業や個人向けに先着ではあるがTRUE BLUE TEXTILEを無償で提供するWebキャンペーンを2024年3月31日まで実施する予定だとしている(応募期間内でも在庫がなくなり次第、キャンペーンは終了。提供サイズは140cm×206.48cm、提供柄は水面柄、生地はKKF2045E2X-W ECOバックサテンアムンゼン広巾としている)。

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