公正取引委員会、Googleに対し排除措置命令 - スマホでの検索機能の搭載に関連して
2025年4月15日(火)19時20分 マイナビニュース
公正取引委員会は4月15日、Google LLCに対し、独占禁止法の規定に基づく排除措置命令を行った。Google LLCが不公正な取引方法を用いてはならないと定めた独占禁止法第19条に違反する行為を行っているとしての措置になる。
独占禁止法に基づく排除措置命令は、公正取引委員会が独占禁止法違反を行ったと認定した企業・事業者に対し、違反行為の即時中止および中止されたことの確認、再発防止策の実施、取引先などへの通知などを行うことを求める行政処分。企業・事業者が排除措置命令に従わない場合は、刑事罰が科されることもある。
排除措置命令が出されるまでには、対象となる企業・事業者への行政調査、事前通知/意見聴取といったプロセスが踏まれる。今回のGoogle LLCへの排除措置命令にあたっては、2023年10月23日から審査を開始することが公表されている。
今回認定された違反行為は、同社が特定のAndroidスマートフォンのメーカーと特定の移動通信事業者(携帯キャリア)に対し、他の一般検索サービス事業者の検索機能を特定のAndroidスマートフォンに実装させないようにしているというもの。
具体的には、Androidスマートフォンのメーカーおよび携帯キャリアが「Google Play」アプリをプリインストールする際にGoogle LLCおよびその子会社と締結する許諾契約において、「Google Search」のアイコンを初期ホーム画面に配置すること、「Google Chrome」をプリインストールすること、「Google Chrome」のアイコンを初期ホーム画面に配置すること、「Google Chrome」の設定をGoogle LLCの検索機能が選択された状態にすることが求められている。
また、Androidスマートフォンのメーカーおよび携帯キャリアはGoogle LLCとの間で、Google LLCの一般検索サービスに関わる検索広告による収益の一部を分配することを規定する収益分配契約を結んでいる。この契約では、他の一般検索サービス事業者の検索機能を実装しないこと、他の一般検索サービス事業者の検索機能への接続を主目的とする機能を実装しないこと、利用者に対して他の一般検索サービス事業者の検索機能の紹介・利用の奨励・提案をしないこと、すべての検索機能について、利用される一般検索サービスをGoogle LLCの検索サービスとすること、Google LLCの検索ウィジェットを初期ホーム画面に配置すること、既定のブラウザを「Google Chrome」としてアイコンをドックに配置すること、「Google Chrome」の設定をGoogle LLCの検索機能が選択された状態から変更しないこと、この設定の変更を促したり提案したりしないこと、搭載するブラウザの検索設定をGoogle LLCの一般検索サービスを利用するよう設定するか移動通信事業者のホームページを指定する設定とすることを求めている。
公正取引委員会はこういった許諾契約/収益分配契約の内容がAndroidスマートフォンのメーカーおよび携帯キャリアの事業活動を不当に拘束するものであると認定し、今回の排除措置命令の発令に至った。
排除措置命令は、Google LLCに対し以下の対応を求めている。
違反行為の取りやめ:「Google Play」のプリインストールの許諾契約および検索広告による収益の一部を分配する収益分配契約において、前述のような他の一般検索サービス事業者の検索機能をAndroidスマートフォンに実装させないようにする行為を取りやめること
業務執行の決定機関における決議:前述のような他の一般検索サービス事業者の検索機能をAndroidスマートフォンに実装させないようにする行為を取りやめること、今後同様の事項の実施を求めないことを業務執行の決定機関において決議すること
取引先への通知/従業員への周知徹底:前2項に基づいて行った措置を本件に関わるAndroidスマートフォンメーカーおよび移動通信事業者に通知するとともに、自社の役員および本件の許諾契約/収益分配契約に関連する業務に従事する自社従業員に周知徹底すること
将来不作為:今後、Androidスマートフォンの製造/販売を行う事業者に対し、検索機能の実装に関わる取引にあたって、前述のような他の一般検索サービス事業者の検索機能をAndroidスマートフォンに実装させないようにする行為および同様の行為を行なわないこと
コンプライアンス体制の整備:Androidスマートフォンの製造・販売を行う事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成、その指針の役員および本件の許諾契約/収益分配契約に関連する業務に従事する従業員に対する周知徹底、定期的な研修/監査
履行状況の監視・報告:独立した第三者を選定して上記の措置の履行状況を5年間監視し、公正取引委員会に報告させること
なお排除措置命令の対象となった企業・事業者が排除措置命令の内容に不服がある場合、不服申し立てを行うことができる。不服申し立ての期限は、処分(排除措置命令)があったことを知った日から6カ月以内、または処分の日から1年以内の、早いほうの期限が適用される。