コスモエネルギーHD・CDOが語る、データドリブン経営成功の道筋とは
2025年3月17日(月)9時0分 マイナビニュース
「生成AI活用にフォーカスしている日本企業は多いが、分析AIの礎となるデータを活用できる環境が整っていなければ、価値創造や収益性につながらない」と指摘するのは、コスモエネルギーホールディングス 常務執行役員 CDOのルゾンカ典子氏だ。では、環境を整え、データドリブン経営につなげるためにはどうすればよいのか。
2月18日〜20日に開催された「TECH+ EXPO 2025 Winter for データ活用 データを知恵へと昇華させるために」に同氏が登壇。生成AI時代に、データ活用の環境を整え、データドリブン経営を実現するために必要なことを説いた。
データ活用重視のビジネス戦略を策定し、DX活動の好循環を構築する
講演冒頭でルゾンカ氏は「データ活用の重要性はビジネス戦略の中で語られているべき」だと述べ、コスモエネルギーホールディングスが策定している「Cosmo's Vision House」を紹介した。このビジョンハウスでは、DX戦略においてはデジタル・ケイパビリティを上げることが重要であり、そのためにデータ活用基盤の構築が必要であることが示されている。ここで言う基盤の構築とは、システム上の話だけではない。
「全員がデータ活用できるような知識やスキルを身に付けることも重要です。仕事をしている皆さんのレディネスを上げ、分析しやすい環境をつくることも、構築すべき基盤なのです」(ルゾンカ氏)
こうした戦略を実践に活かすために重要なのが、DX活動の好循環サイクルを構築することだ。同社では、人材育成からコミュニティの創出、そしてDX案件の実現支援という順で循環するサイクルを構築している。具体的には、全社員へのアンケートで誰が何に困っているのかを可視化し、次にリテラシー向上のためのDX研修を実施、そこでフォーラムを構築して成功事例の情報を共有、そして現場での実装支援というサイクルだ。
「好循環をつくることで、DXのプロジェクトは一気にスピードが上がります」(ルゾンカ氏)
データエンジニアリングチームを構築
次に考えるべきは、データエンジニアリングチームを構築することだ。プロジェクトの開始時だけでなく稼働中も伴走し、全社をサポートする専門のチームだが、ITとビジネスの間に位置するため、両者の基礎的な知識が必須となる。そしてこのチームには長期的な戦略も必要だが、完璧を求めていると動けなくなる。長期的な目線を持ったうえで「今はこうしておこう」という短期的な課題解決を考えて進めていくことが重要なのだ。
データガバナンスの文化を浸透させることもこのチームの役割である。ルールを整備し社内トレーニングを実施するほか、ビジネスのデータオーナーにコンサルティングも行っていく。「データエンジニアリングチームが、社内コンサルのようなかたちでビジネスオーナーとコミュニケーションをとれるようになれば、会社全体が上手くいく」とルゾンカ氏は説明する。
データ整備については、全てのデータをきれいにしてから進めようとすれば時間がかかる。まず部分的にきれいにして、そこから広げていくことを考えるべきだ。ただしモニタリングと最適化は必要である。ここだけはきれいという確実な部分をデータエンジニアリングチームがしっかりモニタリングし、徹底的にきれいな状態で運営できるかたちを保つ。そしてデータが貯まってきたら、重要なデータを選り分けてシステム負荷を軽減させることも必要になる。
「データエンジニアリングを社内できちんとコントロールできること、これが生成AIの時代におけるデータドリブン経営の肝になります」(ルゾンカ氏)
サンドボックスとBIプラットフォームの活用で市民開発を促進
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