AIはクリエイティブを生み出せるのか - Appier CEOが語るAI論

4月17日(火)13時0分 マイナビニュース

2017年3月6日。台湾に本社を置くAIスタートアップのAppierは、米フォーチュン誌の「AI革命をリードする50社」に選出された。50社のうち、アジアから選ばれたのはわずか4社。日本でもAIの新たな技術やサービスが話題になることは多いが、選出された企業は1社もなかった。

Appierが2012年に本社を設立してからわずか5年。どのようなビジョンで事業を展開することで、AI革命をリードするまでに成長できたのだろうか。台湾で開催された同社のプレス/アナリストに向けたイベント「Appier Press&Analyst Summit 2018」の講演にて、Appier CEOのチハン・ユー氏がAIに対する考え方を述べたので、本稿ではその様子を紹介する。
○2つのブレイクスルーでAIを進化させる

Appier CEOのチハン・ユー氏

チハン氏は、講演で同社内におけるAIの考え方について、次のように語った。

「我々は"製品のブレイクスルー"と"科学のブレイクスルー"を意識しながら仕事をしています。製品については、ユーザー本位を徹底し、誰もが使えるような拡張性を持たせながら、大きなインパクトをもたらすものを作りたいと考えています」

同社では「AI-as-a-Service」として、複数の端末を使い分ける同一のユーザーを特定し、趣味や嗜好を分析するマーケティングインテリジェンス「CrossX Programmatic Platform」と、ユーザーの分析・予測を行うデータインテリジェンスの「Aixon Platform」を提供している。

どちらもAIの専門家がいない企業でも使えるように考慮されており、イベントでデモが行われたAixonは、ドラッグ&ドロップで簡単にユーザーのセグメント化を実行できる仕様だ。

「また、科学的なブレイクスルーでは、疑問に対して実験などを行います。最近では、AIがクリエイティブになれるのかという命題に対して、トライアルを実施しました」

そう言って、チハン氏は1枚のスライドを表示させた。

「11月に台湾のECサイトで掲載したイメージです。売り上げがよかったのはどちらだと思いますか?」

イメージを見て、プロのマーケターは約6割ほどの確率で正解を導くことができたが、コンピューターは8割近く正しい予想をすることができたという。

「AIを使えば、人間よりも高い精度でクリエイティブの判断ができる可能性があることがわかりました」と、チハン氏。

ちなみに、売り上げが高かったのは「B」だ。「A」と比較して10倍以上の売り上げを実現したという。

「もう1つの実験をお見せしましょう」

チハン氏は次のスライドを表示する。

「人間がデザインしたものとAIがデザインしたものです。どちらが人間でどちらがAIか、すぐに判断するのは難しいのではないでしょうか」

チハン氏の言う通り、確かに、どちらも同じように見える。

「学習データとしてファッションサイトのアイテムをすべてAIに覚えさせ、人間によるフィードバックを行うことで、AIはクリエイティブなデザインをゼロから生み出すことができました。これらの実験を通じて、我々はAIの想像力の進化を証明できたと考えています。将来的には、AIがデザイナーの仕事を奪うのではなく、デザイナーにとってアイデアのもとになるサンプルを作ることでサポートしてくれるようになるでしょう」

Appierではこのような疑問に対して、実証を繰り返すことで、AIの進化を求め続けているようだ。ちなみに、AIがデザインしたものは「B」である。

「製品が科学的なブレイクスルーを生み出すこともあれば、科学的なブレイクスルーから製品化のアイデアが生まれることもあります。お互い非常に良好なサイクルを生み出していると感じますね」と、チハン氏は楽しそうに語る。

2017年から2021年にかけて、世界AI市場は年平均50.51%で成長していくと予測されている。そして2025年には、AIとロボット技術によって創出される価値は50兆ドルに達するという。産業構造は大きく変わりつつあり、過去15年でS&P500社の52%が入れ替わった。現在、上場企業のトップ5はITやAI関連の企業が占めている。

「2020年には、アジア太平洋地域がAIについて最も市場価値の高い地域になると言われています。多くの機会があるでしょう。すでに人間よりも優れた結果を得られる技術も数多く生まれています」

チハン氏はAI技術の進化を確信する。市場価値の高まるアジア地域においては、多くのチャンスが眠っているのだ。

AIの可能性を追求する好奇心がブレイクスルーを生み出し、急成長を遂げたAppier。自ら市場を牽引しながら強かにビジネスチャンスを見極めるチハン氏は、この先どのようなインパクトをアジアに与えていくのか。次のブレイクスルーが待ち遠しい。

マイナビニュース

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