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「同じ観光名所に行き同じ写真を撮る人々、それでいいのか」──民泊のAirbnb、日本で観光体験仲介サービス地域を拡大

ITmedia NEWS3月21日(火)17時0分
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 民泊仲介大手の米Airbnbは3月21日(日本時間)、旅行先の現地情報を提供するプラットフォーム「トリップ」を拡張し、キュレーターが現地情報をテキストと写真で紹介する「ガイドブック」(東京のみ)を追加した。現地の観光ツアーを仲介する「体験」機能も東京に続いて大阪でスタート。iOS/AndroidアプリやWebサイトから体験別や都市別で検索できる。
 Airbnb(エアービーアンドビー)は、旅行者と空いている部屋を有料で貸し出す個人をつなげるホームシェアリングサービスとして2008年に米サンフランシスコでスタート。現在までに191カ国と3万4000都市で300万件以上の宿泊を提供してきたという。
 宿泊サービスに続いて16年11月に発表したトリップの機能「体験」は、地元独特の文化やユニークな体験を専門家に有料でコーディネートしてもらえるサービス。例えば盆栽師から盆栽のノウハウを学んだり、利き酒師から日本酒に合う料理をレクチャーしてもらったりと、好みの体験を一覧の中から選んで申し込める。
 ローンチ以降、現在までに13都市で800の体験が用意され、そのうちの91%が5段階評価で5つ星の評価を獲得しているという。利用者は約73カ国の人々で、1人当たりの平均体験料金は91ドルという。
 東京でスタートした「ガイドブック」は、地元の専門家が約450カ所の観光情報をキュレーションして掲載する機能。おすすめのカフェをまとめたものなど、画像とテキストなどを使った記事形式で紹介している。専門家は現時点でAirbnbの審査を受けた50人のみで構成され、質の高さを売りにしているという。

●「旅行は魔法のような体験でありながら、楽なものである」

 共同創業者兼CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)のJoe Gebbia(ジョー・ゲビア)さんは、開催された報道陣向け発表会で頻繁に「魔法のような」という表現を用いながら「旅行者が現地の人と日常生活を送れるような体験を提供したい」と説明する。
 「旅行前に友人と行き先を相談したり、ガイドブックを買って計画を立てたりする所要時間が長すぎる。そして旅行会社の広告は完璧な旅行体験ができるとうたっているが、実際は旅行者で混雑していて、同じ観光名所に行き同じ写真を撮る人々で溢れている。これらを何とかしたかった。旅行はもっと魔法のような体験で、楽なものだとアピールしたい」(ゲビアさん)
 体験を提供する専門家は、逆にどのような体験をしているか。既に東京で「Bonsai Master」こと盆栽体験をAirbnb経由で提供しているMasashiさんは、盆栽のデザインや手入れの仕方をレクチャーする中で次のような出来事があったと話す。
 「盆栽体験で自分の盆栽を作った(海外の)人は、検疫の問題で自国に持ち帰ることができない。そのような盆栽は処分せずに名札を付けてそのまま保管していることを体験者に伝えたら『(日本に)帰る場所ができた』と言われたのが印象的だった」(Masashiさん)
 現時点で東京に用意された体験は100、大阪は10となっている。Airbnbは体験を提供する側に対しても、旅行者が求める話題や説明の仕方、段取りの組み立て方などをレクチャーする仕組みを整えているという。ゲビアさんは体験サービスが経済にも影響を与えるだろうと説明する。
 「日本には幅広い文化が存在している。地元の技術や現地の体験を共有したい人を旅行者のネットワークにつなげていきたい。宿泊だけでなく、体験を提供してくれる人の経済的な支えにもなれるだろう」(ゲビアさん)
 Airbnbのアプリを実際に確認すると英語表記による案内が多く、主に訪日外国人をターゲットに見据えていることが感じられる。

●立ちはだかる法規制の壁

 日本での展開に力を入れる理由として、20年に開催を控える東京オリンピックがあるのは間違いなさそうだ。みずほ総研が15年に発表した試算によれば、東京オリンピック開催時の訪日外国人増加により、全国で約4.1万室の宿泊施設不足に陥る可能性があると指摘している。Airbnbは宿泊に関するサポートを提供したい意向だ。
 「16年には、リオデジャネイロオリンピックのパートナーとして8万人にも及ぶ旅行者の宿泊サポートを行った。日本でも同じ手伝いを行いたい」(ゲビアさん)
 Airbnbはホームシェアリングサービスとして舵を切る一方で、避けては通れない法規制の壁がある。問題視されているのは、個人が部屋を有料で貸し出すことが旅館業法や賃貸借契約違反になるのではというリスクにさらされている点だ。ゲビアさんは引き続き日本政府と議論を重ねる意向であると表明している。
 国を挙げたオリンピック開催を前にして懸念されている宿泊問題に対して、Airbnbが新しい風を起こせるか見ものとなりそうだ。
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