ファーウェイ、ウェアラブルデバイスによる血圧測定の活用についてのフォーラム開催

2025年4月17日(木)7時30分 マイナビニュース


ファーウェイ・ジャパンは4月14日、血圧管理や血圧測定におけるデジタル技術の活用についての最新情報を解説する「デジタル技術を活用した血圧測定フォーラム」を開催した。同社では2月より自動血圧モニタリング機能を搭載したスマートウォッチ「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」の一般販売を開始しており、こういったデバイスを活用する利点などについても紹介された。
○「HUAWEI WATCH D2」から多元センシングの「HUAWEI TruSenseシステム」へ
フォーラムの冒頭には、ファーウェイデバイスのウェアラブル&スポーツヘルスケア部門のプレジデントを務めるリコ・ジャン氏が登壇。ファーウェイのヘルスケアへの取り組みを紹介した。
同氏によれば、健康意識の高まりにあわせて、自分自身の健康についてのデータを収集・管理するヘルスケアモニタリングのニーズが増えており、ヘルスケア産業においては医療機関内における診療に加えて医療機関外での自己健康管理の重要性が増しているという。それにともない、「病気を治す」から「病気を予防する」へのシフトも進んでいるとのこと。
同社が、今回のような「血圧」をテーマにしたフォーラムを開催するのも、さまざまな疾病の予防において血圧管理が重要だからにほかならない。高血圧は「慢性疾患の王様」と呼ばれ、有病率が高いにも関わらずその認知度が低いという。血圧測定を行って必要があれば生活習慣の改善や服薬を行うことで、健康リスクを効果的に低減することが望めるのだ。
血圧管理が近年注目されているのには、いくつかの理由がある。そのひとつが「手首式血圧計の画期的な進歩」だという。ファーウェイでは2021年に初の手首式心電図・血圧計スマートウォッチ「HUAWEI WATCH D」を発売しているが、同機の開発に際しては小さなカフ(腕帯)でオシロメトリック法(※)による正確な測定を行うという技術的難題をクリアする必要があった。この点が解決されたことで小型のウェアラブルデバイスで血圧を測定できるようになり、24時間/365日の血圧モニタリングが可能になったわけだ。
※オシロメトリック法は血圧の測定法のひとつで、血流の振動を感知して血圧を測定する。血流の音を聴診器で聞きながら測定するコロトコフ音法よりも測定誤差が少ないとされ、血圧測定の主流とされる。
24時間/365日の血圧モニタリングが可能になったことで、体調や情緒による変動、生活リズムに由来する変動などを常時管理できるようになった。そして前述の最新モデル「HUAWEI WATCH D2」では、カフの圧迫感が低減されてセンサーも正確さを増し、より快適かつ精度の高い測定が可能になっているという。
このように血圧測定・管理の技術は進展したが、ファーウェイが目指すのは血圧管理だけではない。同社は2024年にリリースした「HUAWEI TruSenseシステム」と名付けたシステムで、多次元のセンシングを行おうとしている。
これは循環器系/呼吸器系/神経系/内分泌系/生殖系/運動系の6つの主要な健康システムすべてに対応し、60項目以上の生体データを測定して自分の身体を総合的に判断しようというシステム。同システムでは長期的な変化をモニタリングするだけでなく、トレンド変化や関係性の分析もできるという。同社ではこのシステムを活用し、「HUAWEI Health」アプリでさまざまなサービスを提供するだけでなく、外部パートナーと提携してのエコシステムの構築、研究分野での提携などを広げ、テクノロジーで能動的に健康を追及していく考えだという。
○ウェアラブルデバイスによる24時間の血圧測定が循環器疾患予防の第一歩
続いては、自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門の教授で、日本高血圧学会理事長の苅尾七臣氏が登壇し、「最新の血圧測定研究」と題した講演を行った。
苅尾教授によれば、アジア人は欧米人にくらべて高血圧のリスクが高いにもかかわらず、その管理ができていないのが現状だとのこと。この状況を改善するために苅尾教授はこのあとに登壇する王教授とともに「HOPE Asia Network」という、アジア地域における高血圧管理の質向上と心血管疾患の予防を目的とした国際的な研究・医療ネットワークを設立している。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞、心不全、大動脈解離といった循環器疾患のリスク因子であり、同時に発病のトリガーともなる。このため、生活習慣の改善により高血圧(および脂質異常・糖尿病など)を治療することによってリスクを下げ、あるタイミングで血圧が急激に上昇する「血圧サージ」のピークを抑制することで発病のリスクをおさえることができる。
