名大、睡眠不足時の「眠気」が大脳皮質に蓄積することを確認

2025年4月21日(月)12時50分 マイナビニュース


名古屋大学(名大)は4月18日、ヒトなどの生物に見られる、睡眠不足の後の睡眠においてより深く長い眠り、つまりは大脳皮質の脳波が増強される「リバウンド」と呼ばれる現象について「オーストラリアドラゴン(和名:フトアゴヒゲトカゲ、学名:Pogona vitticeps)」を用いた実験を行った結果、「眠気」は大脳皮質に蓄積し、背側脳室隆起の活動に影響を与えることでリバウンドが生じることが示唆されたことを発表した。
同成果は、名大大学院 理学研究科の羽鳥聖七大学院生、同・山口翔研究員、同・乘本裕明教授に加え、順天堂大学の研究者らも参加した共同研究チームによるもの。詳細は、米科学雑誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
ヒトを含む多くの脊椎動物は睡眠不足に陥ると、それを補うかのようにその後の睡眠でより長く深い眠りを示す。これは、生物の恒常性を維持するホメオスタシス機構による睡眠調節の現れだ。この睡眠の深さは、睡眠中の脳波の振幅に基づいて定量することができるが、寝不足後の深く長い睡眠では、脳波の振幅が増強するリバウンド現象が見られることが知られていた。
これまで、睡眠不足後のリバウンド現象と大脳皮質の神経活動との関連性は示唆されていたが、その詳細なメカニズムは明らかになっていなかった。ほ乳類については、睡眠・覚醒状態の判定は大脳皮質の脳波に基づいて行われるため、大脳皮質の神経活動を直接操作する手法では、睡眠状態そのものの判定に影響が生じるという実験上の制約があった。こうした背景から、大脳皮質の機能が睡眠不足によるリバウンド現象にどう寄与するのか直接的な検証は困難な状況だった。
そこで研究チームは今回、その課題を解決するため、睡眠・覚醒状態の判定を哺乳類とは異なる部位である背側脳室隆起の神経活動によって行えるオーストラリアドラゴンに着目。背側脳室隆起は主に変温は虫類や鳥類の前脳に存在し、その操作が大脳皮質への影響を抑えられるため、実験動物として採用したという。
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