Adobe Premiere Pro、AI「生成延長」が正式版に、4K・縦型動画に対応
2025年4月3日(木)8時11分 マイナビニュース
米Adobeは4月2日(現地時間)、映像編集ソフト「Adobe Premiere Pro」の「April 2025 update (25.2)」をリリースした。このアップデートでは、Adobe Firefly Video Modelを活用した「生成延長(生成拡張)」が追加された。同機能は4K解像度および縦型フォーマットに対応する。さらに、AIによる検索支援機能「メディアインテリジェンス」や、27言語対応のキャプション自動翻訳機能も実装されており、映像制作ワークフローの効率化が図られている。
「生成延長」は、編集中の動画や音声クリップの長さが足りない、という映像制作者が頻繁に直面する課題を解決する機能である。AIが映像や音声の内容を理解し、違和感のないフレームや音声を自動で生成・追加することで、クリップの長さをシームレスに伸長できる。例えば、ナレーションに合わせたBロール映像の尺の調整、シーン間のトランジションを滑らかにしたり、重要なショットをわずかに長く見せるといった処理が、追加撮影なしで、かつ品質を損なうことなく実現できる。
同機能は、昨年10月にベータ版での提供が始まった際にはフルHD解像度までの対応だったが、今回のリリースで4K解像度が新たにサポートされた。加えて、縦型動画フォーマットにも対応し、SNS向けのコンテンツ制作にも活用しやすくなった。生成可能な長さは、映像と音声を含む場合で最大2秒、音声(環境音や背景音など)のみの場合は最大10秒である。
生成されたコンテンツには、AIによる生成物であることを示す「コンテンツクレデンシャル」が付与され、商用利用にも対応した設計となっている。生成延長にはFireflyの生成クレジットが導入される予定だが、現在は期間限定で無料で提供されている。
大規模な映像制作プロジェクトでは、テラバイト級の膨大な映像素材の中から目的のクリップを探し出す作業が、制作工程における大きな負担となる。「メディアインテリジェンス」は、AIの力でこの課題を解消する。オブジェクト、場所、カメラ アングル、または撮影日やカメラタイプといったメタデータなど、動画クリップの内容を認識し、より柔軟な検索を可能にする。この分析処理はユーザーのデバイスで完結し、インターネット接続は不要である。
キャプション翻訳は、Premiere Proで生成されたキャプションまたはキャプションサイドカーファイル(.srtなど)を対象に、27言語への翻訳を自動で行う。従来は時間とコストを要した翻訳作業の効率化が可能となり、多言語対応コンテンツの制作が容易になる。
さらに、カラーマネージメント機能も強化された。新たなシステムでは、主要なカメラのLog形式やRAW形式を網羅的にサポートし、読み込み時に標準ダイナミックレンジ(SDR)やハイダイナミックレンジ(HDR)または任意のカラースペースに自動変換することが可能。LUT(ルックアップテーブル)を適用する手間なく、適切な色再現のもとで即座に編集作業を開始できる。