こういった血圧の治療・管理において、ウェアラブルデバイスで継続的に血圧を測定できることには大きな意味がある。常時血圧を測定することで、サージ血圧のレベルが高い、夜間の睡眠中の血圧低下が大きい、逆に夜間の睡眠中に血圧が上昇するといった心疾患のリスクが高い人を発見しやすくなるのだという。
こういった研究を受け、日本高血圧学会では、朝の血圧測定を習慣づけようというキャンペーンを行っている。測定は医療機関で行うのでなくても、正確に測定できさえすればよいとのこと。それで朝の血圧が130を超えるようであれば、リスクが高いと考えるべきだという。7月には、高血圧治療管理のガイドラインが策定される予定だ。
このように知見も増えている血圧管理だが、ウェアラブルデバイスによる正確な24時間血圧測定は循環器疾患ゼロに向けての第1歩になると苅尾教授は話していた。
○ウェアラブル血圧測定は中国の高血圧予防治療ガイドラインにも記載
続いて登壇したのは上海交通大学医学院付属瑞金医院 教授で上海市高血圧研究所 所長の 王継光氏。「ウェアラブル機器による血圧モニタリングとその応用」と題する講演を行った。
非侵襲型の血圧測定は、1896年に上腕カフを用いた血圧測定技術が発明されてはじまった。その後、1905年にコロトコフにより聴診法による血圧測定技術が発明され、収縮期だけでなく拡張期も血圧を測定できるようになった。最近になって診察室外での血圧測定が行われるようになり、早朝や夜間の血圧を測定できるようになったが、まだまだ改善しなければならない課題もあるそうだ。
また血圧測定ができるようになっても、世界では一部の国を除いて十分な血圧管理が行われていないというのが王教授の見解。定期的に血圧を測る人が少なく、患者の半分をターゲット血圧にコントロールできていないとのこと。
王教授は長い間、いつでもどこでも血圧を計測できるデバイスを求めていたのだという。その待望のデバイスが「HUAWEI Watch D」「HUAWEI Watch D2」で、睡眠を妨げることなく夜間の測定ができ、24時間測定するのもそれほど大変ではないということでこういったデバイスに注目。精度の検証を行っても十分な精度だったそうだ。2024年に出された中国の高血圧予防治療ガイドには、ウェアラブルデバイスによる血圧測定について言及されているとのこと。
なお、血圧測定のデバイスにはカフレスタイプのものもあるそうだが、現時点ではその種のデバイスには精度などに課題があり、推奨されていない。
王教授は未来に向けてはまだまだ革新が必要で、技術・応用の両面において精度を高めていかなければならず、また連続性も高めていきたいとのこと。ファーウェイのような会社と協業することで今後も心疾患に取り組んでいきたいとした。
○ヘルスケア関連企業2社はウェアラブル血圧測定の活用の見通しを紹介
両教授の講演に続いては、ヘルスケア関連企業2社の代表者が登壇し、それぞれの事業内容と「HUAWEI WATCH D2」の活用についてのプレゼンテーションを行った。
ヘルスケアサービス「HELPO」や健診結果/健康データ管理システム「Well-Gate」を展開するヘルスケアテクノロジーは、代表取締役社長兼CEOの鴻池大介氏が登壇。同社では「HELPO」と「HUAWEI WATCH D2」を連携させて日常的に血圧データを取得し、そのデータをAIと医療者がモニタリングして次回通院までのケアを行うことを検討しているという。
また、GPSを活用した健康管理システムを展開するテクノクラフトは、「HUAWEI WATCH D2」でバイタルモニタリングを行うことで、遠隔での見守り、妊婦高血圧症候群の予防、ドライバーの安全運転支援、歯科治療中の麻酔リスクの低減などに活用できるという見通しを示した。
最後に、ファーウェイデバイスの日本・韓国リージョンプレジデントのハ・レイ氏が登壇。ウェアラブルデバイスについては当初スポーツ領域で活用されるのではないかと思っていたが、健康分野での活用が期待できるとしつつ、まだ浸透率がそれほど高くないことから、メディアやパートナー、医療者の協力で広く展開していきたいと語っていた。

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