サントリー、長津田配送センターに自動搬入ラック導入‐ドライバーの滞留時間削減へ

2025年4月25日(金)17時1分 マイナビニュース


サントリーは4月25日、物流についての説明会および長津田配送センターに新たに導入された設備の見学会を開催した。
物流の2024年問題と言われる、長距離トラック輸送のドライバー不足に伴う物流インフラのひっ迫は大きな社会課題となっており、サントリーグループはこれまでもさまざまな対応を実施している。
今回は、自社拠点におけるトラックの滞留時間削減に向けた取り組みとして、長津田配送センターに自動搬送ラックを設置した事例を紹介した。
説明会には、サントリーホールディングス サプライチェーン本部 物流調達部 部長の塚田哲也氏、サントリーロジスティクス 取締役会長の武藤多賀志氏、神奈川支店 支店長 上田博之氏が登壇した。
サントリーの物流の取り組み
サントリーグループは、物流の課題解決に向け「他社との共同配送・載積効率向上」「輸送距離の短縮」「モーダルシフトの推進」「トラック滞留時間の削減」の4点に取り組んでいる。
○「他社との共同配送・載積効率向上」に向けた施策
「他社との共同配送・載積効率向上」としては、ダイキン工業と共同で、ダブル連結トラック(10トントラック2台分の輸送能力)を活用した往復輸送を2024年7月から開始した。
これは関東圏(山梨県)から関西圏(京都府)の区間をサントリーの飲料製品を配送し、関西圏(滋賀県)から関東圏(神奈川県)の区間でダイキン工業の空調製品を配送するという取り組みで、独自のスキームを組み、輸送能力を向上することでドライバーの負担軽減に寄与している。
中継地点である静岡県でドライバーの交替を行うことで、通常の1人での配送の際は1泊2日の輸送行程だったものを日帰りでの運行が可能となったという。さらに、10トントラック2台分の輸送能力を持つダブル連結トラックを活用することで、2台分の貨物を1人のドライバーで輸送が可能になる。
これによりドライバーにかかる負担を軽減できるようになるほか、10トントラック2台での輸送時と比べて、CO2排出量を約35%削減可能になったという。
この取り組みに加えて、サッポログループと共同での「長距離往復輸送」や大王製紙との「貨物混載」、ユニ・チャームとの「リレー形式によるラウンド輸送」も行っている。
○「トラック滞留時間の削減」に向けた施策
「トラック滞留時間の削減」に向けては、大和ハウス工業と協働で「飲料に最適な仕様」の配送センターとして設計した「浦和美園配送センター」を設置している。
同配送センターは自動受付システムの改修を行い、入出庫時にかかる受付から呼び込みの時間を短縮することに加え、伝票発行も自動出力が可能であり、省人化を図っている。
受付で5〜10分程度の時間短縮を実現し、ほかの待機時間を削減をすることにより、一般的な配送センターと比べて約1時間ほど早く退場が可能だという。
また、通常の約3倍規模のバース数を持つことで、どのバースに、どのトラックが入るかをあらかじめ計画することが可能なため、前日のうちに積み込む荷物を準備できる。
さらに、バース周辺の仮置きスペースも通常の2倍以上の規模となっており、積み込む商品を事前に荷集め、荷そろえし、トラックが到着したら、すぐに積み込める状態にしておくことができるセンターだ。
そして今回、トラックの滞留時間の削減と省人化を目指し、長津田配送センターに自動搬入ラックを導入した。
自動搬入ラックが導入された長津田配送センター
今回、自動搬入ラックが導入された長津田配送センターは、神奈川県横浜市長津田町に位置する。年間約300日(24時間稼働)稼働しており、酒類や清涼飲料といったサントリー製品の保管・納入・出荷の拠点となっている。
長津田配送センターでは、「出荷する製品のピッキング割合が高い(全体の約3割)」「ピッキング後の製品を載せたパレットが多く仮置き場が不足」「搬送距離が長く積み込み作業にタイムロスが発生」という課題があったという。
「ラックの導入前は、長津田配送センターにおけるトラックの平均滞留時間は約1時間30分で、積み込みに約50分もかかっていました」(上田氏)
このような課題から、サントリーロジスティクスは、自社が運営する長津田配送センターに豊田自動織機トヨタ L&F カンパニーと共同設計した自動搬送ラックを2基設置し、4月より本格稼働を開始した。
自動搬送ラックを設置することで、仮置き場の保管能力を約2倍に向上、搬送などのピッキング作業にかかる工数を約1割削減、そして、トラックへの積み込みにかかる時間を約3割削減することで、トラックの滞留時間を年間約2,000時間削減する見込み。
サントリーロジスティクスおよびサントリーグループは、これからも「スマートロジスティクス」の取り組みを進め、先端技術の活用や各企業・自治体との連携による、安全・安心で持続可能な物流の実現を目指す考え。

マイナビニュース

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