富士フイルムら、肺がん化学放射線療法の過去症例を検索できるシステムを開発

2024年4月10日(水)9時28分 マイナビニュース

富士フイルムとアストラゼネカは4月9日、切除不能なステージIIIのNSCLC(Non-Small Cell Lung Cancer:非小細胞肺がん)に対する化学放射線療法(Chemoradiotherapy 以下、CRT)の過去症例を検索できる医療情報システムを共同で開発したことを発表した。
富士フイルムは同システムの検索機能を、3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」の新バージョンである「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」にオプション機能として搭載。富士フイルムメディカルからSYNAPSE VINCENT Ver7.0の提供を開始する。
○システムの概要
今回開発したシステムは、両社が2021年より共同で開発を進めてきた医療情報システムだという。切除不能なステージIIIのNSCLCに対するCRTの過去症例の検索に加えて、放射線治療計画の表示も可能。アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対してCRTが適用された約1900症例の放射線治療計画の情報を収集し、富士フイルムがその情報のデータベース化と検索機能の開発を担当した。
同システムでは、医師がCT画像を入力して腫瘍の位置や検索条件を指定すると、データベースから腫瘍の中心の相対位置が近い過去症例を検索。医師が参照したい症例の放射線治療計画の情報を表示して、医師による放射線治療計画の作成をサポートする。
○医療現場における課題
CRTはがんの治療法の一つで、放射線療法と化学療法を同時に組み合わせるもの。肺癌診療ガイドラインにおいては、全身状態が良好な場合の切除不能なステージIII NSCLCの治療法として、根治を目的としたCRTが推奨される。近年の放射線治療の高度化や免疫チェックポイント阻害薬の登場による治療法の進展に伴い、切除不能なステージIII NSCLC患者にとってCRTの重要性は高まっている。
一方で、放射線治療計画の作成はステージIII NSCLCの腫瘍の大きさとリンパ節転移の位置のパターンが多岐にわたることや、放射線の影響による肺臓炎などの有害事象を引き起こさないようにする必要があるため難しく、医療現場の負担も増大している。

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