富士通と理研、256量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発 春から提供
2025年4月22日(火)10時35分 ITmedia NEWS
稼働中の256量子ビット量子コンピュータ(撮影:編集部、以下同様)
量子ビットの数は海外と比べても世界最大級という。64量子ビットマシンの頃から採用している3次元接続構造を引き継ぎ、量子ビットの設計やレイアウトの変更をせずに4倍の大規模接続を実現した。
動作に当たっては超伝導状態にするために、超高真空かつ極低温環境を作り出す「希釈冷凍機」が不可欠。その状態の性質などから希釈冷凍機の容積拡大には課題があるが、希釈冷凍機内部の部材占有率などを調整することで、64量ビットマシンと同じ希釈冷凍機で今回の256量子ビットマシンを動作させることに成功した。
完全に正確で実用的な問題を解ける「誤り訂正量子コンピュータ」(FTQC)には100万単位の量子ビットが必要と見られており、その初期段階である「Early-FTQC」にも少なくとも6万量子ビットが必要と富士通は説明する。
今回の256量子ビットマシンは誤り訂正のない「NISQ」(ノイズあり中規模量子デバイス)であるため、具体的に有用な計算ができると分かっているわけではないものの、FTQCに向けて量子ビットの実装数を着実に増やした段階といえる。
2者はFTQCの実現に向け、2026年には1000量子ビットの量子コンピュータを構築・公開するとしている。超伝導量子コンピュータの開発のために2021年4月に共同で設立した「理研RQC-富士通連携センター」は、当初2025年3月までの設置期間としていたが、期間を2029年3月までに延長した。