『モンハン』発売とパーツ不足で変化、アークBTOパソコンの売れ筋 - 古田雄介の家電トレンド通信
2025年3月28日(金)20時0分 マイナビニュース
今回は、秋葉原にあるパソコンショップ アークを訪ね、BTOパソコンのトレンドを取材しました。
同店は、オリジナルブランド「arkhive」(アークハイブ)を展開しており、直近の売れ筋が公式ページで確認できます。そこで、取材当日の週間ランキングをベースに、人気モデルが売れている理由を同店の渋谷義寛氏に解説してもらいました。
全体の動向として、渋谷氏は「2024年末に人気タイトル『モンスターハンターワイルズ』の2025年2月発売が告知されたことで、ハイスペックなゲーミングPCの需要が高まりました。一方で、1月から投入されているNVIDIAの最新GPU『GeForce RTX 5000』シリーズの供給不足が続いたことで、選べるパーツの幅が狭まったところもあります。そのせめぎあいが人気上位の顔ぶれにも現れていますね」と分析します。
詳細な動きは「BTOマシンの最新動向×3」にまとめました。それを踏まえて売れ筋トップ6モデルを追っていきましょう。
○<BTOマシンの最新動向×3>
「モンスターハンターワイルズ」の推奨スペックは、最高環境(ウルトラ)でGeForce RTX 4070 Ti以上/Radeon RX 7800 XT以上。このグレードを超えるGPUが人気に。
最新GPUにはGeForce RTX 5090/5080/5070 Ti/5070とRadeon RX 9070 XT/9070などがあるが、いずれも品薄傾向が続いた。
CPUは、ゲームに強いRyzen 9000 X3Dシリーズが一番人気ながら、こちらも品薄傾向。
※本文と写真で掲載している価格は、2025年3月24日16:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:白で揃えたRTX 5080&Ryzen X3Dマシン「arkhive Gaming Custom GC-A7G58R AG-AG8X87AGB8-H7F」
一番人気となっていたのは、ハイエンド構成のBTOマシン「arkhive Gaming Custom GC-A7G58R AG-AG8X87AGB8-H7F」でした。標準構成でGeForce RTX 5080とRyzen 7 9800X3Dを搭載し、SSDの容量は2TBとなります。PCケースはNZXTの「H7 Flow RGB」を採用。標準構成価格は639,800円でした。
「予算をかけても高性能なパソコンがほしい、という人に刺さる構成で貫いているところが、高額ながら一番人気に立った要因になっているのかなと思います。このクラスの性能を求める人は外観も追求します。NZXTの白いケースにARGB LEDを組み込んだファンが光る仕上がりが評価されての結果だと思います」
第2位:漆黒で揃えたRTX 5080&Ryzen X3Dマシン「arkhive Gaming Custom GC-A7G58R AG-AG8X87AGB8-FT」
続く2位は「arkhive Gaming Custom GC-A7G58R AG-AG8X87AGB8-FT」です。1位と同じシリーズで、標準構成のおもなスペックと価格も変わりません。型番も末尾のハイフン以下のみになりますが、採用しているPCケースがFractal Design製の「Torrent TG」シリーズとなり、全体に黒を基調とした仕様となっています。
「PCパーツはホワイトの人気が伸びていますが、従来から定番の黒を好む人も少なくありません。また、Torrent TGはケース内部のエアフローが確保しやすく、排熱に有利という強みもあります。漆黒が好きな人、排熱性を重視したい人に心強いモデルといえますね」
第3位:30万円以下で堅実な性能「arkhive Gaming Alliance GN-A7R78R AG-AG8B65ARV8X-H5FC」
3位に入ったのは、NZXTの黒いPCケース「H5 Flow」を採用した「arkhive Gaming Alliance GN-A7R78R AG-AG8B65ARV8X-H5FC」でした。標準構成でRadeon RX 7800 XTとRyzen 7 9700X、1TB SSDを搭載し、標準価格は299,800円となります。
「30万円前後でモンハンが遊べる堅実な構成ということで評価を得ていますが、もうひとつ背景にあるのはGeForceの供給不足ですね。世代交代の時期に新旧のGPUが入手困難になった時期、このモデルが受け皿になった側面があります」
第4位:Intel Coreシリーズ搭載の25万円前後モデル「arkhive Gaming Custom GC-I7G47M AG-IR20B76M4GL7-TS1」
4位に入った「arkhive Gaming Custom GC-I7G47M AG-IR20B76M4GL7-TS1」は、2024年8月に登場した古株のモデルです。GPUはGeForce RTX 4070で、CPUはCore i7 14700Fと、それぞれ1世代前のパーツとなります。SSDは1TB。PCケースはThermaltakeのMicroATX対応小型ケース「S100 TG」を採用し、標準価格は259,800円でした。
「コストパフォーマンス重視で選ばれることが多いモデルですね。旧世代ということで、それぞれのパーツの価格が落ち着いていて評価も定まっています。しっかりと性能が期待できてトータルで価格が抑えられるということで、バランスを取ってこちらを選ばれる方は多くいらっしゃいます。学生さんを含む若い方に人気があると思います」
第5位:15万円切りで買えるエントリー「arkhive Gaming Custom GC-A5R76M AG-AR6A62MRV6-ZT3」
5位には、トップ6のなかでもっとも安価な「arkhive Gaming Custom GC-A5R76M AG-AR6A62MRV6-ZT3」が入りました。標準価格は139,800円。Radeon RX 7600とRyzen 5 7500F、1TB SSDをZALMANの黒いPCケース「T3 PLUS」に組み込んでいます。
「解像度や描画品質を抑えつつも、PCゲームが充分楽しめる性能に仕上げた割安なモデルです。20万円以上の予算は難しいという方でも、こちらならディスプレイやマウス、キーボードをセットにしても10万円台で狙えます。ゲーミングPCのエントリーモデル(入門モデル)といいますか、割り切って選ばれることが多いかもしれません」
第6位:GeForce RTX 5090搭載の100万円PC「arkhive Gaming Custom GC-A9G59R AG-AG16X87AGB9-H7F」
6位には、ウルトラハイエンドの1台が入りました。「arkhive Gaming Custom GC-A9G59R AG-AG16X87AGB9-H7F」で、標準価格は999,800円となります。新GPUのなかでもとりわけ供給量が少ないGeForce RTX 5090を採用し、CPUも同じく品薄なRyzen 9 9950X3Dを搭載しています。SSDは2TBで、PCケースには1位と同じくNZXTの白い「H7 Flow RGB」が選ばれています。
「これはもう、現行の最強構成を求める人に選ばれるモデルですね。スペックはもう間違いなく最上級ですし、外観もLEDのライティングを含めてとことん追求できます」
著者 : 古田雄介 ふるたゆうすけ フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年〜)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007〜2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。 この著者の記事一覧はこちら