子供のネットを監視するアプリは、親子の信頼を損ねる。「スマホの使い方が信頼されないなら、なぜ親を信頼しないといけないの?」

4月17日(火)7時0分 GIZMODO


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Image: Kateryna Yakovlieva/Shutterstock.com

インターネットは便利ですが、とても闇が深いです。大人のわたしでさえ、時としてその漆黒の闇に引きずり込まれそうになるので、万が一好奇心旺盛で大人の悪意を知らない子供たちが引っかかってしまったら…と思うと心配になります。まして私たちは子供の頃にネットがなかったので、ネットが身近な子供時代というのを想像できません。それ故に不安を募らせる親は多いでしょう。

そんな悩める親の味方が、子供のネットに制限をかけられる「モニタリングアプリ」。特定のウェブサイトをブロックしたり、使用時間を制限したり、子供のオンライン利用状況を追跡することができる頼もしいアプリなんですが──、安易にインストールしないで! というのも、使い方次第では親子関係が険悪になるかもしれません。

セントラルフロリダ大学は200組以上の親子(子供は13〜17才)を対象にオンライン調査を実施しました。その結果、半分以上の親が「Family Time」「Qustodio」 「ESET Paretal Control」「PhoneSheriff」「Pumpic」といったモニタリングアプリを時々使っていることが判明しました。

調査によると、こういったアプリを頼る親は厳しく、独裁主義的で、子供の意見に耳を傾けずに妥協点すらみつけようとしない傾向が高いようです。

しかし親の期待に反して、こういったモニタリングアプリを入れられた子供は、より有害なコンテンツを目にしたり、オンライン・ハラスメントにあったり、また他の子供と問題を起こしやすい傾向にあると報告されています。セントラルフロリダ大学でエンジニアとコンピューターサイエンスを教えるPamela Wisniewskiさんは米Gizmodoに宛てたEメールで次のように言いました。

モニタリングアプリを使う上で留意するべきことは、これが子供をオンラインの害から守ってくれる魔法のアプリではないと認識することです。

調査班はGoogle Play上にあるペアレンタル・コントロールアプリに投稿された736ものオンラインレビューから、親と子供(8〜19歳)がどんな感想を持っているのか調べました。

すると、一般的に見て親はアプリに満足している一方、3分の2の子供が星ひとつ評価を下していたのです。低評価だけでなく、親との信頼関係にヒビが入りつつあることを明かす子供もいました。

2015年にSecureTeen Parental Controlというモニタリングアプリに投稿されたある子供のレビューを見てみましょう。

このアプリは親との信頼関係を悪化させました。父がこのアプリを入れてから、僕(私)との間に溝ができました。僕(私)のスマホの使い方を信頼できないなら、なぜ父を信頼しないといけないのでしょう。

これらの研究は4月末にカナダのモントリオールで開催される学会CHI 2018で発表される予定です。

調査の内容がカンファレンスで受け入れられるかどうかを知るため、Wisniewskiさんは同業者にも確認してもらったそうですが、こうしたアプリがなぜオンラインリスクに関連するのか確固たる理由を見つけることはできなかったそうです。

過去にオンラインリスクに晒されたティーンを持つ親がこういったアプリを使っている可能性も考えられます。しかしこうした親は、年頃の子供を待ち受けるオンラインリスクがどんなものなのかをはっきりと理解していないのです。なぜペアレンタル・コントロール・アプリを使うことを決めたのか理由が明確ではありません。

Wisniewskiさんは続けます。

別の可能性として、こうしたアプリを使う親を持つティーンは、オフラインでの友人間問題についてもオンラインリスクについても親から教わっていない、サポートを受けていないことが考えられるでしょう。ペアレントコントロールアプリを使うことは、親が子供に関与しなくなってきていることの表れなのかもしれません。

では、こういったモニタリングアプリは親を怠けさせるだけで不必要か、といえばそれもどうでしょう?

もちろん、モニタリングアプリを入れるだけにして子供のことは放ったらかし、というなら入れない方がマシです。アプリを入れても、親が積極的に子供の人生に関わりを持って子供のネット利用状況を直接確認したり、使い方によってはオンラインの危険性を話し合う、そして何より親が子供のリスクマネージメント能力や判断力を信じる姿勢を見せるならアプリは大いに役立つツールになるはずです。

それに、これを書いている私はこんなケースを知っています。オンラインでの交友関係に疲れたティーンエイジャーが「ネットをしない言い訳にペアレンタル・コントロール・アプリを入れてほしい」と親に頼んだ、というものです。何もすべての子供がネット中毒で判断力に乏しいわけではありません。子供本人がネットを介した密すぎる交友関係に疲労したり、勉強の妨げになると危機感を持って、アプリの助けを借りたいと思うこともあるのです。実際アプリのレビューで「ネット漬けになるのが嫌なのでタイマー機能はありがたい」との書き込みを目にしました。

また、日本だと「まもるゾウ」や「スマモリ」などに見られる、スマホの利用時間を分析したり、アクセス制限設定できたり、帰宅を親に通知するといった利点を冷静に分析して「小学生には使ったほうがいい」というティーンエイジャーもいました。つまり、子供は「モニタリングアプリ」を全否定しているわけではありません。あくまで大人の都合や心配を一方的に押し付けるのが嫌で、子供の意見も尊重した設計のものならアリだと思っているではないでしょうか。

ちなみに親が心配するオンラインリスクに関してですが、Wisniewskiさんの別の調査で、子供たちはネット荒らしや釣り、オンラインいじめから早く回復している傾向にあることがわかっています。もしかしたら、親が思っているより子供たちはタフでネットのなんなるかを理解しているのかもしれません。

なお2016年のPew Research Centerの報告によると、海外では16%の親がティーンのネット動向をアプリで定期的にチェックしているそうです。私的には意外と少ないな、と思いました。

Source: CHI 2018, Pew Research Center

Ed Cara - Gizmodo US[原文]
(中川真知子)

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