自動回転で縦置きやパススルー給電にも対応 デルの14型モバイルディスプレイ「Dell Pro 14 Plus」を試す
2025年4月18日(金)12時0分 ITmedia PC USER
デル・テクノロジーズ「Dell Pro 14 Plus」。ボディーサイズは約315.15(幅)×4.60(奥行き)×223.54(厚さ)mmだ
●14型で500g台半ばと軽量! スタンドは縦置きにも対応
まずは基本仕様から見ていこう。画面サイズは14型で、解像度は1920×1200ピクセル、アンチグレアのIPS液晶を採用している。応答速度は7ms、視野角は水平/垂直共に178度、リフレッシュレートは60Hz、輝度は400ニト、コントラスト比は1500:1、sRGBの色域カバー率は100%となっている。タッチ操作には非対応だ。
ボディーは折りたたみ式のスタンドと一体化しており、横から見るとL字状になる形状が目を引く。スタンドは10〜90度の範囲で角度を調整できる。従来モデルにあたる「C1422H」ではボディーと同じ幅だったが、本製品ではかなり狭くなっている。これは縦置きへの対応が主目的だと考えられる。詳しくは後述する。
従来モデルでは側面にあった電源ボタンや決定ボタンなどが、本製品ではスタンドの上面へと移動している。他社製品では見られないギミックとして、自動回転のオン/オフボタンも備える。この機能についても後ほど詳しく紹介する。
ちなみに、本製品の製品ページを見るとVESAマウント対応は「あり」、規格は「100×100」とされているが、背面および底面を見ても、それらしき穴は空いていない。何らかのオプションが存在する可能性はあるが、少なくとも標準の状態では利用できないので、入手を考えている人は気を付けてほしい。
接続方式はUSB Type-Cのみで、2基のUSB Type-Cポートを用いた最大65Wのパススルー給電にも対応する。ポートはスタンドの左右に1基ずつ配置されているので、レイアウトに困ることはないだろう。ちなみに、スピーカーやイヤフォンジャックを搭載しないのは、従来モデルと同様だ。
重量は公称値で約570g、実測だと565gだった。本体サイズから想定される重量よりもずっと軽く、持った時も負担にならない。ボディーが樹脂製であることが大きく影響していると考えられるが、特にひ弱な印象もないので、軽さと携帯性が両立した製品を求めるユーザーにとってはよい選択肢だろう。
付属品はUSB Type-Cケーブルのみとシンプルだ。コネクターは片端がL字となっており、狭い場所での配線も容易だ。また付属品の一覧にはないが、持ち歩き用のポーチも付属している。
●ユーティリティーを使わず画面の自動回転に対応
では実際に使ってみよう。USB Type-Cポートはスタンドの両側面に1基ずつ配置されており、添付のUSB Type-CケーブルがL字コネクターを採用していることもあって、スペースに制限がある場所でも設置しやすい。このL字コネクターは横置き時だけでなく、縦置きの場合も威力を発揮する。
実際に使ってすぐ分かるのは画面の明るさだ。従来モデルのC1422Hは300ニトだったが、本製品は400ニトに向上しているためだろう。輝度50%でも十分に明るく、斜め方向から見ても画面の暗さを感じない。
また最大65Wのパススルー給電にも対応している。試しに100Wの充電器に接続したところ、ノートPCからは65Wの電源として認識された。前述の配線の取り回しの容易さに加え、電源供給の自由度も高いのはユーザーにとってありがたい。
さて本製品の特徴の1つに、横向きだけでなく縦向きでの利用にも対応することが挙げられる。単に縦向きに設置できるというだけでなく、内蔵センサーで本体の向きを検知し、自動的に画面を回転させられるのがウリだ。
画面の回転機能をアピールするモバイルディスプレイの多くは、PC側にインストールしたユーティリティーによって自動回転を実現しているが、本製品はユーティリティーを用いずに、本体だけで自動回転が行える。さらに、背面スタンド上部のロックボタンで、回転しないよう一時的にロックをかけられる。本体だけでこれらのコントロールができるのは便利だ。
●専用ユーティリティーやOSDの使い勝手は?
一方、OSDメニューについては、本体側で可能なのは明るさ調整のみだ。それ以外の機能は、PC側にインストールした専用ユーティリティー「Dell Display and Peripheral Manager」を用いて行う。前述の自動回転機能がユーティリティーなしで実現しているだけに、これらOSDメニューの機能が乏しく、ユーティリティーを必要とするのは、少々ちぐはぐな印象を受ける。
このユーティリティーも、可能なのは明るさとコントラスト、そして色の調整と、項目は最小限だ。実際にはそれほど調整の必要はないため大きな支障はないとはいえ、一般的なモバイルディスプレイのOSDメニューに慣れている人は、若干の心細さを感じるかもしれない。
一方でこのユーティリティーは、画面の分割表示などレイアウト回りについてもカスタマイズでき、本製品を複数接続した場合に明るさやコントラストを同期する機能など、プラスαの機能は充実している。時間帯によって明るさが変化するようスケジュール設定を行うことも可能だ。
●実売約4万円とお値段は高め スピーカーの非搭載をどう見るか
以上ざっと見てきたが、縦置き対応やパススルー充電など、昨今のモバイルディスプレイで付加価値として提供されている機能を一通り網羅した、高機能な製品だ。品質も高く、またL字のケーブルを採用するなど、使い勝手にも配慮されている。
そんな本製品でネックになるのは音声出力系の機能で、具体的にはスピーカーもイヤフォンジャックも省かれていることだろう。個人的にはモバイルディスプレイでスピーカーは使わないので問題ないと感じるが、どうせならスピーカーを内蔵している他社の製品を選ぼうとする人がいても不思議ではない。
実売価格は4万800円と、14型のモバイルディスプレイとしてはやや高価だ。実機を見る限り品質は高く、この価格も納得は行くのだが、こうした音声出力系の機能が省かれていることで、ユーザーの好みは分かれるだろうというのが、一通り使った上での感想だ。