「GeForce RTX 5090 Laptop」性能レビュー。ノートPCでもCUDAコア数10,000個超え / GDDR7 24GBメモリ搭載の最新GPU
2025年3月27日(木)22時0分 マイナビニュース
2025年3月27日、NVIDIAのノートPC向け最新GPU「GeForce RTX 50シリーズ Laptop GPU」のパフォーマンス情報が解禁となった。ここでは最上位モデル「GeForce RTX 5090 Laptop GPU」を搭載するRazer Blade 16(2025)を使って実力を検証していく。ノートPC版でCUDAコア数が10,000個超えを果たし、GDDR7 24GBの大容量メモリを搭載するモンスターGPUの性能とはいかほどか。
特徴はデスクトップ版と特に変わらないGeForce RTX 50 Laptopシリーズ
GeForce RTX 50シリーズ Laptop GPUは、デスクトップ版と同様に2025年1月7日に発表された。ラインナップはRTX 5090 Laptop GPU、RTX 5080 Laptop GPU、RTX 5070 Ti Laptop GPU、RTX 5070 Laptop GPUの4種類となっている。デスクトップ版が先行して発売されたのでそれほど目立ってはいなかったが、2025年2月にはノートPCを手がける多くのメーカーが搭載モデルを正式に発表。一部ではすでに予約をスタートしている。
アーキテクチャはデスクトップ版と同じBlackwellなので特徴は変わらない。前世代から大幅に強化されたAI処理性能、1フレームから最大3フレームをAIで生成するマルチフレーム生成を実現した「DLSS 4」への対応、マウスやキーボードの入力から画面への反映ラグを強力に軽減する「NVIDIA Reflex 2」の実現、AIモデルの演算精度としてFP4(4ビット浮動小数点演算)をネイティブサポート、第9世代NVENC/第6世代NVDECがH.264/H.265コーデックの4:2:2フォーマットに対応などが注目ポイントだ。
また、RTX 5090 Laptop GPU、RTX 5080 Laptop GPUはNVENCとNVDECが複数搭載されている。アプリ側が対応していれば複数NVENCを同時に使う高速エンコードも可能。上位GPUなら動画編集にも強いと言える。
ノートPC版なので、同じ型番でもスペックは大きく異なっている。デスクトップ版のRTX 5090はCUDAコア21,760基、GDDR7 32GB/512bitだが、RTX 5090 Laptop GPUはCUDAコア10,496基、GDDR7 24GB/256bitになる。デスクトップ版のRTX 5080(CUDAコア10,752基、GDDR7 16GB/256bit)に近いスペックだ。
それでも前世代最上位のRTX 4090 Laptop GPUはCUDAコア9,729基、GDDR6 16GB/256bitだったのでアーキテクチャの刷新だけではく、基本スペックもしっかり向上している。ノートPC向けでついにCUDAコア数が10,000個を超えたかと思うところだ。
今回試用する機会を得たのは、RTX 5090 Laptop GPUを搭載するRazer Blade 16(2025)だ。CPUに12コア24スレッドのAMD Ryzen AI 9 HX 370を搭載するゲーミングノートとして最高峰のスペックを備えながら、高さ14.9mmというかなりの薄さを実現している。
ディスプレイは16型で解像度はQHD+(2,560×1,600ドット)。有機ELパネルを採用し、0.2msの応答速度と240Hzの高リフレッシュレートを備える。メインメモリはLPDDR5X-8000が32GB、ストレージは2TBのSSDだ。
レイトレーシング対応の超重量級ゲームも4Kで余裕
ここからはベンチマークテストに移ろう。ドライバは定番3Dベンチマークの「3DMark」から実行する。
デスクトップ版のRTX 5070 TiとRTX 5070の間と言えるスコアだ。Stell Nomad、Speed Wayの特に負荷が高いテストでは高いスコアを出している。実際のゲームではどうだろうか。まずは、アップスケーラーやフレーム生成を使わないオーバーウォッチ2から。botマッチを実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。
4Kでも平均118.9fpsと余裕で快適にプレイできるフレームレートが出ている。RTX 5090 Laptop GPUのスペックから考えると、もう少しフレームレートが出てもよさそうだが、今回は複数回テストしてもフレームレートはほとんど変わらなかった。
