「ROG Zephyrus G16」をレビュー。薄型ボディで120W駆動のRTX 5090 Laptop搭載、16インチのスリムモデル

2025年4月19日(土)8時0分 マイナビニュース


2025年4月2日に発売された、ASUSのゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G16(GU605CX-U9R5090)」をレビューします。本製品は、インテルCore Ultra 9プロセッサー285HとNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載したハイエンドモデルです。
16型OLEDディスプレイを採用し、メモリは64GB、ストレージは2TB SSDとスペックに妥協のない構成。公式サイトの直販価格では739,800円のアルティメットモデルです。
○ROGらしさを継承したプレミアムな外観と使い勝手
アルミニウム合金をCNC加工で成形した筐体は、シックな「エクリプスグレー」で仕上げられており、天板には斜めに走るスラッシュライティングを備えています。15種類のアニメーションパターンを表示できるこのライティングは、落ち着いた印象の中にもゲーミングモデルらしい存在感を与えています。
本体サイズは幅354.0mm×奥行き246.0mm×高さ14.9〜17.4mm。ステルスヒンジの採用によってサイズの割に薄く仕上がっており、公称1.95kgという重量を許容できれば、バックパックに入れての持ち運びも現実的です。
底面とキーボード面に配置されたスピーカーは、2W×2と1W×4の計6基構成。ノートPCとしては音質も良好で、高解像度かつ鮮やかなディスプレイと相まって、ヘッドセットを使用しなくてもゲームに没入できるクオリティを備えています。
ROG Zephyrus G16(GU605CX-U9R5090)に搭載されているディスプレイは、16型のOLEDパネル。解像度はWQXGA(2560×1600ドット)、リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.2msとゲーミング用途にもしっかり応える仕様です。特に応答速度の速さは、FPSやアクション系タイトルなど、シビアな操作が求められるシーンで効果を実感しやすいでしょう。
色域はDCI-P3を100%カバーしており、HDR表示はVESA DisplayHDR True Black 500の認証を取得。深みのある黒と、明るく鮮やかな色彩がしっかり描き分けられ、映像コンテンツやゲームの没入感を高めてくれます。Cyberpunk 2077のようなネオンがきらめく夜のシーンでは、コントラストの豊かさがより一層引き立ちました。
実際の表示を見ると、画面の隅々まで鮮やかで、グラデーションも滑らか。普段使いはもちろん、映像編集や写真現像といったクリエイティブ用途にも十分対応できる仕上がりです。
なお、表面処理はグレア(光沢)仕様のため、映り込みは多少あります。明るい室内や屋外では気になる場面もあるかもしれませんが、それを差し引いても表示の美しさは十分魅力的です。
キーボードはテンキーレスのコンパクトなレイアウトで、配列はJIS(日本語)配列です。ただし、バックスペースやエンター、右シフト、スペースキー周辺を見れば分かるように、US配列と共通のボディにJIS配列を収めた構造となっており、全体的に窮屈な印象を受けます。実際にタイピングをしていると、特にバックスペースとエンターキーの小ささにストレスを感じる場面がありました。
電源ボタンはキーボード右上に独立して配置されており、ゲーム中やタイピング中に誤って押してしまう心配はありません。加えて、4つの独立したMキーはArmoury Crateの起動やファンモードの切り替えなど、任意の操作を割り当てられるカスタマイズ可能なキーとなっています。
タッチパッドはガラス製で、面積が広く滑りも良好。カーソル操作やジェスチャーもスムーズで、ゲーム以外であればマウスを接続しなくても快適に使用できるクオリティです。
ポート類は左右に分散しており、左側にはThunderbolt 4、USB3.2 Gen2 Type-A、フルサイズのHDMI出力、3.5mmのマイク・ヘッドホンコンボジャックを搭載。右側にはUSB PDに対応したUSB3.2 Gen2 Type-C、さらにUSB3.2 Gen2 Type-AとフルサイズのSDカードリーダーを備えています。インターフェースは豊富で、ゲーミング用途はもちろん、外部ストレージやカメラとの連携が求められるクリエイティブワークにも対応できる構成です。
207万画素のWebカメラはディスプレイ上部に配置されており、赤外線(IR)カメラも内蔵しています。Windows Helloによる顔認証に対応し、ログインの手間を省きつつ高いセキュリティと利便性を両立しています。
本体はUSB PDによる給電にも対応していますが、付属のACアダプターは最大出力240Wの大型タイプです。しっかりとシステム全体の性能を引き出してゲームをプレイしたい場合は、付属のACアダプタを用いた給電を行った方が望ましいでしょう。
本体重量は1.95kgと、持ち運びがギリギリ現実的なライン。外出先での軽作業や動画視聴といったライトな用途であれば、やや小型のUSB PD対応充電器で活用することもできるかもしれません。TGPを必要としないシナリオであれば、そうした運用も十分に選択肢に入るでしょう。
○各種ベンチマークでROG Zephyrus G16の実力をチェック
各種ベンチマークソフトを用いた性能測定の結果から、処理能力を確認していきます。今回試用したROG Zephyrus G16 GU605CX (GU605CX-U9R5090)のスペックは以下の通り。
OS:Windows 11 Home
CPU:Intel Core Ultra 9 285H P-core 最大5.4GHz (6コア) / E-core 最大4.5GHz (8コア) / LP E-core 最大2.5GHz (2コア)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop
メモリ:64GB LPDDR5X-7467
