軍事とIT 第552回 陸上の電波兵器(11)陸戦用の通信機(1)

2024年4月6日(土)11時35分 マイナビニュース

陸戦に限らず、海戦でも航空戦でも通信は必要不可欠な要素。それを実現する手段が通信機だが、陸戦用の通信機には、他の戦闘空間とは異なる要件がある。まずはそんなところから話を始めてみたい。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
陸戦用通信機における要件 - 個人携行とバッテリ駆動
海戦なら、通信機は艦艇に搭載する。航空戦なら、通信機は航空機に搭載する。いずれもなにがしかの「プラットフォーム」があり、そこに設置場所や電源を確保する。
陸戦でも、通信機を各種車両という「プラットフォーム」に載せる場面はあるが、それだけでは済まない。徒歩で行動する兵士が存在する以上、個人で携行できる通信機も不可欠なものとなる。
これはさらに、複数のカテゴリーがある。まず、市販品のトランシーバーみたいにコンパクトな個人レベル向けの通信機(handheld radio)。こうした通信機は、見通し線圏内の短距離通信だけ行えれば用が足りる。一般的には、電波の周波数としてVHFとUHFを用いている。
その一例が、L3ハリス・テクノロジーズ製のAN/PRC-163。見た目は「ちょっと大きなトランシーバー」という感じだが、底面に取り付けたバッテリの大きさが、求められるバッテリ容量の大きさを暗示している。サイズは15.24cm×7.62cm×5.08cm、重量1.25kg。
もうひとつが、個人携行用と比べると大柄で、背中に背負って歩くタイプの通信機、いわゆる背負式通信機(manpack radio)。ポピュラーな背負式通信機というと、L3ハリス・テクノロジーズ製のAN/PRC-117シリーズがある。
シリーズ最新モデルはAN/PRC-117G(V)1(C)で、サイズはバッテリがない状態で9.3cm×18.7cm×22.3cm、重量3.72kg。バッテリを取り付けた状態で、9.3cm×18.7cm×34.3cm、重量5.44kg。つまり、筐体の底面に脱着式のバッテリパックを取り付ける構成で、バッテリは消耗したら充電済みのものと取り替える。
この「個人携行」と「バッテリ駆動」が、陸戦用通信機における重要な要件となる。何かのプラットフォームに載せた通信機なら、そのプラットフォームに電源を依存できるが、個人レベルでは発電機まで持ち歩くわけには行かないから、バッテリは不可欠。
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