続いて、DLSSによるアップスケールとフレーム生成に対応したゲームを試そう(マルチフレーム生成には非対応)。モンスターハンターワイルズとGhost of Tsushima Director's Cutだ。モンスターハンターワイルズは公式ベンチマークを利用し、1% Lowのデータのみ「FrameView」で測定した。Ghost of Tsushima Director's Cutは旅人の宿場周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。
モンスターハンターワイルズはかなり描画負荷の高いゲームだが、それでも4Kで平均86.6fpsと快適にプレイが可能だ。Ghost of Tsushima Director's Cutは4Kで平均138.5fps出ている。
続いて、DLSS 4のマルチフレーム生成に対応したゲームでテストしよう。「マーベル・ライバルズ」、「アサシン クリード シャドウズ」、「サイバーパンク2077」を用意した。マーベル・ライバルズは、訓練場の一定コースを移動した際のフレームレート、アサシン クリード シャドウズは内蔵ベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「FrameView」で測定。サイバーパンク2077は内蔵ベンチマーク機能を利用している。
アサシン クリード シャドウズはグローバルイルミネーションと反射、サイバーパンク2077はすべての光源の経路(パス)を再現するパストレーシングと、どちらも強烈に負荷の高いレイトレーシング処理を有効化しているが、どちらも4Kで平均120fpsオーバーを記録した。マルチフレーム生成の威力もあり、現在もっとも描画負荷の高いゲームを4K/最高画質でプレイできるのは素直に凄いところだ。
オマケとして、似たようなCUDAコア数であるデスクトップ版のGeForce RTX 5080/4080と性能を比較するとどうなるのか軽く触れておこう。比較対象はCPUがRyzen 9 9950X3D、メモリがDDR5-6000 32GBの自作PCだ。
マルチフレーム生成に対応していないモンスターハンターワイルズでは、デスクトップ版のRTX 4080にどの解像度でもちょっと届かないフレームレートだ。その一方で、マルチフレーム生成に対応しているアサシン クリード シャドウズでは、RTX 4080を30fps以上上回った。マルチフレーム生成はRTX 50シリーズの大きなアドバンテージと言える。デスクトップ版のRTX 5080は非常に高いフレームレートになった。
続いてゲームプレイ中のGPU温度とクロックの推移をチェックしておこう。サイバーパンク2077を10分間プレイしたときのCPUとGPUの温度推移を「HWiNFO Pro」で測定している。温度が「GPU Temperature」、クロックが「GPU Clock」の値だ。
GPU温度のリミットは87度に設定されていたが、最大で79度とそこに届くことは全くなかった。6分過ぎには強力なファンによる冷却が効いているようで、クロックを維持したまま温度は下っていく傾向にあるほど。薄型だが冷却力は十分確保されている。
クロックは2,000MHz前後で推移となった。設定されているブーストクロックは1,597MHzだが、それよりもゲーム中はそれよりも高く動作する。10分間プレイ直後のキーボード全体をサーモグラフィーでも測定してみた。
最後にProcyonのProcyon AI Computer Vision BenchmarkとProcyon AI Text Generation Benchmarkの結果も掲載しておく。推論性能の参考にしてほしい。
AI時代のGPUがノートPCにもやってきた
NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUは、10,000個を超えるCUDAコア、さらに高い推論性能を生かしたマルチフレーム生成の対応によって、パストレーシングのような描画負荷の高い処理を含めても4Kで快適にプレイできるフレームレートを出せるパワーを持つ。また、RTX 4090 Laptop GPUはビデオメモリが16GBだったが、今世代では24GBまで増量。AIによる画像生成や大規模言語モデル(LLM)など、大容量のメモリを求める処理にも対応しやすくなった。
ただ、ASUS、MSI、デルなどから国内向けモデルが発表されているが、価格は70〜100万円とかなり高額になっている。スペックに妥協したくない人向けではあるが、現行最強の高速性能を備えたノートPCが必要なユーザーにとっては有力な選択肢になりそうだ。