ストレージ:2TB PCIe 4.0x4 SSD
Armoury Crateで「Windows」「サイレント」「パフォーマンス」「Turbo」「手動」の5つの動作モードを選択可能。今回は現実的に選択することになるであろう「パフォーマンス」モードで各種ベンチマークを実行しました。
また、本体の画面解像度は2560×1600ドットですが、パフォーマンスを測るために4K(3840×2160ドット)モニターに接続し、4K解像度までの測定をしています。
CINEBENCH R23ではマルチ20,000ptsオーバー、シングル2,000ptsオーバーを記録。最新のCINEBENCH 2024でもマルチ1,000ptsオーバーと、ノートPCとしては非常に高いスコアです。
PCMark 10でも高スコアをマークし、日常作業はもちろん、マルチタスクやクリエイティブワークでも快適に使用できる性能が確認できました。特にマルチコア性能の伸びが大きく、Intelのモバイル向けCPUとしてはトップクラスの処理能力です。
グラフィックス性能に関しては、3DMarkのTime SpyやPort Royal、Speed Wayを含む各種テストで、非常に高いスコアを記録しました。FF14やFF15のベンチマークでもフルHD及びWQHDで「非常に快適」と評価されており、重量級タイトルのモンスターハンターワイルズでも平均100fpsを超えるフレームレートを維持。Cyberpunk 2077ではDLSSを活用することで、フルHDで平均225fps、4Kでも90fps前後という優れた結果が得られました。
RTX 5090 Laptop GPUはTGP 120Wの制限こそあるものの、冷却性能とのバランスが取れた設計となっており、ゲーミング用途はもちろん、3D制作や高負荷な映像処理にも十分に対応できる高性能GPUです。
ストレージはPCIe 4.0接続の2TB SSDを搭載。読み込み6,688MB/s、書き込み5,958MB/sという高速な性能で、ゲームのロードや動画編集でも快適に活用できます。
○ゲームプレイ中の安定性と実用性
続いて、実際に『Cyberpunk 2077』をプレイしながら、GPUクロックや温度、消費電力、騒音、そして本体表面の温度といった実使用時の挙動を確認しました。
プレイ中は瞬間的に2,500MHzを超えるクロックが確認され、平均では1,500MHz前後で安定して推移していました。リミット温度は87℃に設定されていますが、実測での最高温度は85℃にとどまり、サーマルスロットリングの発生も見られませんでした。冷却機構がしっかり機能しており、安定した動作が維持されています。
消費電力については、Cyberpunk 2077プレイ中にシステム全体で約160Wのピークを記録。一方でアイドル時には24〜27W程度と、低消費電力に抑えられています。TGPが120Wに設定されているRTX 5090 Laptop GPUの制御がしっかりと効いており、効率的な電力運用がなされている印象です。
このTGP設定は、冷却性能や筐体サイズとのバランスを取るために調整されたものであり、同じRTX 5090 Laptop GPUを搭載していても製品ごとに性能に差が出るポイントでもあります。実際、GPU-Z上で確認できるブーストクロックは1,597MHzとなっていますが、プレイ中はそれを大きく上回る動作が確認され、冷却設計や電力制御によって性能が最大限引き出されていることがわかります。
騒音については、プレイ中に最大57.3dBAを記録しました。ファンがしっかりと回っており、音量としてもかなり存在感があります。静かな室内では確実に気になるレベルですが、ヘッドセットを着用してゲームに集中していれば、プレイ中に気が散るほどではありません。
本体表面の温度は、キーボード中央付近で最大56.8℃を記録した一方、WASDキー周辺は25℃以下に保たれていました。冷却ファンが配置されているエリアをうまく活かした内部設計で、実際の操作感に影響する部分の熱はしっかりコントロールされています。パームレストも熱を感じることはなく、長時間のゲームプレイでも快適に使える印象です。
ゲーム中の安定性や温度、ノイズ制御まで含めて、ROG Zephyrus G16 GU605CXは高性能なだけでなく、使いやすさにも配慮された設計がされていることを実感しました。加えて、TGPという消費電力上限が性能に与える影響も踏まえると、本機が限られた条件下でも高いバランスを実現していることがわかります。
○実用性とパフォーマンスを兼ね備えたゲーミングノートPCの理想形
ROG Zephyrus G16 GU605CXは、薄型筐体にIntel Core Ultra 9 285HとGeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載した、現行世代でも屈指のスペックを誇るゲーミングノートPCです。ゲームはもちろん、動画編集や3Dレンダリングといったクリエイティブ用途にも対応できる処理能力を備えており、まさに“高性能を持ち運ぶ”というコンセプトを体現したモデルと言えます。
ノートPC向けGPUであるRTX 5090 Laptopは、TGPやクロックに制限こそあるものの、本機ではその中で最大限のパフォーマンスを引き出すチューニングが施されていました。実ゲームにおける動作の安定性、静音性、冷却性能のバランスも良好で、長時間の高負荷プレイでも不安を感じさせない完成度の高さが印象的です。
240Hz駆動のOLEDディスプレイや使い勝手の良いキーボード、豊富なインターフェースなど、ゲーム用途以外の実用性もしっかり確保されています。1.95kgという重量は決して軽いわけではありませんが、スペックと機能を考慮すれば十分に許容できる範囲です。
デスクトップクラスの性能をモバイルで活用したいユーザー、ゲームもクリエイティブ作業も妥協せずこなしたいユーザーにとって、ROG Zephyrus G16 GU605CXは非常に有力な選択肢となるでしょう。ゲーミングノートPCの中でも、ひとつの到達点にあるモデルだと感じました。

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