偉い人ほど恥をかく? ついに日本語対応の「Apple Intelligence」登場...なんでも要約されてしまう時代に
2025年4月11日(金)12時10分 J-CASTニュース
Apple Intelligenceの日本語版がついに登場した。このAIモデルが特に力を入れるのが、文章を執筆する場面での活用である。
校正や書き直しだけでなく、文章の要約や要点の抽出などもできるようになった。日本はiPhoneユーザーの割合が多いと言われているが、Apple Intelligenceのローカライズ対応は日本国内のiPhoneユーザー、いや日本人にどのような効果をもたらすのか。
どんな文章でも、どんな演説でも、どんな会議でも、即座に要約されてしまう時代が到来するのだろうか。それをとても便利と感じる人もいれば、赤っ恥をかく人も現れるかもしれない。
「要約できない人」のスピーチは長い!
長い文章を要約することは、簡単なようで難しい。
何万文字にも及ぶ文章、または何十分という尺の演説の文字起こしの内容を隅から隅までチェックし、最も重要な点を抽出しなければならないからだ。
これができない人の話は、絶対に長くなる。「自分が本当は何を強調したいのか」が、自分で見えていないからだ。
たとえば、校長先生の朝のスピーチ、結婚式の新郎新婦の知人の挨拶、その他イベントの開会式での偉い人の挨拶。その話は起承転結の体を成しておらず、同じエピソードの繰り返しも多い......という場面に遭遇したことは一度や二度ではないのでは。
だが、そんなスピーチでも、iPhoneで録音して文字起こしを実行し、要約を実行すれば見事にまとめ上げてくれる可能性が高い。
日本では2025年4月1日、iOS18.4のアップデートで、日本語に対応した「Apple Intelligence」は、文章作成の場面を強く想定したAIプラットフォームだ。Appleの公式サイトでも「知能を備えた新しいツール。書くために生まれました」と言い切っている。
その話、要約されてますよ!
それだけに、このようなことは考えられないだろうか。偉い人のスピーチを誰かがこっそり録音し、それを要約してしまうという出来事である。
これを実行すると、スピーチをしている本人より、それを録音している人のほうが話の主旨をきちんと理解している......という現象が起きてしまう。
また、スピーチのあとでApple Intelligenceの要約機能を使った聴講者から「今の話、ようするにこういうことでしょ?」と言われてしまう可能性も考えられる。
自分の話したこと、書いたことが即座に要約されてしまう時代。AIはその人のスピーチの冗長さを明らかにすると同時に、「いかに簡潔かつ他人に伝わるスピーチを考えるか」がこれまで以上に必要なスキルとなるだろう。
洗練されたスピーチ原稿を作ることができるように
さらに、Apple IntelligenceとChatGPTの連携機能を使えば「要約した話から新しい文章」を作成することも可能だ。
iPhoneにプリインストールされている「メモ」アプリに要約文を記載した上で、画面下にある「作文ツール」のアイコンをタップ。
そこに「作文」という項目があるので、ここをタップしてChatGPTに指示を出す。たとえば、「これらの要点を盛り込んだスピーチ原稿を書いて」と指示する。すると、ChatGPTがそれらしいスピーチ原稿を生成してくれるのだ。
逆に、登壇者のやたらと長いスピーチが録音・要約されることで、それをもとにした「より洗練されたスピーチ原稿」を即座に作る、ということもできるようになったのだ。登壇者にとっては、喜ばしいどころか面子丸つぶれであることは間違いない!?
無駄な会議も洗練化!
AIの要約機能が普及、浸透したら、「無駄に長い話」は恥ずかしいものとされ、「文章やスピーチはできるだけ短いほうがむしろ洗練され、高度な内容が保証されている」ということが共通認識になっていく。これは「人類の進化」ではないか。
すると、会社にありがちな「長い会議」もAIの要約機能をきっかけに洗練化されていくかもしれない。なぜ会議が長くなるかといえば、それは「要点・問題点の抽出」に余計な時間を費やしてしまうからだ。誰の目にも明らかな要点を即座に割り出すことができれば、会議に要する時間も自ずと短縮されるだろう。
「AIがもたらす働き方改革」という意味でも、Apple Intelligenceを始めとした生成AIモデルの技術的前進には今後も注目する必要がある。(澤田真一)